たくさんの商品ページの一覧を前に、どのページから改善すればいいのか決めきれず考え込んでいるネットショップの担当者

どの商品ページから直す?アクセスとCVRで優先度を決める

「直したい商品ページはたくさんある。でも、全部を直す時間なんてない」。取り扱う商品が増えてくると、多くの担当者がここでつまずきます。写真を撮り直したいページ、説明文が古いページ、レビューがゼロのページ——気になるところを挙げればきりがない。けれど一日は24時間で、あなたの手は2本だけです。

だからこそ大事なのは、「どのページから直すか」を勘ではなく数字で決めること。同じ1時間をかけるなら、売上がいちばん伸びるページに使いたいですよね。今日は、たくさんある商品ページの中から「いま直すと一番効く1ページ」を見つけるやり方を、いっしょに整理していきましょう。難しい分析は使いません。見るのは、アクセス数とCVR(購入率)の2つだけです。

結論:どのページから直すかは、「アクセスは多いのに、買われていないページ」から手をつけるのが近道です。手順は3ステップ。①商品ページごとに アクセス数(見に来た人の数)・CVR(見た人のうち買った人の割合)・売上 を並べる。②アクセスが多いのにCVRが低いページを探す(=せっかく人が来ているのに取りこぼしている=伸びしろが一番大きい)。③そのページを1つだけ直し、数字の変化を見てから次へ進む。全ページを均等に直そうとすると、時間がいくらあっても足りません。「もったいない1ページ」を数字で見つけて、そこに集中するのが、遠回りに見えて一番の近道です。

いま何が起きているか|「気になった順」に直すと、時間だけ溶けていく

商品ページの改善で、いちばん多い失敗は「気になった順」に直してしまうことです。今朝ふと目にとまったページ、お客様から問い合わせがあったページ、なんとなく古く感じるページ……。もちろんどれも直す価値はあります。でも、その順番で手をつけると、あまり見られていないページを一生懸命直して、よく見られているページを後回しにしてしまうことが起きがちです。

考えてみてください。1か月に10人しか見ないページを完璧に磨き上げても、増える注文はごくわずかです。一方、1か月に3,000人が見ているのに、なかなか買われていないページなら、少し直すだけで注文がぐっと増えるかもしれません。同じ労力でも、どのページに使うかで結果はまるで違うのです。

ここで手がかりになるのが、CVR(シーブイアール=購入率) という数字です。CVRは、商品ページを見た人のうち、実際に買ってくれた人がどれくらいいたかを表します。たとえば1,000人が見て10人が買えば、CVRは1%です。「ページの買われやすさ」を表す数字だと考えてください。

そして、売上は次のかけ算で決まります。

売上 = アクセス数 × CVR ×客単価(1回の注文で使われる金額)

このかけ算を商品ページごとに見ると、「どこが弱くて売上を取りこぼしているか」が見えてきます。アクセスは多いのにCVRが低ければ、人は来ているのに買われていない——つまり、ページの中身を直せば売上が伸びる可能性が高い、ということです。逆にアクセスがそもそも少ないなら、直すべきはページの中身より集客かもしれません。数字を並べるだけで、打つべき手が変わってくるのです。

具体例|アクセスとCVRで、商品ページを4タイプに分ける

縦軸にCVRの高低、横軸にアクセスの多少をとり、商品ページを4つのタイプに分けたマトリクス図
アクセスの多い・少ない、CVRの高い・低いで、商品ページは4タイプに分かれる。最優先は「アクセス多いのにCVRが低い」左上の伸びしろページ。

やり方は、むずかしくありません。まず、商品ページごとに「アクセス数・CVR・売上」を表にして並べます。数字はGA4(グーグルアナリティクス。無料のアクセス解析ツール)で見られます。次の表は、考え方を説明するための作例(実際のお店の数字ではありません)です。

商品ページ月間アクセスCVR(購入率)客単価月間売上(例)タイプ
ページA3,0001.0%5,000円150,000円よく見られ、よく売れる(守る)
ページB3,0000.5%5,000円75,000円よく見られるのに買われない(伸びしろ大)
ページC4003.0%5,000円60,000円買われやすいが人が少ない(集客で伸ばす)
ページD3000.4%5,000円6,000円人も少なく買われもしない(後回し)

この4つを、アクセスの多い・少ないと、CVRの高い・低いで分けると、打つ手がはっきりします。

タイプ①|アクセス多い×CVR低い=「最優先で直すページ」

いちばん先に手をつけるべきは、ページBのような「よく見られているのに、なかなか買われていない」ページです。人はたくさん来ているのに取りこぼしている状態なので、ここが伸びしろが一番大きい。

