
AIで商品タグ・カテゴリ分類を自動化|探される棚をつくる
「この新商品、とりあえず登録だけして……タグ付けはあとで」——そう思ったまま、放置された商品が棚の奥に眠っていませんか。発送や問い合わせに追われると、商品情報を整える作業はいちばん後回しになります。けれど、その“あとで”が積み重なると、お客さまが探しても見つからない商品が静かに増えていきます。心当たり、ありませんか。
商品を正しく分類し、探すときの言葉(タグ=商品につける目印のラベル。「ギフト」「防水」「Mサイズ」など)を付けておくことは、地味だけれど売上に直結する仕事です。分類が整っていれば、サイト内検索や絞り込みでお客さまが目当ての商品にたどり着けます。今日は、このタグ付け・カテゴリ分け(商品を種類ごとにまとめる棚分け)を、AI(商品情報から分類案を作ってくれる生成ツール)に下ごしらえさせ、人が仕上げる流れを、SKU(=在庫管理上の商品の最小単位。色・サイズ違いも別々に数える単位)が増えても回せる形で一緒に組み立てましょう。
結論:AIに「分類を丸ごと任せて、そのまま公開」するのではなく、①分類の“ものさし”(カテゴリ・タグの一覧と付け方のルール)を人が先に決める → ②商品情報を渡してAICに分類案を作らせる → ③人が正しさと表記を確認して反映するという流れに分けると、速さと正確さを両立できます。
AIが得意なのは、たくさんの商品を同じ基準で素早く仕分けし、言葉のゆれをそろえること。苦手なのは、あなたの店ならではの分類ルールを勝手に理解することです。ものさしを先に渡す——ここが成否を分けます。
いま何が起きているか
商品数が増えるほど、分類は“人力では追いつかない作業”になります。10商品なら手で付けられても、300商品・1000SKUとなると、一つひとつに「どのカテゴリか」「どんなタグを付けるか」を判断し続けるのは現実的ではありません。結果、タグの付け忘れや、同じ意味なのに人によって言葉が違う表記ゆれ(「Tシャツ」「ティーシャツ」「tシャツ」がバラバラに登録される状態)が起きます。
この乱れは、じわじわとお客さまの体験を損ないます。サイト内検索(店内で商品名やキーワードから探す機能)で「防水」と入れても、タグが「ウォータープルーフ」で登録されていれば、その商品はヒットしません。絞り込みの選択肢もそろわず、「似た商品を並べて比べたい」というお客さまの動きが止まります。せっかく在庫があるのに、見つけてもらえずに売り逃す——これが分類放置のいちばんの損失です。
ここでAIが助けになります。商品名や説明文を渡せば、決めておいたカテゴリのどれに当たるか、どんなタグが付けられるかを、同じ基準で一気に提案してくれます。ただし落とし穴もあります。よくある失敗が、AIの分類をそのまま信じて反映すること。AIは、それらしい分類を作るのは得意ですが、店独自のルール(たとえば「ギフトタグは3,000円以上だけ」)は指示しないと守れませんし、商品の実物を見ていないため素材や機能を取り違えることもあります。これはハルシネーション(AIがもっともらしい誤りを作る現象)の一種です。だからこそ、ものさしを先に渡し、最後は人が確認するという線引きが、分類の品質を守る土台になります。
具体例:新商品30点をAIで一気に分類する手順

難しそうに見えますが、手順に分ければシンプルです。「アパレルの新商品30点をまとめて登録したい」という場面を例に、一緒にやってみましょう。
①分類の“ものさし”を人が先に決める まず、AIに渡す前に、自店のカテゴリとタグの一覧を書き出します。カテゴリは「トップス/ボトムス/アウター」のような大きな棚分け。タグは「素材(コットン・リネン)」「季節(春夏・秋冬)」「シーン(普段使い・きれいめ)」のような、横断で絞り込むための目印です。ここで大事なのは、言葉を1つに統一しておくこと。「防水」と決めたら「ウォータープルーフ」は使わない、と決めます。この一覧が、後でAIの出力をそろえる“ものさし”になります。
②商品情報を渡して、AIに分類案を作らせる 次に、商品名・説明文・素材・サイズなどの情報を、①で作った一覧とセットでAIに渡します。指示(プロンプト=AIへの指示文)には「このカテゴリ一覧・タグ一覧の中からだけ選ぶこと。一覧にない言葉は勝手に作らない」と明記するのがコツです。こうすると、AIは決められた選択肢の中で仕分けをするので、表記ゆれや、店に存在しないタグが混ざる事故を防げます。30点でも、表形式でまとめて出させれば一覧で確認しやすくなります。
③人が「正しさ」と「表記」を確認して反映する ここが、省いてはいけない工程です。確認するのは主に2点。(1)正しさ——素材や機能の分類が実物と合っているか(AIは説明文からの推測なので、「撥水」と「完全防水」を混同していないか等)。(2)表記——出てきた言葉が、①のものさし通りにそろっているか。とくに「ギフト向け」「セール対象」のような、ルールで条件を決めているタグ(例:ギフトは3,000円以上のみ)は、AIが価格まで見て正しく付けられないことがあるため、人が最終判断します。AIは分類案まで、反映の判断は人。この線引きだけ守れば、数が多くても崩れません。
なお、分類の根拠になる素材・機能・成分などを商品説明に書くときは、事実に基づく表現にとどめ、根拠のない「最高級」「絶対に劣化しない」といった断定は避けます(景品表示法の優良誤認にあたるおそれ)。表現のルールは景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全もあわせて確認してください。
