EC担当者が月次の売上を前に、それが新規のお客さんとリピートのお客さんのどちらから来ているのか分からず、ふと立ち止まって考えている情景

新規とリピートの売上構成比で店の健全性を測る方法

「今月も目標は達成できた。売上も去年より伸びている」。数字の上ではうまくいっているのに、なぜか胸のどこかがざわつく——「毎月、広告を回して新しいお客さんを集め続けないと、売上がすぐしぼんでしまう気がする」。そんな“自転車操業のような感覚”に、覚えはありませんか。

その不安は、気のせいではないかもしれません。売上という一つの数字を、「新規(はじめて買ってくれた人)」と「リピート(また買ってくれた人)」の2つに分けて見てみると、お店の“体力”がはっきり見えてきます。今日は、むずかしい分析ツールがなくても出せる売上構成比(うりあげこうせいひ=全体の売上のうち、それぞれが何%を占めるかの割合)の考え方と、その読み方をいっしょに整理していきましょう。数字が読めると、次にやるべきことが自然と決まります。

結論:売上を新規とリピートの2つに分けて構成比(=割合)を出すだけで、お店の健全性がひと目で分かります。目安として、リピートの売上が全体の3〜5割以上あると、集客を少しゆるめても売上が急に崩れにくい“体力のある店”です。逆に売上の大半(7〜8割以上)が新規だと、広告を止めた瞬間に売上が落ちる、いわゆる“ザルで水をくむ”状態のサイン。まずやることはシンプルで、先月(または直近3か月)の売上を、はじめての人か・2回目以降の人かで振り分け、それぞれの割合を計算すること。数字を出したら、「新規に偏りすぎ」ならリピート率やF2転換(初回から2回目への引き上げ)を、「リピートは多いが売上が伸びない」なら新規集客を厚くする——と、足りない側に手当てを寄せるのが遠回りしないコツです。大切なのは、割合の“いい・悪い”を一度で決めつけず、毎月同じ計算で並べて、変化の向きを見ることです。

いま何が起きているか|「売れている」の中身が見えていない

多くのお店で、月末に見る数字は「今月の売上◯◯円」という合計の一本だけ、ということが少なくありません。合計だけを追いかけていると、売上が伸びていても“中身”が見えず、次の3つのような落とし穴にはまりがちです。

ひとつめは、新規頼みの売上に気づけないこと。広告を出せば新しいお客さんが来て、その月の売上は立ちます。でも、その人たちが二度と戻ってこなければ、翌月もまた同じだけ広告費をかけて新規を集め続けなければなりません。バケツの底に穴が空いたまま水を足し続けるような状態で、広告を止めた瞬間に売上がしぼむ危うさをかかえています。

ふたつめは、リピートの土台が育っているのに、それに気づかず投資を怠ること。実はリピートのお客さんがしっかりついているのに、合計しか見ていないと「もっと新規を」とばかり考えてしまい、常連さんへのフォローが後回しになる。せっかくの“お店の資産”を、活かしきれないパターンです。

みっつめは、打ち手がいつも「とりあえず広告」になること。中身が見えないと、売上が伸び悩んだときの対策が、いつも新規集客の広告出稿ひとつに偏りがちです。本当はリピートを増やすほうが効く場面でも、それに気づけません。

ここで押さえたい考え方はシンプルです。売上は「合計」ではなく「新規とリピートの内訳」で見る。この一手間で、「うちの売上は、どちらの脚で立っているのか」が見えるようになります。ちなみに、新規かリピートかの振り分けは、GA4(Googleが提供する無料のアクセス解析ツール)でも「新規顧客の獲得」といった形で確認できます。計測の考え方はGoogle アナリティクス ヘルプなどの公式情報も参考になります(集計の定義はツールによって少しずつ違うため、まずは自店の注文データで大まかにつかむのがおすすめです)。

具体例|売上を「新規」と「リピート」に分けて割合を出す

一本の売上を、新規の売上とリピートの売上の2つに分けて、それぞれの割合を帯グラフで示した図
売上構成比は、全体の売上を「新規」と「リピート」に分けて割合を出すだけ。リピートの割合が厚い店ほど、集客をゆるめても崩れにくい“体力のある店”。

やり方はとてもかんたんです。特別なツールは要りません。まずは電卓と、注文データ(管理画面のCSVでも十分)を用意しましょう。

ステップ1:注文を「新規」と「リピート」に振り分ける

先月(または直近3か月)の注文を、その注文をした人が“はじめての購入”か“2回目以降”かで2つに分けます。多くのカートやモールの管理画面には「新規顧客/リピート顧客」で絞り込む機能があります。無ければ、購入者のメールアドレスや顧客IDで、過去に買ったことがある人かどうかを見て振り分けます。

ステップ2:それぞれの売上を合計する

分けたら、新規の人たちの売上合計と、リピートの人たちの売上合計を、それぞれ出します。

ステップ3:構成比(割合)を計算する

計算式は1つだけです。

構成比(%)= それぞれの売上 ÷ 売上全体 × 100

先ほどの例なら、

この店は「売上の4分の3が新規」。つまり、毎月かなりの数の新しいお客さんを集め続けてやっと売上が立っている状態です。悪いとは限りませんが、広告を止めると売上が大きく減るリスクをかかえている、と読めます。

読み方の目安(あくまで一般的な目安)

