
AIで関連商品レコメンドを強化する|回遊と客単価を上げる
「せっかく1つ買ってもらえたのに、それっきり。あと1つ、ついでに買ってもらえたら利益が全然違うのに……」——ネットショップを運営していると、そんなもどかしさを感じる瞬間があります。
実店舗なら、店員さんが「これ、この商品と合わせるとより使いやすいですよ」と一声かけられます。ネットショップでその役割をするのが、関連商品のおすすめ表示、いわゆる「レコメンド」です。この記事では、AI(生成AI)の力を借りて、そのおすすめの精度と手間を一緒に見直していきます。むずかしいシステムの話ではなく、今日から試せる小さな工夫として、順番に確かめましょう。
結論:AIレコメンドは、次の3ステップで小さく始めるのが失敗しにくいです。
①「一緒に使う・買われる」組み合わせをAIに洗い出させる → ②おすすめの言葉(コピー)をAIで作る → ③人が事実とトーンを確認して掲載する。
AIに全部まかせるのではなく、「たたき台をAIに作らせ、最後は人が決める」のが安全で、しかも早いやり方です。
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文章だけだとイメージしにくい方へ。このページの内容を、動画でやさしく解説しました。読んでもピンとこなかったところは、ぜひ動画で確かめてみてください。
いま何が起きているか:レコメンドは「専用ツール」だけのものではなくなった
レコメンドとは、ある商品を見ている人や買った人に、「これも合いますよ」と関連する商品を出す仕組みのことです。「よく一緒に購入されている商品」「この商品を見た人はこちらも見ています」といった表示を、一度は目にしたことがあるはずです。
これまで、精度の高いレコメンドは高価な専用ツールの世界の話でした。ですが今は、状況が少し変わっています。
- カートやモールの標準機能でも、関連商品を出す枠が用意されていることが増えました。
- 生成AIを使えば、「どの商品とどの商品を組み合わせると自然か」「どう声をかければ手に取ってもらえるか」を、たたき台として素早く出せるようになりました。
ここで大事なのは、レコメンドには大きく2つの狙いがあると知っておくことです。1つはクロスセル(関連商品のついで買いをうながすこと)。たとえばコーヒー豆にフィルターを添えるような組み合わせです。もう1つはアップセル(もう少し良い上位品への引き上げ)。同じ種類で容量が多いお得なサイズをすすめる、といった形です。この2つを意識するだけで、おすすめの質はぐっと変わります。
狙いは最終的に、回遊(サイト内で複数のページを見て回ること)を増やし、客単価(1回の注文で使われる金額)を上げることにあります。1人のお客さんに気持ちよく「もう1つ」を選んでもらえれば、新しいお客さんを集めなくても売上は伸びます。
具体例:3ステップで「AIレコメンド」を始める

① 「一緒に使う・買われる」組み合わせをAIに洗い出させる
まず決めたいのは、「どの商品に、何をおすすめするか」です。ここでよくある失敗が、関連のうすい商品を機械的に並べてしまうこと。おすすめは、数より「なるほど確かに」という納得感が命です。
手元にある商品リストと、ざっくりした売れ方(一緒に買われやすい組み合わせの心当たり)をAIに渡し、「一緒に使う場面が想像できる組み合わせ」を出してもらいましょう。AIは、用途・シーン・相性から候補を素早く挙げるのが得意です。過去の購入データがあるなら、それを要点だけ添えるとさらに精度が上がります。ただし最終的に「本当に在庫があるか」「利益が残るか」は人が確認します。
② おすすめの言葉(コピー)をAIで作る
組み合わせが決まったら、次は「なぜ合うのか」を一言で伝える文をつくります。ただ商品を並べるより、「朝のバタバタに。○○と一緒だと準備が5分短くなります」のように、使う場面が浮かぶ一言があるだけで、手に取ってもらいやすくなります(数字はあくまで一例です)。
この短い添え文づくりこそ、生成AIが力を発揮する場面です。商品名と組み合わせの理由を渡せば、トーンをそろえた候補をいくつも出してくれます。言葉の作り方をもっと磨きたいときは、売れるキャッチコピー・商品名の付け方もあわせてどうぞ。
③ 人が事実とトーンを確認して掲載する
最後は必ず人の目を通します。AIが作った文には、事実と違う説明(ハルシネーション=もっともらしい嘘)がまぎれることがあります。「この効果、本当に言い切って大丈夫?」「在庫切れの商品をすすめていない?」を確認しましょう。
