
Looker StudioでECレポートを自動化する|毎月のコピペ集計から卒業
「すみません、先月のレポートってまだですか?」——月初、そう声をかけられて、心のなかで小さくため息をついたことはないでしょうか。GA4を開いて数字を写し、広告の管理画面を開いてまた写し、表計算ソフトに貼り付けて、グラフを整えて……。気づけば午前中がまるごと消えている。しかも、翌月にはまた同じ作業がやってくる。
この「毎月の手集計」、実はそのほとんどを自動にできます。使うのは、Googleが無料で提供しているLooker Studio(ルッカースタジオ/旧・Googleデータポータル)というレポート作成ツール。一度つくってしまえば、あとは開くたびに最新の数字へひとりでに更新される「生きたレポート」が手に入ります。今日は、はじめての1枚を、いちばんシンプルな形で組み立てていきましょう。
結論:ECのレポート作成は、Looker Studio(Googleの無料レポート作成ツール)でほぼ自動化できます。やることは3つだけ——①GA4(Googleの無料アクセス解析)などのデータ元をつなぐ → ②見たい数字(売上・訪問者数・CVRなど)をグラフやスコアカードで置く → ③日付の範囲を指定する。一度つくれば、翌月からは開くだけで最新の数字に更新され、URLを共有すれば上司や外注先もいつでも同じ画面を見られます。まずは「売上・訪問者数・CVR(買われた割合)」の3つを載せた1枚から始めれば十分です。手集計の半日を、丸ごと取り戻せます。
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いま何が起きているか|「レポート作り」が仕事になってしまう問題
まず、言葉を1つそろえます。Looker Studio(ルッカースタジオ)とは、Googleが無料で提供しているレポート・ダッシュボード(複数の数字を1画面にまとめた計器盤のような画面)を作るツールです。むずかしいプログラミングはいりません。GA4や広告の管理画面、Googleスプレッドシートといった「数字のある場所」とつなぐと、そこから自動で数字を読み込んで、グラフや表にしてくれます。
いまEC運営の現場でよく起きているのが、「レポートを作ること」そのものが仕事になってしまう問題です。本来レポートは、数字を見て次の一手を決めるための道具のはず。ところが実際は、GA4・Google広告・楽天やShopifyの管理画面……と、数字があちこちに散らばっているので、それを1つの表に集めるだけで力尽きてしまう。「見て考える」より「集めて貼る」に時間を取られている——これはとてももったいない状態です。
しかも手作業のコピペには、避けられない弱点が3つあります。①時間がかかる(毎月ゼロからやり直し)、②間違える(貼り付けるセルを1つずらすと数字が狂う)、③続かない(忙しい月はレポート自体をスキップしてしまい、変化に気づけない)。Looker Studioで自動化するというのは、この3つの弱点をまとめて外す、ということです。一度つないでおけば、時間はかからず、コピペミスは起きず、いつ開いても最新——だから続きます。
大事なのは、完璧な1枚を目指さないことです。最初から10個も20個も指標を詰め込もうとすると、作るのがしんどくて挫折します。まずは「これだけ見えれば毎週の判断ができる」という3つの数字から。次の章で、その最短ルートを見ていきましょう。
Looker Studioで自動レポートを作る3ステップ

準備するものは、Googleアカウントだけです。Looker StudioはLooker Studio 公式サイトから無料で使えます。以下の数字はすべて考え方を示すための架空の例なので、ご自身の店に置き換えて読んでください。
ステップ①:データ元(データソース)をつなぐ
まず、「数字がある場所」をLooker Studioにつなぎます。ECでいちばん最初につなぐとよいのは、GA4(Googleの無料アクセス解析。訪問者数や売上を計測している場所)です。Looker Studioで新しいレポートを作り、データソースの一覧からGA4を選んで、自分のサイトのプロパティを選ぶだけ。これで、GA4がためている数字を、レポート側から呼び出せるようになります。つなぎ方の手順はLooker Studio ヘルプに画面つきで載っています。
同じ要領で、Google広告や、楽天・Shopifyなどからダウンロードした数字を貼ったGoogleスプレッドシートもつなげます。まずはGA4だけで十分。慣れてきたら足していきましょう。
ステップ②:見たい数字を「置く」
つないだら、レポートの真っ白なキャンバスに、見たい数字を部品として置いていきます。よく使う部品は2つだけ覚えれば大丈夫です。
- スコアカード:1つの数字を大きく表示する部品。「売上」「訪問者数」など、パッと見たい合計値に使います。
- グラフ(時系列):日ごと・週ごとの動きを折れ線で見せる部品。「売上の推移」などに使います。
はじめの1枚は、①売上、②訪問者数、③CVR(Conversion Rate=サイトに来た人のうち、実際に買ってくれた人の割合。「買われやすさ」の指標)の3つをスコアカードで並べ、その下に「売上の推移」の折れ線グラフを1本置く——これで立派なレポートです。CVRという指標そのものの見方はCVR業界平均・ベンチマークの正しい使い方でも詳しく扱っています。
ステップ③:日付の範囲を決める
最後に、期間設定(日付範囲)の部品を1つ置きます。これを置いておくと、レポートを見る人が「先月」「今月」「過去30日」などを自分で切り替えられます。ここがLooker Studioの気持ちよさの核心です。期間を切り替えるだけで、中の数字もグラフもすべて連動して入れ替わる。もう、月が変わるたびに数字を写し直す必要はありません。
作り終えたら、右上の共有ボタンからURLを発行できます。そのリンクを送るだけで、上司も外注先も、いつでも同じ最新レポートを開けます。「レポートまだですか」のやり取りが、まるごと消えます。
