
客数を新規とリピートに分けて伸びしろを探す|EC売上分析入門
「もっとお客さんを増やさなきゃ」——売上が伸び悩むと、つい広告を足したくなります。でも、いざ出稿を増やしても手応えがなく、費用だけが積み上がっていく。そんな経験はありませんか。実はその「お客さんを増やす」という言葉、中身が2つに分かれているのに、ひとまとめのまま眺めているせいで、打ち手がぼやけてしまっているのかもしれません。
お店に買いに来てくれた人の数、つまり客数は、初めて買ってくれた新規のお客さんと、前にも買ってくれたリピートのお客さんが足し合わさったものです。この2つは、増やし方も、かかるコストも、まるで性格が違います。今日は、丸めて見ていた客数を新規とリピートに開いて、次にどちらを伸ばすのが得かを、一緒に落ち着いて見つけていきましょう。
結論:客数を「新規客数 + リピート客数」に分けて、月ごとに並べる。
どちらが伸び悩んでいるかで、打つ手が変わります。新規が細っているなら集客の入口を、リピートが細っているなら買った後のフォローを直す。分けないと「なんとなく客数が減った」で止まり、間違った方にお金を使いがちです。まず2つに割って、弱っている側から手をつけましょう。
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いま何が起きているか|「客数」はひとかたまりに見えて2つの顔がある
売上は、ざっくり「客数 × 客単価(お客さん1人あたりの購入金額)」で決まります。その客数を、もう一段だけ分解してみます。
- 新規客数:その月に、あなたのお店で初めて買ってくれた人の数。広告やSEO(検索から来てもらう工夫)、SNSなど、出会いの入口が生み出します。
- リピート客数:以前にも買ったことがあり、その月にまた買ってくれた人の数。メルマガやLINE、同梱物、商品そのものの満足など、買った後の体験が生み出します。
この2つは、同じ「1人の客数」でも育て方が正反対です。新規は基本的に広告費などのコストをかけて外から連れてくるもの。一方リピートは、すでに一度出会えた人が戻ってきてくれるので、新規を1人増やすよりずっと安く積み上がるのが普通です。だからこそ、いま自分の店の客数が「新規で持っているのか」「リピートで持っているのか」を知らないままだと、伸ばしどころを大きく取り違えてしまいます。
たとえば、新規はしっかり取れているのにリピートが薄いお店は、穴の空いたバケツに水を注いでいる状態です。ここで広告をさらに足しても、入った人がまた抜けていくだけ。逆に、リピートは厚いのに新規が細っているお店は、常連さんに支えられているうちに、新しい出会いが減っているサインかもしれません。どちらも、客数という一つの数字を見ているだけでは気づけません。分けて初めて、店の「体質」が見えてくるのです。
具体例|客数を2つに割って「弱い側」を見つける3ステップ

むずかしい集計はいりません。すでに手元にある注文データを、切り口を変えて数えるだけです。順番にやってみましょう。
ステップ①:月ごとに「新規」と「リピート」を数える まず、直近6か月ほどを月単位で用意します。各注文が、その人にとって初めての購入か、2回目以降かで仕分けます。多くのカートやモールの管理画面には「新規購入者数/リピート購入者数」を出す機能があり、GA4でも新規とリピーターを分けて見られます(GA4のディメンションと指標についてはGoogleアナリティクスヘルプを参照)。この機能がなくても、注文データを顧客IDで並べ、その月が初回登場なら新規、過去に登場していればリピートと数えれば出せます。
ステップ②:2本の折れ線として並べて、動きの違いを見る 出した新規客数とリピート客数を、月ごとに横に並べます(数値は例)。
- 例A:新規が「120→90→70」と月々下がっているのに、リピートは横ばい。→ 入口(集客)が弱っているサイン。広告やSEO、SNSの見直しが先。
- 例B:新規は「100前後で安定」なのに、リピートが「80→60→40」としぼんでいる。→ 買った後のフォローが弱いサイン。メルマガやLINE、同梱物、初回フォローの見直しが先。
- 例C:どちらも右肩下がり。→ まずはリピートから。すでに出会えた人を取り戻す方が、新規をゼロから増やすより安く早いことが多いからです。
