
RFM分析でお客さんを分ける|施策を変えて売上を積む
「常連さんにも、一度きりのお客さんにも、しばらく戻っていない人にも、毎回まったく同じメルマガを送っている」――もし心当たりがあれば、それはとてももったいない状態かもしれません。
同じ「お客さん」でも、毎月買ってくれる人と、半年前に一度だけ買った人とでは、かけるべき言葉も、届けるタイミングもまるで違います。全員に同じ内容を送るのは、久しぶりの友人にも親友にもまったく同じ手紙を書くようなもの。悪くはないけれど、どちらの心にも深くは届きません。
今日ご紹介するRFM分析は、お客さんを「最近・回数・金額」の3つのものさしで分けて、誰に何を届ければいいかを見えるようにする方法です。難しいツールはいりません。注文データと表計算ソフト1枚から始められます。読み終える頃には、「次のメルマガ、この人たちにはこう書こう」という具体的な地図が手に入っているはずです。
結論:RFM分析(お客さんを Recency=最近いつ買ったか、Frequency=何回買ったか、Monetary=いくら使ったか の3つで分ける見方)を使うと、全員一律ではなく層ごとに打ち手を変えられるようになります。まずは全員に点数をつけて「優良客・育てたい客・離れかけの客」の3つに大きく分けるところから。同じ集客のままでも、届け方を変えるだけで売上は積み上がっていきます。
そもそもRFM分析とは?お客さんを測る3つのものさし

RFMは、お客さんを次の3つのものさしで測る考え方です。頭文字をとってRFMと呼びます。
- R:Recency(最近いつ買ったか) … 最後に買ってからどれくらい経っているか。日が浅いほど「今、関心が高い」お客さんです。
- F:Frequency(何回買ったか) … これまでの購入回数。多いほど「お店を気に入って続けてくれている」お客さんです。
- M:Monetary(いくら使ったか) … これまでの合計購入金額。大きいほど「お店に貢献してくれている」お客さんです。
この3つのうち、最初に効くのはR(最近いつ買ったか)です。どんなに過去にたくさん買ってくれた人でも、半年・1年と離れていれば、気持ちはもうお店から遠ざかっています。逆に、まだ1回しか買っていなくても「先週買ったばかり」の人は、今いちばん振り向いてくれやすい状態。だから3つの中でもRを軸に考えると、打ち手の優先順位がつけやすくなります。
なぜ「全員一律」だと売上が伸び悩むのか
全員に同じ内容を送ると、常連さんには「知ってる情報ばかり」で響かず、離れかけの人には「急に売り込まれた」と感じられ、どちらにも刺さりません。さらに、誰にでも同じ割引クーポンを配ると、放っておいても買ってくれた常連さんにまで値引きしてしまい、利益を自分で削ることになります。お客さんを分けて、「その人に必要な言葉」を届けるだけで、同じ配信でも反応と利益は変わってきます。
具体例:架空のショップで「点数づけ」をやってみる
言葉だけだとイメージしづらいので、架空の雑貨店で表を1枚作ってみましょう。やり方はシンプルで、R・F・Mそれぞれを3段階(3点=良い / 2点=ふつう / 1点=弱い)で点数化します。まずは基準を決めます(お店の実情に合わせて調整してかまいません)。
| ものさし | 3点 | 2点 | 1点 |
|---|---|---|---|
| R(最終購入からの日数) | 30日以内 | 31〜90日 | 91日以上 |
| F(累計購入回数) | 5回以上 | 2〜4回 | 1回 |
| M(累計購入金額) | 3万円以上 | 1〜3万円 | 1万円未満 |
この基準で、お客さんに点数をつけていきます。
| お客さん | R | F | M | ざっくり分類 |
|---|---|---|---|---|
| Aさん | 3 | 3 | 3 | 優良客(大事にする) |
| Bさん | 3 | 1 | 1 | 新しく入った客(育てたい) |
| Cさん | 1 | 3 | 3 | 離れかけの優良客(呼び戻す) |
読み方はこうです。
- Aさん(R3・F3・M3):最近も買っていて、回数も金額も多い理想のお客さん。特別扱いで関係を続ける層です。
- Bさん(R3・F1・M1):つい最近1回買ったばかり。今が関心のピークなので、2回目につなげるのがいちばん効く層です。
- Cさん(R1・F3・M3):かつては何度も買ってくれた大切な人なのに、最近は足が遠のいている。このまま放置すると失う、いちばん声をかけるべき層です。
ポイントは、CさんのようにF・Mが高くてもRが低い人を見逃さないこと。合計点だけで並べると、Cさんは「7点」でそこそこ上位に見え、危険信号が埋もれてしまいます。だから合計点で満足せず、Rが下がっている優良客を必ず個別に拾うのがコツです。