具体例|半日かかっていた月次レポートが、5分になった話
架空のアパレル雑貨店で考えてみましょう。この店の担当者は、毎月初めに次のような作業をしていました。GA4を開いて先月の訪問者数・売上・CVRをメモ → Google広告を開いて広告費とクリック数をメモ → 表計算ソフトに転記 → 前月比を計算 → グラフを作り直す → スクリーンショットを貼って報告資料にする。ここまでで、だいたい半日。しかも月に一度きりなので、やり方を毎回思い出すところから始まっていました。
そこで、Looker Studioで一度だけ「月次レポート」を作りました。上段に売上・訪問者数・CVR・広告費の4つのスコアカード、中段に売上の推移グラフ、下段に「流入元別の訪問者数」の表。期間設定を置いて、前月比が出るように設定しておきます。作るのに、最初の1枚は2〜3時間かかりました。ここだけは正直、ラクではありません。
でも、翌月からが違いました。月初にやることは、レポートのURLを開いて、期間を「先月」に切り替える。以上。数字はすべて最新に更新済み。前月比も自動で出ている。かかった時間は、確認もふくめて5分。浮いた時間で担当者は何をしたかというと、「なぜ先月はCVRが下がったのか」を考え、商品ページを1つ直す作業に回せました。「集める」に使っていた半日が、「考えて直す」時間に変わったのです。
ここでのポイントは、自動化の目的は"ラクをすること"ではなく、"考える時間を取り戻すこと"だということ。レポート作りが速くなること自体が偉いのではありません。空いた時間を、数字を見て次の一手を打つことに使えて、はじめて意味が出ます。最初の作り込みは少し骨が折れますが、それは「毎月の半日」を買い戻すための、一度きりの投資です。
あなたへの影響
- 月初の半日が返ってきます。一度つくれば、翌月からは開いて期間を切り替えるだけ。コピペ集計から卒業できます。
- 数字のミスが減ります。手で転記しない=貼り付けるセルをずらす事故が起きません。いつ見ても、計算のもとは同じです。
- 「見て考える」に時間を回せます。集める作業が消えるぶん、「なぜこの数字が動いたか」を考え、実際に改善する時間が増えます。
- チームで同じ画面を見られます。URLを共有すれば、上司も外注先も、リアルタイムの同じレポートを開けます。報告のためだけの資料作りが不要になります。
- お金がかかりません。Looker Studioは無料。特別なツールの契約なしに、今日から始められます。
- レポートが「続く」ようになります。忙しくてもゼロから作り直す必要がないので、変化に気づき続けられます。
明日やること
- Looker StudioにGoogleアカウントでログインし、「空のレポート」を新規作成する。
- データソースでGA4を選び、自分のサイトのプロパティをつなぐ。
- スコアカードを3つ置き、①売上、②訪問者数、③CVRを表示する。
- その下に「売上の推移」の折れ線グラフを1本置く。
- 期間設定の部品を1つ置き、「先月」に切り替えて数字が入れ替わることを確認する。
- 右上の共有からURLを発行し、自分宛てに送って、別の日にちゃんと最新になっているか確かめる。
- 慣れてきたら、Google広告や流入元別の表を1つずつ足していく(最初から詰め込まない)。
Looker Studio 自動レポート チェックリスト
- Looker Studioに無料ログインできた
- GA4をデータソースとしてつないだ
- 「売上・訪問者数・CVR」の3つをスコアカードで置いた
- 売上の推移グラフを1本置いた
- 期間設定の部品を置き、期間を切り替えて数字が連動することを確認した
- 前月比(比較期間)が出るように設定した
- 共有URLを発行し、別のタイミングでも最新に更新されることを確かめた
- まずは3〜4指標に絞り、欲張って詰め込みすぎていない
つまずきやすい落とし穴
- 最初から指標を詰め込みすぎる:20個も並べると作るのも見るのも大変。まずは3つから。増やすのはいつでもできます。
- GA4側の計測ができていない:Looker Studioは「GA4がためた数字」を映すだけ。もとのGA4で売上(eコマース)が計測できていないと、レポートにも出ません。まずは計測を確認しましょう(GA4でECの売上を見る最初の一歩)。
- 数字の定義を確かめずに信じる:「セッション」と「ユーザー」など、GA4の言葉は意味が異なります。何を表す数字かを一度確認してから並べましょう。
- 見た目を作り込みすぎる:色やレイアウトに凝りすぎると本末転倒。まずは「読める・伝わる」で十分です。
- 作って終わりにする:レポートは見て動くための道具。毎週決まった曜日に開いて、1つでも手を打つ習慣とセットにしましょう(ECの健康診断|見るべきKPIダッシュボードの作り方)。
- 共有範囲を確認しない:URLの共有設定を広げすぎると、意図しない人に見られることも。共有先は必要な範囲に絞りましょう。
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あなたのお店では、月初のレポート作りに、どれくらいの時間がかかっていますか。無料診断では、いま手集計している数字のうち「自動にできるもの」と「まず見るべき3指標」を、あなたの店の状況に合わせて1つずつお伝えします。

レポート作りに追われるのは、あなたの段取りが悪いからではありません。数字が、あちこちに散らばっているからです。Looker Studioは、その散らばった数字を1か所に集めて、毎月ひとりでに更新してくれる場所をくれます。最初の1枚を作る2〜3時間だけ、少し腰を据えて。そこを越えれば、翌月からは「開いて、考える」だけ。集める作業から解放されたあなたの時間は、きっと、お店をよくする一手に変わっていきます。まずは今日、空のレポートを1枚、開いてみてください。