セール当日、伸びる売上を見ながら広告のアクセルを踏むかどうか真剣に考えるショップ担当者の情景

セール・繁忙期の広告の強め方・抑え方|時期で予算と入札を切り替える設計

セールの当日、朝から注文が気持ちよく伸びていく。「今日はいける」と思っていたら、お昼過ぎに広告がぱたりと止まった。あとで見たら、その日の広告予算が午前中で使い切られていた——いちばん売れる夜の時間帯に、広告が出ていなかったのです。逆に、セールが終わって静かになった時期。売れないのに広告だけは同じ設定で出し続けて、月末に数字を見たら赤字が膨らんでいた。こんな「アクセルとブレーキの踏み間違い」、身に覚えはありませんか。

広告は、一年中ずっと同じ強さで踏み続けるものではありません。人がたくさん買う時期は思いきり踏み込み、静かな時期はそっと抑える。時期に合わせて強弱をつけるだけで、同じ広告費でも売上も利益も大きく変わります。今日は、セール・繁忙期に広告を「強める」設計と、閑散期に「抑える」設計を、在庫の動きと合わせながら、いっしょに組み立てていきましょう。

結論:広告は時期で強弱をつける。①繁忙期は前もって予算の上限を引き上げ、買う直前の人に届く広告から強める→②当日は時間帯と在庫を見ながら踏み込む→③閑散期は絞って、勝ち筋だけ残す——この3ステップが基本です。強めるときも「売れているから何でも増やす」のではなく、損益分岐ROAS(このROAS=広告費に対する売上の比率を下回ると赤字になる、という採算の分かれ目)を守れる範囲でアクセルを踏みます。媒体ごとの予算や入札の考え方は各社の公式ヘルプ(例:Google 広告ヘルプ)の一次情報も確認しておくと安心です。

いま何が起きているか|「同じ設定のまま」が繁閑の波に負ける

多くのお店で、広告の設定が一年中ほとんど同じになっています。予算も入札も、セールのときも閑散期も変えない。これが、繁忙期と閑散期という「波」に負ける最大の原因です。

繁忙期には、二つの取りこぼしが起きます。一つは予算切れ。売れる時期はクリックも注文も増えるため、いつもの予算だと早い時間で上限に達し、いちばん売れる時間帯に広告が消えてしまいます。もう一つは入札負け。セール期はライバルも広告を強めるので、いつもの入札額(1クリックにいくらまで払うか)のままだと表示順位が下がり、見られなくなります。せっかく買う気の人が集まっているのに、自分のお店だけ画面に出てこない——これが「売れるはずだったのに伸びなかった」の正体です。

逆に閑散期は、ブレーキの踏み忘れが効いてきます。人があまり動かない時期に、繁忙期と同じ勢いで広告を出し続けると、クリックはされても買われず、CPA(顧客獲得単価。お客さん1人を獲得するのにかかった広告費)だけがじわじわ上がっていきます。売上が薄い時期に費用だけ変わらないので、利益がいちばん削られるのは、実はこの静かな時期なのです。

さらに見落としがちなのが、在庫との連動です。広告を強めて注文が増えても、在庫が尽きていれば意味がありません。それどころか、売り切れた商品に広告を出し続けると、クリック代だけ払って「売り切れページ」に人を送ることになります。広告のアクセルは、在庫というブレーキと必ずセットで考える必要があります。在庫側の備えは繁忙期の出荷・在庫体制の作り方も参考になります。

具体例|繁忙期に「強め」、閑散期に「抑える」3ステップ

一年の繁忙期と閑散期に合わせて広告を強めたり抑えたりする波のイメージ図
広告は年中同じ強さではなく、繁忙期は踏み込み、閑散期は抑える。在庫が波のブレーキ役になる。

強め方・抑え方を、順番に見ていきましょう。全部を一度にやる必要はありません。まずは「いちばん売れる山ひとつ」から始めれば十分です。

①繁忙期の前|予算の上限を上げ、「買う直前の人」から強める セールや繁忙期は、当日にあわてるのではなく、1〜2週間前から準備します。まず、その期間の広告予算の上限を、普段より引き上げておきます(どれだけ上げるかは、狙う売上と採算から逆算します。金額は各店で異なります)。強める順番も大事です。やみくもに全部を増やすのではなく、すでに買う気になっている人に届く広告から先に強めるのがコツ。具体的には、指名検索(あなたのお店やブランド名で検索している人)や、一度サイトを見た人へのリターゲティング広告(見て離れた人にもう一度見せる広告)です。この層は買う確率が高いので、少し予算を足すだけで注文につながりやすい。新しいお客さんを増やす「認知」の広告は、その後に余力で足します。刈り取りから固める考え方は広告予算の配分と媒体ミックスの決め方にくわしくまとめています。