数字を扱うときは、必ず検算しましょう。たとえば「累計金額3万円以上」で3点をつけたなら、その人の注文履歴を実際に足して30,000円を超えているかを確かめます。ここがずれると、大事なお客さんを取り違えてしまいます。
いきなり27分割しない。まずは3つの層で十分
RFMはR・F・Mを各3段階にすると、理屈のうえでは3×3×3=27通りに分かれます。でも最初から27グループを相手にすると、確実に手が止まります。まずは思い切って、「優良客」「育てたい新規客」「離れかけの客」の3つにざっくりまとめてしまいましょう。細かい分割は、運用に慣れてからで十分間に合います。
層ごとに打ち手を変える(ここが本番)
分けただけでは売上は動きません。層ごとに届ける内容を変えて、はじめて効果が出ます。先ほどの3層に、それぞれの打ち手の例を当てはめてみます。
- 優良客(R高・F高・M高):値引きで釣る必要はありません。むしろ「いつもありがとうございます」の気持ちと、新商品の先行案内や限定情報など“特別扱い”で関係を深めます。ここに安売りを乱発すると、利益を削るだけになります。→ 会員ランクの設計が効きます。
- 育てたい新規客(R高・F低):関心が高いうちに、2回目の購入(F2転換)へ後押しします。初回のお礼メール、使い方の紹介、次回に使える小さな特典など、「もう一度買う理由」をそっと差し出します。
- 離れかけの客(R低・F高だった人):かつての優良客が離れかけているので、「お久しぶりです」の呼び戻し(ウィンバック)を。近況や新商品を届け、必要なら復帰のきっかけになる特典を。ただし全員に配るのではなく、戻ってきてほしい相手を絞って声をかけます。
同じ配信システムでも、送り先の層で件名も本文も変える。これがRFM分析の一番おいしいところです。
あなたへの影響
- お客さんを分けられると、「誰に配ると効くか」が根拠で決まり、配信の反応が上がります。全員一律のときより、開封も購入も伸びやすくなります。
- 優良客と一見客を見分けられると、値引きの無駄打ちが減ります。放っておいても買う人にクーポンを配らずに済み、利益を守れます。
- 離れかけの優良客を早く見つけられると、失う前に手を打てます。一度離れた人を呼び戻すのは、新しく1人集めるより手間もお金もかかりがち。先回りできるほど得です。
- 逆にRFMを見ないままだと、「なんとなく全員に配る」から抜け出せず、反応の薄い配信を続けて、大事なお客さんが静かに離れていくのに気づけません。
明日やること
- 注文データを書き出し、お客さんごとに「最終購入日・累計購入回数・累計購入金額」の3つが分かる状態にする(多くのカートやモールでCSVダウンロードできます)。
- R・F・Mそれぞれに、お店の実情で3段階の点数基準を決める(上の表を叩き台に)。
- お客さんに点数をつけ、まずは「優良客・育てたい新規客・離れかけの客」の3層にざっくり分ける。
- Rが下がっている優良客(かつての常連)を個別に拾い出し、リストにする。ここが最優先。
- 3層それぞれに次の1通で送る内容を1行ずつ決める(優良客=特別案内 / 新規=2回目の後押し / 離れかけ=呼び戻し)。
いきなり27分割の精密な表を作らなくて大丈夫です。「3層に分けて、それぞれに送る言葉を1つ決める」――今日はそこまでで十分。その1枚が、来月からの配信を「全員一律」から卒業させる地図になります。
チェックリスト
- 注文データから「最終購入日・累計回数・累計金額」を取り出せる
- R・F・Mそれぞれに3段階の点数基準を決めた
- お客さんに点数をつけ、3つの層にざっくり分けられている
- 合計点だけでなく、Rが下がった優良客を個別に拾った
- 各層に「次に送る内容」を1つずつ決めた
- 優良客に安易な値引きを乱発していないか見直した
- 点数づけの金額・回数を実データで検算した

関連テンプレート・無料ツール
- ▶ 初回購入者を2回目につなげるF2転換入門 — 「育てたい新規客」への最初の一手
- ▶ 休眠顧客の掘り起こし施策 — 「離れかけの客」を呼び戻す具体策
- ▶ 会員ランク・ポイント制度の設計 — 「優良客」を特別扱いで育てる仕組み
- ▶ コホート分析でリピートを読み解く — 別の角度から定着を見る
- ▶ ECの健康診断|見るべきKPIダッシュボードの作り方 — RFMを週次運用に組み込む
- ▶ EC利益計算ツール(利益率 / ROAS / 送料無料ライン / LTV) — 層ごとの採算を数字で確認
- ▶ 売れるECサイトに共通する 商品ページ改善チェックリスト50
あなたのお店、いま「誰にどんな言葉を届けるか」を分けられていますか。無料診断で、お客さんの分け方と次の一手を一緒に整理します。
</content> </invoke>