
ECのNG表現チェック大全|景表法・薬機法で気をつける言葉と言い換え
「この化粧品、"シミが消える"って書きたいけど……大丈夫かな」
商品ページの下書きを前に、カーソルが止まる。もっと強く、もっと魅力的に書けば売れる気がする。でも、その一言が法律に触れないか不安で、結局あたりさわりのない言葉に戻してしまう——。この「書きたいのに書けない」もどかしさは、まじめにやっている担当者ほど強く感じるものです。
今日は、その手が止まる瞬間をなくすために、ECでうっかりやりがちな表現を「なぜダメか」「どう言い換えれば安全か」までまとめて整理します。読み終える頃には、「この言い方なら大丈夫」と自信を持ってページを書けるようになるはずです。
結論:ECの商品説明でとくに気をつけたいのは、景表法(実際より良く・お得に見せる誇大表現を禁じる法律。景品表示法) と 薬機法(化粧品・健康食品などの効果効能の言い方を制限する法律) の2つです。
ポイントはシンプルで、①根拠のない「一番・必ず・絶対」を書かない ②化粧品やサプリで「治る・痩せる・消える」と断定しない ③価格や在庫を実際よりお得・希少に見せない。この3つを避け、事実と体験に言い換えるだけで、多くのリスクは防げます。
※ 本記事は2026年時点の一般的な解説で、法的助言ではありません。表現の可否は商品ジャンル・訴求の文脈・最新の法改正で変わります。判断に迷う表現は、消費者庁や厚生労働省の公式情報を確認し、必要に応じて弁護士・薬機法の専門家・広告審査に相談してください。
いま何が起きているか:なぜ「表現」で怒られるのか
まず、なぜ言葉づかいがそんなに問題になるのか。理由は、お客さんは商品を手に取れないからです。実店舗なら手触りや香りで確かめられますが、ECでは文章と画像がすべて。だからこそ、書き手の言葉が実物以上に良く見せてしまう危険があり、法律はそこを厳しく見ています。
とくに近年は、次のような背景で表現チェックの重要度が上がっています。
- 通報・審査が身近に:モール(楽天・Amazonなど)は独自の広告審査を強化しており、NG表現があると商品ページが止められたり、アカウントに警告が付くことがあります。
- ステマ規制の開始:2023年10月から、広告なのに広告と分からない「ステルスマーケティング」が景表法違反の対象になりました。インフルエンサー施策やレビュー依頼でも注意が必要です。
- 課徴金のリスク:優良誤認・有利誤認と判断されると、売上の一部を国に納める課徴金の対象になることがあります。「知らなかった」では済まされません。
つまり、表現チェックは「うるさい人に怒られないため」の作業ではなく、お店とお客さんの信頼を守る土台なのです。
具体例:やりがちなNG表現と、安全な言い換え

1. 景表法:「優良誤認」——実際より良く見せる言葉
優良誤認とは、品質や効果を実際よりも著しく良く見せてしまうことです。とくに根拠のない最上級表現が危険です。
| ありがちなNG | なぜ危ないか | 安全な言い換え |
|---|---|---|
| 業界No.1/日本一 | 客観的な調査の根拠がないと不可 | 「〇〇調べ(2025年、当社比)で満足度〇%」など出典と条件つきで |
| 必ず/絶対に効果あり | 効果を断定できる根拠がない | 「〇〇な方に選ばれています」「使用者の声を紹介」 |
| 最高級・世界最高品質 | 根拠を示せない主観の断定 | 「職人が一つずつ仕上げた」「〇〇素材を使用」 |
ポイントは、「一番」を消すのではなく、「何を根拠に一番なのか」を示せるかどうか。調査データや具体的な事実があれば書けますし、なければ言い換えます。
2. 景表法:「有利誤認」——価格や条件をお得に見せすぎる
有利誤認とは、価格や取引条件を実際よりお得に見せてしまうことです。とくに二重価格表示に注意します。
- 二重価格表示(元値に線を引いて割引を見せる方法):「通常価格」として表示する元値は、実際に相当期間その価格で売っていた実績が必要です。売ったことのない架空の高い値段から割引に見せるのはNGです。
- 「今だけ」「残りわずか」の乱発:本当は常時セールなのに毎日「本日限り」と出す、在庫が十分あるのに「残り3点」と煽る——こうした実態と違う限定表示も有利誤認になり得ます。煽り表示は在庫や希少性の見せ方の記事でも、事実に基づく範囲にとどめるのが基本です。
3. 薬機法:化粧品・健康食品で「治る・痩せる・消える」はNG
ここがいちばん事故の多いところです。薬機法では、医薬品ではない化粧品・サプリ・健康食品で、病気が治る・体が変わると受け取れる断定表現を禁じています。