リピートの構成比お店の状態の読み方
おおむね 5割以上リピートが主力の“体力のある店”。新規はゆるめても崩れにくい
おおむね 3〜5割バランス型。新規とリピートの両輪が回り始めている
3割未満(新規7割超)新規頼み。広告依存になりやすく、集客が止まると失速しやすい
※この割合は商材によって“ちょうどいい”水準が変わります。たとえば消耗品や定期購入向きの商品はリピート比率が高くなりやすく、一生に数回しか買わない高額商品はどうしても新規比率が高くなります。同業の平均と比べるより、自分の店の先月・先々月と比べて変化の向きを見るほうが役に立ちます。

一度きりの数字で一喜一憂せず、毎月同じ計算で並べていくのがポイントです。リピートの構成比がじわじわ上がっていれば、お店の土台が育っている良い兆し。逆に下がり続けているなら、常連さんが離れ始めているサインかもしれません。売上全体をもっと細かく(集客×買われやすさ×注文単価に)割って原因を探る方法は、EC売上を分解して弱点を見つけるで、お客さんの人数を新規・リピートに割る見方は客数を新規とリピートに分解するでくわしく扱っています。

あなたへの影響|「足りない側」に手を打つと、売上は安定する

構成比が出せると、次にやるべきことが自動的に決まります。ポイントは、多いほうをさらに伸ばすより、まず“足りない側”を手当てすることです。

新規に偏っている店(リピートが薄い)なら、いちばん効くのは「一度買ってくれた人に、もう一度買ってもらう」工夫です。新しいお客さんを1人集めるコストは、既存のお客さんに再購入してもらうコストより高くつくのが一般的。同じ労力なら、すでに接点のある人へのアプローチのほうが実りやすいのです。まず見たいのがリピート率(もう一度買ってくれた人の割合)、そして最初の関門であるF2転換(初回購入の人を2回目につなげること)です。購入後のフォローメールや同梱物、次回使えるクーポンなど、小さな一歩から始められます。

リピートは厚いが、売上全体が伸び悩んでいる店なら、話は逆です。常連さんに支えられて土台は安定しているぶん、新しい出会いを増やすほうに投資する番。集客チャネルを見直したり、広告を厚くしたりして、新規の入り口を広げます。ここで大切なのが、新規のお客さんを「その月だけの売上」で採算判断しないこと。初回は多少赤字でも、その人がリピートしてくれれば、長いおつきあいの中で使ってくれる金額(LTV=ライフタイムバリュー。1人のお客さんが生涯で払ってくれる金額の合計)で回収できます。この考え方はLTVとCACで広告投資の上限を決めるや、月別にお客さんの定着を追うコホート分析でLTVを読み解くが助けになります。

そしてどちらのタイプにも共通して効くのが、お客さんを「新規・優良・離れかけ」などのグループに分けて、それぞれに合った声かけをすること。全員に同じメールを送るより、ずっと反応が変わります。分け方の定番はRFM分析で顧客を分けるを参考にしてください。

構成比という1本の物差しがあると、「今月はどっちに力を入れるべきか」が毎月クリアになります。これをKPIダッシュボード(お店の重要な数字を一覧で見るための表)の定番項目に加えておくと、毎月の振り返りがぐっと楽になります。

明日からやること

  1. 直近1か月分の注文を用意する:管理画面から注文データ(CSV)を書き出す。まずは1か月でOK。
  2. 新規とリピートに振り分ける:はじめての購入か、2回目以降かで2つに分ける(管理画面の絞り込み機能があれば活用)。
  3. それぞれの売上を合計する:新規の売上合計・リピートの売上合計を出す。
  4. 構成比を計算する:「それぞれの売上 ÷ 売上全体 × 100」で割合を出す(利益計算ツールの電卓でも十分)。
  5. 足りない側を決める:新規に偏っていればリピート施策、リピートが厚いのに伸びなければ新規集客、と力の入れどころを1つ選ぶ。
  6. 毎月同じ計算で並べる:来月も同じやり方で出し、割合の“変化の向き”を追う。ダッシュボードの定番項目にする。

新規・リピート構成比チェックリスト

月末にもう一度、売上の数字を思い浮かべてみてください。さっきまで「今月も◯◯円売れた」という一本の合計にしか見えなかったものが、今は「新規の脚とリピートの脚、どちらでどれだけ立っているか」というお店の姿として見えてくるはずです。中身が見えれば、もう「なんとなく不安」で立ち止まることはありません。足りない側に、ひとつだけ手を打つ。その積み重ねが、広告に振り回されない“体力のある店”をつくっていきます。まずは今日、先月の売上を2つに分けるところから、始めてみませんか。

EC担当者が、新規とリピートの二本の脚でしっかり立つお店を思い描き、安定した手応えを感じて明るい表情で前を向いている情景

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あなたの店の売上は今、「新規」と「リピート」のどちらの脚で立っているでしょうか。ざっくりでかまいません、新規とリピートのおおよその割合と、いちばん困っていること(広告を止めると売上が落ちる/常連はいるが売上が伸びない など)を教えていただければ、無料診断で「まずどちらに、どんな手を打つと安定しそうか」を一緒に整理してお返しします。

参考(公式・一次情報)

※本記事は売上を新規・リピートに分けて構成比で見る考え方を分かりやすく整理したものです。記載の金額・割合・目安の数値は説明のための例であり、当メディアが実運用データを保証するものではありません。適切な割合は商材・業態によって異なります。新規・リピートの集計定義は利用するツールによって異なるため、実際の判断は自店のデータと各ツールの最新の公式情報をあわせてご確認ください。

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