どれくらい効くか、作例で確かめてみましょう。ページBのCVRを0.5%から1.0%へ引き上げられたら、注文は月15件から30件に増え、売上は75,000円から150,000円へ。月に約75,000円の上積みです。一方、もともと買われやすいページCのCVRを3.0%から3.5%に上げても、アクセスが400人なので増える注文はわずか2件、売上は+10,000円ほど。同じ「CVRを上げる」でも、アクセスが多いページで改善するほうが、効き目は何倍も大きいのです。

タイプ②|アクセス多い×CVR高い=「守るページ」

ページAのように、よく見られてよく売れているページは、お店の稼ぎ頭です。ここは無理に大きくいじらないのが基本。うっかり写真やレイアウトを変えて、かえってCVRを下げてしまうと、売上への打撃が大きいからです。触るときはA/Bテスト(2つの案を出し分けて反応を比べる方法)で慎重に。まずは「今の状態を守る」意識でかまいません。

タイプ③|アクセス少ない×CVR高い=「集客で伸ばすページ」

ページCのように、来た人はよく買ってくれるのに、そもそも見に来る人が少ないページ。これはページの中身より、集客に伸びしろがあります。ページ自体の説得力はあるので、検索対策や広告、SNSでアクセスを増やせば、その高いCVRのまま売上が伸びていきます。ページを直すより、人を連れてくることにエネルギーを使いましょう。

タイプ④|アクセス少ない×CVR低い=「今は後回し」

ページDのように、人も来ないし買われもしないページ。冷たいようですが、今は後回しでかまいません。ここを直しても、母数が小さいので売上への影響はごくわずか。取り扱いをやめる・別ページにまとめるといった整理の候補にもなります。限られた時間を、まずは伸びしろの大きいページに向けましょう。

あなたへの影響|「なんとなく」から「根拠を持って」直せるようになる

この見方が身につくと、日々の改善の手ごたえが大きく変わります。

まず、少ない時間で、一番効く一手を打てるようになります。全ページを平等に直そうとするのをやめ、「アクセス多い×CVR低い」の伸びしろページに集中するだけで、同じ労力でも増える売上がまるで違ってきます。忙しい中小ECほど、この「選択と集中」の効果は大きいはずです。

次に、改善の成果が測れるようになります。直す前にそのページのアクセス・CVR・売上を控えておけば、直したあとに「CVRが0.5%から0.8%に上がった」と数字で確認できます。効いたのか効かなかったのかが分かると、次の一手の精度も上がり、改善が「当てもの」ではなく「積み上げ」に変わります。

そして、チームや外注先と話しやすくなるのもうれしい変化です。「なんとなく古いから直したい」ではなく、「このページは月3,000アクセスあるのにCVRが0.5%で、他より低い。ここを直したい」と数字で言えると、周りも納得して動きやすくなります。

一つだけ、注意も添えておきます。アクセスが極端に少ないページのCVRは、あてになりません。月に20人しか来ないページで1人が買えばCVRは5%ですが、これは「たまたま」の可能性が高い。CVRを比べるときは、ある程度アクセスがたまっているページ同士で見るのが安全です。目安として、注文が月に数件以上あるページを中心に判断すると、数字に振り回されにくくなります。

明日からやること

  1. GA4でページごとのアクセス数と購入数を出す。GA4のeコマース/ページ別のレポートで、商品ページ単位のアクセスと注文が確認できる。
  2. 表を作って「アクセス・CVR・売上」を並べる。CVR=購入数 ÷ アクセス数 × 100 で計算する。上位20〜30ページだけでも十分。
  3. 「アクセス多い×CVR低い」ページを1つ選ぶ。ここが今月いちばんの伸びしろ。
  4. 選んだ1ページだけを直す。どこを直すか迷ったら、商品ページ改善の優先順位の付け方(ページの中の「どこ」を直すか)も参考に。
  5. 直す前の数字を控えておく。1〜2週間後にCVRが動いたかを見て、効果を確かめてから次のページへ。
  6. アクセスが少ないページは集客側を検討する。CVRが高いのに人が少ないページは、直すより集客を増やす。

いきなり全ページを分析する必要はありません。まずは、あなたのお店で一番アクセスが多い商品ページを1つ思い浮かべて、そのCVRを見てみてください。もし低ければ、そこがあなたの「一番もったいない場所」です。

商品ページの改善優先度を決める チェックリスト

一覧の中から直すべき1ページを見つけ、すっきりした前向きな表情で改善に取りかかろうとしているネットショップの担当者

数字を見るのは、冷たい作業ではありません。むしろ、限られた時間を「一番効く場所」に使うための、やさしい道しるべです。今日、あなたのお店で一番よく見られている商品ページのCVRを、ひとつ確かめてみてください。そこに伸びしろが眠っているかもしれません。全部を直そうと気負わなくて大丈夫。もったいない1ページを見つけて、そこから一歩ずつ。その積み重ねが、来月の売上をそっと押し上げてくれます。

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参考(公式・一次情報)