| ジャンル | NG例 | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| 化粧品 | シミが消える/シワがなくなる | 「乾燥による小じわを目立たなくする(効能の範囲内で)」「うるおいを与える」 |
| 健康食品・サプリ | 痩せる/血圧が下がる/便秘が治る | 「健康的な毎日をサポート」「〇〇を配合」(体験談で効果を保証しない) |
| 美容機器・雑貨 | 肌が若返る/医療レベル | 「使い心地」「お手入れ習慣に」など体験の表現に |
化粧品には、国が認めた「効能効果の範囲」(保湿、日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ、など)が決まっています。その範囲を超えた効果は、たとえ本当でも広告では書けません。サプリは「食品」なので、体の機能をどうこうすると書くと医薬品的な表現とみなされます。
4. ステマ規制と体験談・レビュー
「広告」であることを隠して良い口コミのように見せると、ステマとして景表法違反になります。インフルエンサーに依頼した投稿には「PR」「提供」を明示し、自社スタッフのレビューを一般客のように装わない。お客さんの声を載せるときも、「個人の感想です。効果を保証するものではありません」と添えると安全です。
あなたへの影響
- 売上を止めるリスクを避けられる:NG表現でモールにページを止められたり、課徴金の対象になれば、その間の売上はゼロ。表現チェックは、攻めではなく「売上を守る守り」の投資です。
- 実は"事実で語る"ほうが売れる:「絶対効く」より「使った人の90%が続けたいと答えた(自社調べ)」のほうが具体的で信じられます。安全な言い換えは、CVR(商品ページの買われやすさ)を下げるどころか、むしろ信頼で上げてくれることが多いのです。
- チーム全体の判断がそろう:NG/OKの基準を1枚にまとめておくと、誰が書いても表現がブレず、外注ライターやアルバイトにも同じ品質で任せられます。
明日やること
- 自社の売れ筋商品ページを1枚開き、「一番・必ず・絶対・最高・消える・治る・痩せる」の危険ワードを検索してみる。
- 見つかった表現を、この記事の言い換え例を参考に「事実」か「体験」に書き直す。
- 化粧品・健康食品を扱うなら、国が認めた効能効果の範囲を公式情報で一度確認する。
- 二重価格を使っているなら、その「通常価格」で実際に売っていた実績があるかを確かめる。
- レビュー・インフルエンサー施策に「PR」「個人の感想です」の一文が入っているか点検する。
まずは1ページだけで大丈夫です。危険ワードを検索して、1つ言い換えてみる。その小さな一歩が、お店を守る習慣の始まりになります。
ECのNG表現チェックリスト
- 「No.1・日本一」などの最上級表現に、客観的な調査の根拠と出典を添えているか
- 「必ず・絶対・確実に効く」など効果を断定する言葉を使っていないか
- 化粧品で「シミが消える・シワがなくなる」など認められた効能の範囲を超えていないか
- 健康食品・サプリで「痩せる・治る・血圧が下がる」など医薬品的な表現をしていないか
- 二重価格の「通常価格」に、実際に売っていた実績があるか
- 「今だけ・残りわずか」が実態(在庫・期間)と合っているか
- お客さんの声に「個人の感想です/効果を保証しません」を添えているか
- インフルエンサー・提供投稿に「PR・提供」を明示しているか(ステマ回避)
- ビフォーアフター画像で、実際以上の効果に見える加工をしていないか
- 迷う表現は、公式情報の確認か専門家への相談先を決めているか
表現の線引きは、慣れるまでは不安なものです。でも、「言いすぎを、根拠のある事実に言い換える」——この一本の軸さえ持てば、迷いはぐっと減ります。強い言葉に頼らなくても、あなたの商品の良さは、正直な事実でちゃんと伝わります。自信を持って、今日のページを書き直してみましょう。

関連記事・無料ツール
- ▶ 特定商取引法の表記の作り方|必須項目と書き方
- ▶ 返品・交換ポリシーの作り方|信頼とCVRを両立
- ▶ 売れる商品説明文の構成テンプレ|4ブロックで書く
- ▶ 売れるキャッチコピー・商品名の付け方
- ▶ ECチェックリスト50
あなたの店の商品ページ、「この言い方は大丈夫?」というモヤモヤ、どこが不安か。無料診断でやさしくお返しします(最終判断は必ず公式情報・専門家でご確認ください)。
</content> </invoke>