やりがちなNGと、その直し方
・ものさしを渡さずAIに丸投げ:店にないタグや表記ゆれが量産される。→ カテゴリ・タグ一覧を先に渡し「この中からだけ選ぶ」と指示。
・AIの分類を確かめず一括反映:素材・機能の取り違えに気づけない。→ 素材や条件付きタグだけは人が実物基準で確認。
・タグを付けすぎる:絞り込みがかえって使いにくくなる。→ 1商品に付けるタグ数の上限(例:5個まで)も先に決める。
・商品名をそのままタグに流用:固有名詞ばかりで横断検索に効かない。→ タグは「探すときの言葉」に寄せる。
コピペで使えるプロンプト
ここまでの「決めたものさしの中で、AIに分類案を作らせる」流れを、そのまま頼める形にまとめました。下の枠をまるごとコピーして、〈〉の中をあなたの店の言葉に置き換えるだけで使えます。カテゴリ・タグの一覧は必ず人が先に決めてから渡し、出てきた分類は反映前に必ず確認しましょう。
あなたはECショップの商品分類の担当者です。
以下の「分類ルール」の範囲だけを使い、各商品にカテゴリとタグを割り当ててください。
# 入力素材
- カテゴリ一覧(この中から必ず1つ選ぶ):〈トップス/ボトムス/アウター 等〉
- タグ一覧(この中からだけ、当てはまるものを選ぶ):〈コットン/リネン/春夏/秋冬/普段使い/きれいめ/ギフト向け 等〉
- 商品リスト(1商品1行:商品名・説明・素材・価格):
〈例)リネンシャツ / さらっと涼しい麻100%の半袖 / 麻100% / 4,200円〉
〈例)……(複数行はりつけ)〉
# 出力条件
- 出力は表形式で:「商品名|カテゴリ|タグ(最大5個)|自信度(高/中/低)|確認メモ」。
- カテゴリ一覧・タグ一覧に無い言葉は絶対に作らないこと。当てはまらなければ空欄にし、確認メモに理由を書く。
- 素材・機能が説明文から確実に読み取れない場合は、断定せず「自信度:低」にして確認メモに残す。
- 価格などの条件付きタグ(例:ギフト向けは3,000円以上のみ)は、条件に合うときだけ付け、根拠を確認メモに書く。
# 禁止
- 一覧にないカテゴリ・タグを新しく作ること
- 説明文にない素材・機能・効果を推測で断定すること
- 「最高級」「絶対」「No.1」など、根拠なく優良性を断定する表現(景品表示法に触れるおそれ)
まずは新商品を10点だけ、この枠で試してみてください。返ってきた表の「自信度:低」の行こそ、あなたの目での確認が要る場所——AIと人の役割分担が、はっきり見えてくるはずです。
あなたへの影響
- 「一つずつ手で分類する」から「AIの案を直す」に変わると、新商品の登録が速く回り、タグ付けの後回しが減る。
- カテゴリ・タグの言葉がそろうことで、サイト内検索や絞り込みでお客さまが目当ての商品に届きやすくなり、探せずに売り逃すことが減る。
- ものさしを一度決めておけば、商品が増えても分類の基準がぶれず、複数人で登録しても棚が乱れにくくなる。
明日やること
- 自店のカテゴリ一覧と、よく使うタグを書き出し、言葉を1つに統一する(「防水」か「ウォータープルーフ」かを決める)。1商品に付けるタグ数の上限も決める。
- 新商品を10点えらび、上の「コピペで使えるプロンプト」に一覧と商品情報を当てはめて、AIに分類案を表で作らせる。
- 出てきた表を、正しさ(素材・機能)と表記(ものさし通りか)で確認し、「自信度:低」の行を重点的に直して反映する。
- うまくいったカテゴリ・タグ一覧とプロンプトを保存し、次回の登録から“型”として使い回す。
AI商品分類チェックリスト
- カテゴリ・タグの一覧を人が先に作り、言葉を1つに統一している(表記ゆれをなくしている)
- AIへの指示に「この一覧の中からだけ選ぶ/無い言葉は作らない」と明記している
- 1商品に付けるタグ数の上限を決めている(付けすぎ防止)
- 素材・機能など、実物基準で確かめるべき項目を人が確認している
- 価格などの条件付きタグ(ギフト向け・セール対象など)は人が最終判断している
- タグは「探すときの言葉」に寄せ、固有名詞の丸写しになっていないか見ている
- 説明文に「最高級」「絶対」など根拠なき断定(景表法)が混ざっていないか確認している
- AIは分類案まで、公開・反映の判断は人、という線引きを守っている
商品の分類は、派手な施策ではありません。けれど、探しているお客さまと、棚の奥の商品を静かにつなぐ“道しるべ”です。ものさしを決め、AIに下ごしらえを任せ、最後は自分の目で整える。この流れが回り出すと、「あとでやろう」と溜めていた登録作業が、少しずつ軽くなっていきます。まずは新商品10点から、AIに分類のたたき台を頼んでみましょう。

関連記事・無料ツール
- ▶ AIで商品説明を作る実践ガイド
- ▶ サイト内検索の改善でCVRを上げる
- ▶ カテゴリ・一覧ページの改善で回遊を増やす
- ▶ 構造化データ(商品/FAQ/レビュー)でAIとSEOに効かせる
- ▶ 生成AIをEC業務に安全に使う社内ルール作り
- ▶ 景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全
- ▶ 商品ページ改善チェックリスト50
- ▶ EC利益計算ツール
あなたの店の商品は、探しているお客さまにちゃんと見つけてもらえていますか。無料診断で、AIを使った分類の整え方と、探されやすい棚づくりの次の一手を一緒に見つけます。