楽天の広告画面を見ながら、新規のお客さま向けにクーポンを出すか迷って考え込むEC担当者

楽天クーポンアドバンス広告の使いどころ|新規のお客さまをムダなく増やす

「新しいお客さんがなかなか増えない」。楽天の検索広告(RPP)は回しているけれど、表示されるのはもともとお店を知っている人ばかりな気がする。かといって、店頭でクーポンをばらまくと、値引き分がまるまる持ち出しになって採算が合わない――。そんなジレンマを感じたことはありませんか。新規のお客さまを増やしたい気持ちと、費用の不安。どちらも当然です。

そんなときに選択肢に入るのが、楽天市場のクーポンアドバンス広告(あなたのお店でまだ買ったことのない人を中心にクーポンを見せ、そのクーポンが使われて購入されたときに費用がかかる、成果に応じた課金の広告)です。ふつうの値引きと違って「配っただけ」では費用がかからないのが特徴で、新規のお客さまづくりに向いています。ただし、使いどころを間違えると「値引き+広告費」の二重の持ち出しになりかねません。今日は、この広告の仕組みと、赤字にしない使いどころ・回収の考え方を、現場の順番で一緒に整理していきましょう。

結論:クーポンアドバンス広告は「新規のお客さまを、成果が出たぶんだけの費用で増やす」ための広告です。上手に使うコツは3つ。
①役割を分ける(RPPは既存も含めた刈り取り、クーポンアドバンスは新規獲得と、担当を分けて考える) → ②1人の新規を獲るのにかかる費用(クーポンの割引分+成果報酬)を出し、2回目以降の利益で回収できるかLTVで判断する → ③リピートしやすい商品(消耗品・定期向き)で使い、単発で終わりやすい商品では無理に使わない。この3つで、値引きの持ち出しがムダな出費ではなく「未来のお客さまへの投資」になります。

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いま何が起きているか:新規獲得の広告費を「成果が出たときだけ」払える

楽天の広告というと、まず思い浮かぶのがRPP広告(楽天市場の検索結果に商品を出す、クリックされるたびに費用がかかる広告)でしょう。RPPは「今すぐ買いたい人」を検索結果で拾うのが得意ですが、クリックした時点で費用が発生し、そのお客さまが新規か既存(リピーター)かは選べません。すでにあなたのお店を知っている人のクリックにも、同じように費用がかかります。

一方、クーポンアドバンス広告は仕組みが違います。ざっくり言うと、

ここが最大のポイントです。クーポンアドバンス広告のコストは、割引の持ち出し+成果報酬の二重構造になります。だからこそ「新規のお客さまを1人増やすのに、結局いくらかかっているのか」を必ず把握する必要があります。この「新規1人を獲得するのにかかった費用」をCPA(お客さま1人を獲得する費用)、あるいは注文単位で見る場合はCPO(1件の注文を獲得する費用)と呼びます。感覚で「新規が増えた気がする」ではなく、この費用と、その後の利益を並べて見るのが赤字回避の第一歩です。

要するにこの広告は、新規獲得という一点に絞って、成果が出たぶんだけ費用を払えるのが強みで、逆に初回の1回きりで終わってしまうと二重の持ち出しだけが残るのが弱み、ということです。

具体例:赤字にしないクーポンアドバンス広告の使いどころ

新規のお客さまがクーポンで初回購入し、2回目・継続へとつながって費用を回収していく流れの図
初回はクーポンの割引と広告費で持ち出しでも、2回目・継続の利益で回収する。単発で終わると赤字が残る。

理屈より、手を動かす順番で見ていきましょう。

①まず「役割」を分ける RPPとクーポンアドバンスを、同じ「楽天広告」とひとくくりにしないことが大切です。ざっくり、

というように担当を分けて考えます。既存客の刈り取りをクーポンアドバンスに期待したり、新規開拓をRPPだけに頼ったりすると、ちぐはぐになります。RPPの入札やキーワードの整え方は楽天RPP広告の入札単価とキーワード運用にまとめています。

②「新規1人にいくらまで出せるか」を先に決める ここが赤字回避の心臓部です。クーポンアドバンスで新規のお客さまを1人増やすのにかかる費用(CPA=クーポンの割引分+成果報酬)を、いくらまでなら出してよいか。その上限は、そのお客さまが将来お店に落としてくれる利益(LTV=1人のお客さまが長く買ってくれる金額のうち、手元に残る利益ぶん)から逆算します。