②繁忙期の当日|時間帯と在庫を見ながら踏み込む 当日は、朝から様子を見て、売れ行きと在庫を確認しながらアクセルを調整します。ポイントは3つ。

そして、踏み込むときも損益分岐ROAS(これを下回ると赤字になる採算ライン)を割らない範囲で。セールで値引きしている分、普段よりこのラインは厳しくなります。「売れているから」と入札を上げ続けると、売れているのに赤字、という事態になりかねません。

③閑散期|絞って、勝ち筋だけ残す セールが終わって静かになったら、今度はブレーキです。とはいえ、広告をゼロにするのではなく、成果の出ている勝ち筋だけを残して、残りを絞るイメージです。CPA(お客さん1人を獲得する広告費)が高くなっている広告、クリックされるのに買われない広告から止めていきます。この時期は無理に売上を追わず、費用を絞って利益を守るのが正解。浮いた予算と手間は、次の繁忙期の準備や、商品ページの改善にまわすと、次の山でより大きく踏み込めるようになります。

やりがちなNGと、その直し方
・当日まで予算を上げ忘れる:いちばん売れる時間に広告が止まる。→ 1〜2週間前に予算上限を引き上げておく。
・全部いっせいに増やす:採算の悪い広告まで膨らみ、売れても赤字。→ 買う直前の人(指名・リタゲ)から順に、採算の合うものだけ強める。
・在庫を見ずにアクセル:売り切れページにクリック代を払う。→ 在庫と連動させ、欠品・残りわずかの広告は止める/弱める。
・値引き中もいつもの採算感覚:セール中は損益分岐ラインが厳しくなるのを忘れる。→ 値引き後の粗利で損益分岐ROASを引き直す。
・閑散期に同じ勢いで出し続ける:売れないのに費用だけ変わらず赤字。→ 勝ち筋だけ残して絞り、利益を守る。

大切な注意|数字はすべて「例」。自店の採算で判断する この記事の予算・入札・時間帯の話は、考え方を示すための例です。適切な水準は、商材・粗利・在庫・媒体によって大きく変わります。強弱をつけるときは必ず自店の損益分岐ROASを起点にし、媒体ごとの入札や予算の仕組みはGoogle 広告ヘルプなどの公式の一次情報を確認してください。当メディアは特定店舗の実測データを持たないため、実績値を装うことはしません。

あなたへの影響

明日やること

  1. 自店の一年のカレンダーに、繁忙期と閑散期の山と谷を書き込む(セール、季節需要、ボーナス期など)。まずは「いちばん大きい山ひとつ」に印をつけます。
  2. その山について、値引き後の粗利で損益分岐ROASを引き直す。セール中に守るべき採算ラインを、先に数字で決めておきます。
  3. 強める順番を決める(指名検索→リターゲティング→認知の順など)。当日いきなりではなく、1〜2週間前に予算上限を上げる予定を立てます。
  4. 在庫と広告を連動させるルールを決める(欠品・残りわずかの商品は広告を止める/弱める)。誰がいつ確認するかまで決めておくと、当日あわてません。
  5. 繁忙期が終わったら、CPAの高い広告・買われない広告から絞る。閑散期は費用を守り、浮いた分を次の山の準備にまわします。

セール・繁忙期の広告アクセル/ブレーキ チェックリスト

セールの朝、伸びていく注文を見ながらアクセルを踏むかどうか迷うのは、あなたが利益と機会の両方を大切にしている証拠です。だからこそ、当日の勘に頼るのではなく、山と谷を先に描き、踏み込む順番と守る採算ラインを決めておく。それだけで、繁忙期はもっと伸ばせて、閑散期はもっと守れます。まずは今年いちばん大きい山ひとつを選んで、「いつ・何を・どこまで強めるか」を紙に書き出すところから始めてみませんか。その一枚が、あなたのお店の広告を「踏み間違えない」ものに変えてくれるはずです。

セールを終えて、手応えのある結果に安心しながら次の繁忙期を前向きに見据えるショップ担当者の情景

関連記事・無料ツール

あなたのお店の今年いちばん大きいセールで、広告のアクセルとブレーキをどう踏み分けますか。無料診断で、繁忙期に伸ばし閑散期に守る、広告の強弱設計をいっしょに考えます。

参考(公式・一次情報)