
EC サイト内検索の改善|「探せない」を無くしてCVRを上げる
「せっかく検索窓に言葉を入れてくれたのに、なぜか買わずに帰ってしまう」。 アクセス解析を眺めていて、そんなお客さんの動きに気づいたことはないでしょうか。実は、サイトの中の検索窓(サイト内検索)に自分から言葉を打ち込むお客さんは、「これがほしい」と目的がはっきりしている、いちばん買う気の高い人たちです。ふらっと眺めている人よりも、購入まで進んでくれる確率がずっと高い。だからこそ、その検索でうまく商品にたどり着けないと、いちばん惜しい取りこぼしになります。
今日は、この「探せない」を無くして、CVR(商品ページを見た人のうち、どれくらいの人が購入したかを見る数字=買われやすさ)を上げる話をします。難しいツール導入の前に、今のお店でもすぐ直せるところがたくさんあります。一緒に、自分の検索窓を客の目で見直していきましょう。
結論:サイト内検索を使う人は「買う気の高いお客さん」。改善のポイントは大きく3つ、①ゼロ件(検索しても1件も出ない状態)を無くす ②表記ゆれ(同じ商品を指す違う言い方)を吸収する ③検索結果の並び順と受け皿を整えるです。
進め方は、(1) まず検索ログ(お客さんが実際に打った検索語の記録)を見て「よく検索されるのに結果が出ていない言葉」を見つける → (2) その言葉に商品や言い換えを結びつける → (3) それでも0件のときの受け皿(おすすめや人気商品)を用意する。順番に手を打てば、特別なツールが無くても取りこぼしは確実に減ります。
いま何が起きているか
サイト内検索は、お客さんが自分から「これを探しています」と教えてくれる、いちばん素直なサインです。ところが、そのサインにお店側がうまく応えられていない場面が、思った以上に多く起きています。
代表的なつまずきが3つあります。
一つ目はゼロ件。お客さんが打った言葉で商品が1件も出てこない状態です。在庫はあるのに、商品名の登録と検索語がかみ合わずに「該当なし」と表示され、お客さんは「無いのか」と離脱します。
二つ目は表記ゆれ。人によって同じ商品でも言い方が違います。「ワンピース」を「ワンピ」、「Tシャツ」を「ティーシャツ」、「iPhoneケース」を「アイフォンケース」。お店が登録した表記と、お客さんが打つ表記がズレると、検索は空振りします。カタカナ・ひらがな・アルファベット・全角半角のちょっとした違いでも、機械はうまく結びつけてくれません。
三つ目は並び順と受け皿。検索結果は出るけれど、上のほうに欠品・終売・関係の薄い商品が並んでいたり、逆に0件のときにまっさらな画面を返してお客さんを行き止まりにしてしまったりする状態です。
これらは派手な問題ではないので、なかなか気づかれません。けれど、検索したお客さんほど直帰(1ページだけ見てそのまま離脱すること)しやすく、しかもその人たちは本来いちばん買ってくれるはずだった層です。だからこそ、ここを直すと効き目が大きいのです。
サイト内検索は「3つのつまずき」を順に直す

やみくもに直そうとすると手が止まります。次の3つを順番に手当てするのがおすすめです。
| つまずき | 何が起きているか | まずやること |
|---|---|---|
| ① ゼロ件 | 検索しても1件も出ず、行き止まりになる | 検索ログで「0件だった言葉」を洗い出し、対応する商品を結びつける |
| ② 表記ゆれ | 言い方の違いで検索が空振りする | よく使われる言い換え(ワンピ/ティーシャツ等)を同義語として登録、または商品名・タグに追記 |
| ③ 並び順・受け皿 | 結果は出るが欠品が上位/0件が真っ白 | 在庫あり・人気順を上位に。0件のときはおすすめや人気商品を表示 |
大事なのは、「お客さんの言葉」に商品を合わせにいくという発想です。お店の中の正式名称にお客さんを合わせさせるのではなく、お客さんが打つであろう言葉のほうを商品に結びつけていく。この視点に立つだけで、直すべき箇所がぐっと見つけやすくなります。
なお、多くのカート(BASE・STORES・Shopify・楽天など)には、検索語の記録を見る機能や、同義語・検索キーワードを登録する機能が備わっています。まずは今使っているカートに「検索ログ」「サジェスト(検索窓に文字を入れると候補が出てくる補助機能)」「同義語登録」があるかを確認するところから始めましょう。
具体例:「ワンピ」で0件だった、あるアパレル店の話
あるアパレルのお店が、アクセス解析の検索ログを初めて開いてみたときの話です。よく検索されている言葉の上位に、意外なものが並んでいました。