とくに化粧品・健康食品などは、効果を断定すると薬機法に触れるおそれがあります。「最上級」「絶対」といった表現も景品表示法(景表法)で問題になりやすいため、AIの文はそのまま使わず、必ず人がならします。生成AIを業務で安全に使うための線引きは生成AIをEC業務に安全に使う社内ルール作りに、AIによる商品分類の考え方はAIで商品タグ・カテゴリ分類を自動化するにまとめています。
コピペで使えるプロンプト
そのまま使える指示文です。【】の部分をあなたの商品情報に置き換えてください。生成AIのチャット画面に貼り付けて使えます。
あなたはECの売り場づくりに詳しい編集者です。以下の情報をもとに、関連商品のおすすめ(レコメンド)の組み合わせ案と、添える一言コピーを作ってください。
# 入力素材
- 主役の商品:【例:ドリップコーヒー豆 200g】
- 一緒に売れそうな候補(在庫あり):【例:ペーパーフィルター/保存缶/ドリップケトル/マグカップ】
- ターゲット:【例:家で丁寧に一杯を淹れたい30〜40代】
- 一緒に買われやすい心当たり(あれば):【例:豆とフィルターは同時購入が多い】
# 出力条件
- 「クロスセル(ついで買い)」と「アップセル(上位品への引き上げ)」に分けて、それぞれ2〜3組を提案
- 各組み合わせに「なぜ合うのか」の理由を1行で
- 各組み合わせに、使う場面が浮かぶ一言コピーを2案(各40字以内・やさしい口調)
- 表形式で、そのまま検討できる粒度に
# 禁止
- 効果や効能を断定する表現(薬機法に触れる恐れ・化粧品/健康食品はとくに注意)
- 「絶対」「最強」「日本一」などの最上級・誇大な表現(景品表示法に触れる恐れ)
- 在庫や事実が不確かな内容の断定(不確かな点は「要確認」と明記する)
出てきた案は必ず人が確認し、事実・在庫・表現をならしてから掲載してください。AIはたたき台づくりの相棒であって、最終判断者ではありません。
あなたへの影響
- 組み合わせと添え文をAIにたたき台化させると、これまで手が回らなかった「おすすめの一言」まで用意できるようになります。ページの説得力が一段上がります。
- クロスセルとアップセルを分けて考える癖がつくと、「関連のうすい商品をただ並べる」状態から抜け出せます。納得感のあるおすすめは、押しつけになりません。
- 回遊と客単価が上がると、新規のお客さんを増やさなくても売上を伸ばせます。広告費をかけ続ける前に、まず今いるお客さんに一歩踏み込めます。客単価の伸ばし方は客単価(AOV)の分解と引き上げ施策の見つけ方も参考になります。
- 誰に何をすすめるかをもっと精密にしたいときは、お客さんを層で分ける考え方が効きます。RFM分析で顧客を分けて施策を変えるが次の一歩です。
明日やること
- よく売れている主役商品を3つ選び、それぞれに合いそうな関連商品を書き出す。
- 上のプロンプトに商品情報を入れて、AIに組み合わせ案と一言コピーを作らせる。
- 出てきた案から、「在庫あり・利益が残る・納得感がある」ものを人が2〜3組だけ選ぶ。
- コピーの事実とトーン(断定・誇大がないか)を確認し、商品ページやカート画面のおすすめ枠に載せる。
- 1〜2週間後、そのページの回遊や客単価が動いたかを軽く振り返る。
小さな「もう1つ」を、お客さんが気持ちよく選べるように整える。それは押し売りではなく、丁寧な接客のネット版です。まずは主役商品1つから、おすすめの一言を添えてみましょう。

チェックリスト
- 主役の商品と、一緒に売れそうな候補(在庫あり)を書き出した
- クロスセル(ついで買い)とアップセル(上位品)を分けて考えた
- AIに組み合わせ案と一言コピーのたたき台を作らせた
- 在庫があり利益が残る組み合わせだけを人が選んだ
- コピーに断定・誇大表現(薬機法・景表法の恐れ)がないか確認した
- おすすめは数を絞り、納得感のある組み合わせにした
- 掲載後、回遊や客単価の変化を振り返る予定を入れた
関連テンプレート・無料ツール
- ▶ 客単価(AOV)の分解と引き上げ施策の見つけ方 — おすすめが客単価に効いたかを見る
- ▶ RFM分析で顧客を分けて施策を変える — 誰に何をすすめるかを精密にする
- ▶ 売れるキャッチコピー・商品名の付け方 — おすすめの一言を磨く
- ▶ 生成AIをEC業務に安全に使う社内ルール作り — AIを使う前の線引き
- ▶ AIで商品タグ・カテゴリ分類を自動化する — 関連づけの土台を整える
- ▶ 商品ページ改善チェックリスト50
あなたのお店で「一緒に売れそうなのに、まだおすすめできていない組み合わせ」はありませんか。主役の商品と扱っているジャンルを教えていただければ、無料診断でおすすめの組み合わせのヒントを一緒に考えてお返しします。
参考(公式・一次情報)
- Shopify ヘルプセンター — 商品レコメンド機能の設定など
- 消費者庁|表示対策(景品表示法) — おすすめ文の表現で気をつけたいこと