考え方はシンプルで、「初回は赤字でもいい。ただし2回目以降の利益まで含めれば黒字になる範囲か」を見ます。目安として、LTV(利益ベース)が新規獲得コスト(CPA)の3倍ほどあると、広告費や運営費を差し引いても利益が残りやすいと言われます(あくまで一例で、商材や利益率によって変わります)。この逆算の詳しい考え方はLTV:CACで決める広告投資の上限設計、黒字ラインの出し方はROAS/ROIと損益分岐ROASの計算が参考になります。まずはEC利益計算ツールで自店の粗利や上限の目安を出しておくと、判断がぐっとラクになります。

③リピートしやすい商品で使う クーポンアドバンスは「初回は持ち出し、2回目以降で回収」が基本の設計です。だから、もう一度買ってもらいやすい商品ほど向いています

④クーポンの割引幅は「回収できる範囲」で 割引を大きくするほどクーポンは使われやすくなりますが、そのぶん持ち出しも増えます。割引幅は「初回の赤字が、想定できる2回目以降の利益の範囲に収まるか」で決めます。初回オファーの設計そのものの考え方は初回限定オファー・お試し価格の設計、クーポン全般の原資の決め方はクーポン・値引き設計と利益インパクトにまとめています。

やりがちなNGと、その直し方
新規も既存もまとめて値引きしてしまう:既存のお客さまはクーポンがなくても買ってくれたかもしれず、値引きが利益を削るだけになる。→ 新規獲得に役割を絞って使う。
割引を大きくして応募(利用)だけ伸ばす:使われるほど持ち出しが増え、二重コストがふくらむ。→ 2回目以降の利益で回収できる割引幅に抑える。
初回の売上だけで採算を判断する:初回は赤字で当たり前の設計。1回で「効果なし」と切ると、回収前にやめてしまう。→ 2回目以降のリピート率まで見て判断する。
リピートしにくい商品で回す:初回の持ち出しが返ってこない。→ 消耗品・定期向きの商品を選ぶ。

なお、クーポンの見せ方で「通常価格〇〇円→クーポンで△△円」のようにもとの価格を大きく見せる二重価格表示は、その通常価格で実際に販売した実績がないと、景品表示法(有利誤認:お得さを実際より大きく見せる表示)に触れるおそれがあります。「今だけ」「期間限定」も、実態と違う場合は避けましょう。誠実な範囲でお得さを伝えることが、結果的に長く続くお客さまづくりにつながります。表現の線引きは景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全も参考にしてください。

あなたへの影響

明日やること

  1. いま回している楽天広告を「RPP=刈り取り/クーポンアドバンス=新規獲得」と役割で整理し、目的が重なっていないか確認する。
  2. EC利益計算ツールで主力商品の粗利を出し、新規1人に出せる費用(CPA)の上限を、2回目以降の利益(LTV)から逆算してメモする。
  3. クーポンアドバンスで出すなら、リピートしやすい商品を1〜2品に絞って選ぶ。
  4. クーポンの割引幅を「初回の持ち出しが、2回目以降の利益で回収できる範囲」で決める。
  5. 二重価格・「今だけ」表示になっていないか、クーポンの見せ方を景品表示法の観点で見直す。
  6. 開始後は初回の売上だけで判断せず、新規のお客さまの2回目購入率を1か月ほど観察してから、続ける・割引を調整する・止めるを決める。

楽天クーポンアドバンス広告 チェックリスト

新規のお客さまが少しずつ増え、店の未来に手応えを感じて明るい表情で前を向くEC担当者

クーポンアドバンス広告は、「値引きしてでも新しいお客さんに出会いたい」という気持ちを、採算の合う形にしてくれる道具です。大事なのは、初回の1回で結果を求めないこと。今日出会った新規のお客さまが、2回目・3回目とお店に戻ってきてくれるかどうか。そこまで見据えて割引幅と商品を選べば、値引きは持ち出しではなく投資に変わります。まずは主力商品の粗利を出して、「新規1人にいくらまで出せるか」の一行をメモするところから始めてみましょう。

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参考(公式・一次情報)

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