- 「ワンピ」…月120回検索、うち結果0件
- 「セットアップ」…月80回検索、結果は出るが上位が全部欠品
- 「白 シャツ」…月60回検索、色と種類が混ざって探しにくい
このお店は商品を「ワンピース」ときちんと登録していました。でもお客さんの多くは「ワンピ」と打つ。機械は「ワンピ」と「ワンピース」を別の言葉として扱うので、在庫がたっぷりあるのに検索結果は0件。月120回、つまり1日に4人前後の「買う気のあるお客さん」が、毎日行き止まりに突き当たっていた計算です。
そこでこのお店は、大きな投資をせず、3つだけ手を打ちました。
- 「ワンピ」を「ワンピース」の同義語として登録(カートの検索設定に言い換えを追加)。これで0件が解消。
- 「セットアップ」の検索結果を在庫あり順に並べ替え。上位の欠品を下げ、今すぐ買える商品を上に。
- 0件になったときの画面に「人気商品」と「カテゴリ一覧へのリンク」を表示。行き止まりを、次の一歩がある受け皿に変えた。
結果として、検索経由のお客さんが商品ページまで進む割合が上がり、検索したのに何も見ずに帰る人が減りました。新しい広告費は1円もかけていません。すでに来てくれていた、いちばん買う気の高いお客さんの「探せない」を消しただけです。取りこぼしを拾うというのは、こういう地味だけれど確かな一手の積み重ねなのです。
あなたへの影響
- 検索を使うお客さんは購買意欲が高いので、そこの取りこぼしを減らすと、同じアクセス数のままCVR(買われやすさ)が上がりやすい。
- ゼロ件や表記ゆれの解消は、新しい集客をせずに、すでに来ている人の成約を増やす改善なので、費用対効果が高い。
- 検索ログは「お客さんが本当にほしがっている言葉」の宝庫。品ぞろえの穴(よく検索されるのに扱っていない商品)や、商品名・タグの付け方の改善ヒントにもなる。
- 0件の受け皿を整えると、直帰が減り、サイト内の回遊(他の商品ページも見てもらうこと)が増える。
明日やること
- 今使っているカートやアクセス解析で、サイト内検索のログ(検索された言葉の一覧)をどこで見られるか確認する。
- 検索回数の多い言葉トップ20を書き出し、その中で結果が0件・極端に少ない言葉に印をつける。
- 印をつけた言葉について、対応する商品があるかを確認する。あるのに出ないなら表記ゆれ、無いなら品ぞろえの検討材料にする。
- よく使われる言い換え(略称・カタカナ/ひらがな・英字表記)を、同義語登録するか、商品名・タグ・説明文に自然に追記する。
- 検索結果の並び順を見直し、欠品が上位に来ていないか、在庫あり・人気順を上に出せるかを確認する。
- 0件のときの画面に、人気商品・おすすめ・カテゴリ一覧への導線を用意し、行き止まりを無くす。
サイト内検索の改善 チェックリスト
- サイト内検索のログ(検索された言葉)を確認できる状態になっている
- よく検索される言葉トップ20を洗い出した
- 「0件・結果が少ない言葉」に印をつけた
- 主要な表記ゆれ(略称・カタカナ/ひらがな・英字)を同義語登録またはタグに追記した
- 在庫があるのに0件になる商品を解消した
- 検索結果の並び順で、欠品・終売が上位に来ていない
- 在庫あり・人気順など、買える商品を上位に出せている
- 0件のときに人気商品・カテゴリ一覧への受け皿を表示している
- スマホで検索窓の位置・使いやすさを確認した
- 月1回、検索ログを見て新しい0件ワードを拾う運用にした
関連テンプレ:検索の前後にある「入口」と「速さ」も一緒に整える
サイト内検索の改善は、単体でも効きますが、その前後の導線とセットで見るとさらに活きます。検索でたどり着いた先の商品ページで「選ぶ理由」が伝わらなければ、せっかくの検索も台無しです。迷いを消して選んでもらう見せ方は比較表で「選ぶ理由」を作る商品ページが参考になります。また、検索して結果が出るまでが遅いと、それだけで離脱されます。ページの表示スピードとCVRの関係は表示速度を上げてCVRを改善するで扱っています。
さらに、「どの入口から来た人が、どこで離脱しているか」を数字で確かめたいときは、GA4でECの売上を見る最初の一歩や直帰・離脱を減らす導線分析の進め方が役に立ちます。まずは今日、自分のお店の検索窓に、お客さんになったつもりで「略した言い方」を打ち込んでみてください。0件が1つ見つかれば、それがそのまま、明日の売上を取りこぼさないための改善の入口です。

関連記事・無料ツール
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