
ギフト需要を取り込む|のし・ラッピングで「贈り物にも使える店」に
「これ、贈り物にしたいんですけど……のし、つけられますか?」 問い合わせフォームに届いたその一文に、少しドキッとした経験はありませんか。ラッピングの用意がなくて「対応していません」と返した瞬間、その注文はふっと消えてしまう。悪いのは商品でも値段でもありません。「贈り物として買える状態」になっていなかっただけなのです。
今日は、いま扱っている商品を一切変えずに、「自分用にも、贈り物にも使える店」に育てる方法を一緒に考えていきます。のし・ラッピング・メッセージカード——この3つを整えるだけで、同じ商品がもう一度、別の理由で選ばれるようになります。
結論:ギフト需要の取り込みは、「①包む(ラッピング)」「②のし(フォーマルな贈答)」「③ひとこと添える(メッセージカード)」の3点を用意し、商品ページと購入画面で"贈り物にできる"と分かるようにするのが基本です。
特別な商品を新しく作る必要はありません。いまある商品に「贈れる準備」を足すだけで、母の日・お中元・誕生日といった一年中の贈り物需要を受け止められるようになります。
いま何が起きているか
ネットで贈り物を探している人は、商品そのものと同じくらい「ちゃんと贈り物の形で届くか」を気にしています。のしはつくのか、値段の分かる納品書は入らないか、相手に直接送れるのか——ここに不安があると、どんなに良い商品でも「別の店にしよう」となってしまいます。
よくあるのは、こんな状態です。
- 商品ページのどこにも「ギフト対応」の文字がなく、贈り物に使えるのか分からない。
- ラッピングは一応できるのに、注文画面で選べない(問い合わせないと頼めない)。
- 贈り先へ直送したいのに、金額の分かる書類が同梱されてしまう。
- 「のし」と書いてあるが、表書き(お中元・内祝いなど)や名入れをどう指定するか分からない。
どれも、お客さんに「贈り物に使えるかどうか、自分で確かめてください」とお願いしている状態です。贈り物は締め切り(相手に渡す日)が決まっていることが多いので、この小さな不安があるだけで、人はすぐに別の店へ移ってしまいます。
見方を変えると、これは大きな伸びしろです。ギフト需要を取り込めると、客単価(1回の注文で使われる金額)が上がりやすく、しかも新しい贈り先の人にあなたの店を知ってもらう入り口にもなります。もらった人が「これ良かった」と自分でも買ってくれる——そんな連鎖の起点になるのが、贈り物なのです。

具体例:ギフト対応で用意したい3つ+α
そのまま手を動かせるように、優先順に並べました。全部を完璧にそろえる必要はありません。まずは①から始めて、反応を見ながら足していけば十分です。
① ラッピング(包む)を選べるようにする 包装紙・不織布の袋・化粧箱など、無理のない範囲で1〜2種類を用意します。大切なのは「凝ること」より「注文画面で選べること」。ギフト用の包装があるだけで、贈り物候補として検討してもらえます。有料(例:+300円)でも、贈り物なら受け入れられやすいので、原価と手間に見合う価格を付けて構いません。
- まずは「ギフトラッピングを希望する/しない」の選択肢を1つ足すだけでも効果があります。
- 見た目を伝えるため、包装後の写真を1枚、商品ページに載せると安心してもらえます。
② のし(フォーマルな贈答)に対応する お中元・お歳暮・内祝い・お祝いなど、あらたまった贈り物には「のし」が欠かせません。対応するなら、次を選べるようにします。
- 表書き:お中元/お歳暮/御祝/内祝/御礼 など、よく使うものを数種類。
- 名入れ:贈り主の名前を入れるかどうか。
- のしの掛け方:包装紙の外から掛ける形(外のし)と、包装紙の内側に掛ける形(内のし)。迷う人が多いので、「どんな場面向きか」を一言添えると親切です。
のしは種類が多く、全部を完璧に説明しようとすると読者が疲れてしまいます。よく使うものに絞り、詳しくは別ページや問い合わせで補う——くらいの割り切りが、かえって選びやすくなります。
③ メッセージカードを添えられるようにする 「お誕生日おめでとう」「いつもありがとう」——短い一言が添えられるだけで、贈り物の温度はぐっと上がります。定型文をいくつか用意しておき、自由入力もできるようにすると喜ばれます。手書き風のカードにするなど、あなたの店らしさを出せる部分でもあります。