大事なのは、合計の客数ではなく、2本の線それぞれの向きを見ることです。合計が同じ「横ばい」でも、「新規増+リピート減」と「新規減+リピート増」では、まったく違うお店の状態を表しています。
ステップ③:弱い側を「1つの数字」でもう一段だけ深掘る 弱っている側が分かったら、その中の代表的な1指標だけ見ます。
- 新規が弱いなら → アクセス数(訪問の数)と新規のCVR(シーブイアール=訪れた人のうち買った割合。買われやすさ)のどちらが落ちたか。アクセスが原因なら集客、CVRが原因なら商品ページ側です。
- リピートが弱いなら → F2転換率(初めて買った人が、2回目も買ってくれた割合)を見ます。ここが低いなら、初回のあとのフォローに伸びしろがあります。
やりがちなNGと、その直し方
・客数の合計だけ見て一喜一憂する:中で新規とリピートのどちらが動いたか分からない。→ まず2つに割って並べる。
・いつも新規=広告に飛びつく:新規は1人あたりのコストが高い。リピートが薄いお店ほど、まず後ろの穴をふさぐ方が効く。→ 弱い側から直す。
・1か月だけで判断する:季節や単発のセールで大きく振れる。→ 数か月の流れで向きを見る。
・新規を「初回購入」ではなく「新規訪問」で数えてしまう:買っていない訪問者まで混ざり、話がずれる。→ 客数は「買ってくれた人」で数える。
まずは新規とリピートの2本の線を引くところまでで十分です。どちらが細っているかが見えたら、その月から手をつける場所が、はっきり1つに定まります。
あなたへの影響
- 「客数を増やす」というぼんやりした目標が、具体的な打ち手に変わります。新規を取りに行くのか、リピートを守るのか——迷いが減り、限られた予算と時間を無駄打ちしなくて済みます。
- リピートの弱さに早く気づければ、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるムダを止められます。多くの場合、リピートを1人積む方が新規を1人取るより安く、採算がぐっと良くなります。
- 新規とリピートを分けて見る習慣がつくと、施策の効き目も分けて確かめられるようになります。「広告を増やしたら新規は増えたが、リピートは変わらない」といった変化を、一つの客数に埋もれさせずに拾えます。
- 「うちは新規で回っている店か、常連さんに支えられている店か」という自分の店の体質が言葉にできるようになり、来月どこに力を注ぐかの判断が、勘から根拠へと変わっていきます。
明日やること
- 直近6か月ほどの注文を、月ごとに新規客数とリピート客数の2つに分けて数える。
- 2本の折れ線として並べ、どちらの線が下がっているかを見つける。
- 新規が弱いならアクセス数と新規CVR、リピートが弱いならF2転換率を1つだけ確認する。
- 弱い側に合わせて、直す場所を1つ決める(集客の入口 or 買った後のフォロー)。
- どちらも弱いときは、まずリピートから着手する(安く早く戻せることが多い)。
- 翌月、同じ2本の線を引き直して、狙った側の数字が上向いたかを追う。
客数(新規×リピート)分解チェックリスト
- 客数を、月ごとに新規とリピートの2つに分けて数えた
- 「買ってくれた人」で数えている(訪問者数と混同していない)
- 新規とリピートを2本の折れ線として並べ、向きを見た
- 1か月だけでなく、数か月の流れで判断している
- どちらの線が下がっているか(弱い側)を1つ特定した
- 新規が弱い→アクセス/CVR、リピートが弱い→F2転換率を確認した
- 弱い側に合わせて、次に直す場所を1つに決めた
- 翌月、同じ切り口で数字が上向いたかを追っている
広告の管理画面を開く前に、まずは客数を2つに割る一手間を。ひとかたまりに見えていた数字が新規とリピートに分かれた瞬間、「増やさなきゃ」という漠然とした焦りは、「今月はこっちを直そう」という静かな手応えに変わります。伸びしろは、たいていあなたがまだ分けて見ていなかった側に隠れています。今日はまず、先月の客数を新規とリピートの2つに分けてみるところから始めてみましょう。

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