+α 贈り先へ直接送る「直送」に備える 贈り物は、贈り主とは別の住所(相手の家)へ届けることがよくあります。このとき絶対に外せないのが、金額の分かる書類(納品書・領収書・値札)を同梱しないこと。ここを間違えると、せっかくの贈り物が台無しになり、強いクレームにつながります。「贈り物の場合は明細を入れません」と商品ページに明記し、運用でも徹底しましょう。
文章にすると、そろえる順番はこう並びます。
| 優先 | 用意するもの | ねらい | まず最小でやるなら |
|---|---|---|---|
| ① | ラッピング | 贈り物候補に入れてもらう | 「ギフト包装 希望/不要」を1つ足す |
| ② | のし | あらたまった贈答に応える | 表書きを3〜5種類選べるように |
| ③ | メッセージカード | 気持ちを添える | 定型文+自由入力を1枠 |
| +α | 直送・明細なし | 相手に安心して届ける | 「金額の分かる書類は入れません」と明記 |
※ ここで挙げたのは考え方の一例です。使っているカート(ネットショップの仕組み)によって、選択肢の作り方や表示できる場所は変わります。まずは売れ筋の1商品で、「ギフト包装を選べる」状態から試してみてください。
誠実に伝えるための注意点
贈り物は「相手に渡す日」が決まっているぶん、伝え方を少しでも間違えると不満に直結します。ここは丁寧にいきましょう。
- お届け日と締め切りをはっきり書く。「いつまでに注文すれば、いつ届くか」が分からないと、贈り物では使ってもらえません。母の日・お中元など時期物は、受付の締め切りを早めに、目立つ場所に。
- 大げさな表現で誇張しない。「最高級」「必ず喜ばれる」などの断定は、景品表示法の観点から避けます。素材や用途を正直に伝えるほうが、贈り物では信頼されます。
- 食品・化粧品は効能を断定しない。健康や美容の効果をうたう表現は、薬機法の観点から慎重に。贈り物でも同じ基準です。
- 他店の包装写真や画像を無断で使わない。ラッピング例は、必ず自店で撮った写真を使います。
- できないことは正直に。「のしの名入れは対応していません」なども、隠さず書いておくほうが、届いてからのトラブルを防げます。
あなたへの影響
- 同じ商品が「自分用」だけでなく「贈り物」としても選ばれ、注文の理由が増えます。母の日・お中元・誕生日など、一年を通じて需要を受け止められます。
- 包装やのしを有料オプションにできれば、客単価(1回の注文で使われる金額)が上がりやすくなります。値引きに頼らず単価を上げられる、数少ない打ち手です。
- 贈り物は、新しい人にあなたの店を知ってもらう入り口になります。もらった人が気に入れば、次は自分で買ってくれるかもしれません。
- 「ギフト対応」と明記するだけで、これまで問い合わせずに去っていた人を取りこぼさずに済みます。
明日やること
- 売れ筋の1商品を選び、その商品ページに「ギフト対応できます」の一文と、包装後の写真を1枚追加する。
- 注文画面(またはカートの備考欄)に、まず「ギフトラッピング 希望/不要」の選択肢を1つ足す。可能なら、のしの表書きを3〜5種類、メッセージカードの入力欄も。
- 「贈り先へ直送する場合、金額の分かる書類は同梱しません」とページに明記し、実際の梱包でも徹底する。時期物なら受付締め切りも忘れずに書く。
贈り物は、お客さんが「大切な誰か」を思って選ぶ買い物です。その気持ちに「うちで安心して贈れますよ」と応えるだけで、あなたの店は"もう一つの選ばれる理由"を手に入れます。まずは1商品、「贈り物にできます」の一言から。その一言が、迷っていた人の背中を、そっと押してくれます。

チェックリスト
- 商品ページに「ギフト対応できます」が分かる表記がある
- 包装後の写真を1枚以上載せている
- 注文画面で「ギフトラッピング 希望/不要」を選べる
- のしの表書きを(対応するなら)よく使うものに絞って選べる
- メッセージカード(定型文+自由入力)を添えられる
- 贈り先直送のとき、金額の分かる書類を同梱しない旨を明記している
- お届け日・受付締め切り(時期物)が分かるように書いている
- 「最高級」「必ず喜ばれる」等の誇張・断定を使っていない
- 食品・化粧品の効能を断定していない(景表法・薬機法に配慮)
- できないこと(名入れ不可など)も正直に書いている
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