
ECサイズガイド・実寸表の作り方|サイズ違いの返品を減らす
「Mサイズを選んだのに、届いたら思ったより大きかった」。 気に入って買ってくれたはずのお客さんから、こんな理由で返品が来る——アパレルに限らず、靴・指輪・家具・雑貨まで、サイズのある商品を扱うお店ならどこでも起きています。しかもサイズ違いの返品は、往復の送料も、検品や再出荷の手間も、二重にかかります。お客さんも「失敗した」と感じ、次の注文をためらってしまう。
やっかいなのは、この返品の多くが「商品が悪い」のではなく、サイズの伝え方でつまずいていることです。「S・M・L」や「フリーサイズ」とだけ書いても、お客さんは自分に合うか判断できません。今日は、サイズ違いの返品とカゴ落ち(商品をカートに入れたのに購入完了まで進まず離脱すること)を同時に減らす、実寸表とサイズガイドの作り方を、服以外の商品もふくめて一緒に整理していきましょう。
結論:サイズガイドは「S・M・L」の表記ではなく、商品そのものの実際の寸法(実寸)を、お客さんが今持っている物と比べられる形で見せるのが基本です。
作る順番は、(1) 測る場所を決めて実寸を測る → (2) 「◯◯を測ってこの数字と比べてください」と比較の仕方まで書く → (3) 迷いやすい商品には着用者・使用シーンの情報を添える。まずは一番売れている商品に、実寸を3〜4か所入れるだけで、サイズ違いの返品は目に見えて減ります。
いま何が起きているか:サイズ表が「比べられない」書き方になっている
サイズ違いの返品が多いお店には、共通するパターンがあります。サイズ表が「お客さんが自分と比べられない書き方」になっていることです。
よくあるのが、次の3つです。
- 表記だけで数字がない:「S / M / L」「フリーサイズ」とだけ書いてある。お客さんの「M」と、そのお店の「M」は違うのに、比べる手がかりがない。
- ヌード寸法しか載っていない:アパレルで「バスト82〜86cmはMサイズ」のように、体の寸法(ヌード寸法)だけを載せている。これは「あなたの体に合う号数」を示すもので、服そのものの大きさは分かりません。ゆったり着たい人は判断できず、体型が同じでも好みで結果が割れます。
- 測り方が書いていない:数字はあるが、「どこを、どう測った数字か」が分からない。お客さんは自分の持ち物を同じ場所で測れないので、比べようがありません。
ここでカギになるのが、実寸(じっすん)という考え方です。実寸とは、商品そのものを平置きなどで実際に測った寸法のこと。アパレルなら「肩幅・身幅・着丈・袖丈」、靴なら「全長・幅」、指輪なら「内径」、家具なら「幅・奥行き・高さ」です。実寸の何がいいかというと、お客さんが今持っているお気に入りの物を同じ場所で測って、数字で直接くらべられること。「いつも着ているシャツの身幅は52cm。この商品は54cmだから、少しゆったりだな」——この比較ができた瞬間に、サイズの不安はぐっと小さくなります。
そしてもう一つ大事なのは、測り方をそろえて明記することです。同じ「身幅」でも、脇の下で測るか、裾で測るかで数字は変わります。お客さんが自分の持ち物を「あなたと同じ場所」で測れなければ、せっかくの実寸も比べられません。実寸表は、数字と測る場所の説明がセットで初めて役に立ちます。
サイズガイドは「実寸 → 比べ方 → 迷い消し」の3ステップで作る

作り方は、むずかしく考えなくて大丈夫です。次の3ステップで作ります。
ステップ1:測る場所を決めて、実寸を測る
まず、その商品でお客さんが一番気にする寸法を3〜4か所決めます。全部を細かく測る必要はありません。多すぎるとかえって読まれません。商品タイプごとの目安はこうです。
| 商品タイプ | 測るとよい実寸(例) | 迷いの正体 |
|---|---|---|
| トップス | 肩幅・身幅・着丈・袖丈 | ゆるい/きつい、丈の長さ |
| ボトムス | ウエスト・股上・股下・裾幅 | 長さ、太もものきつさ |
| 靴 | 全長(cm)・幅(ワイズ) | いつもの靴と同じか |
| 指輪・アクセサリー | 内径・号数の対応 | 指に入るか、外れないか |
| 家具・収納 | 幅・奥行き・高さ | 置き場所に入るか |
| バッグ | 縦・横・マチ・持ち手の長さ | 入れたい物が入るか |
平置きで、同じ姿勢・同じ測り方でそろえて測ります。「どこからどこまでを測ったか」を短い図か文で残すのを忘れないでください。これが次のステップの土台になります。
ステップ2:「何と比べればいいか」まで書く
実寸表を載せるだけでは、まだ半分です。お客さんは数字を見ても「で、これは私に合うの?」で止まります。そこで、比べ方を一言そえます。
お手持ちのよく着るシャツを平らに置き、脇の下から反対の脇の下までを測ってください。その数字とこの商品の「身幅」を比べると、ゆとりが分かります。
靴なら「いつも履いている靴の中敷きの長さを測って、全長と比べてください」。家具なら「置きたい場所の幅を測って、この幅と比べてください(コンセントや扉の開閉分の余裕もみてください)」。「あなたが持っている物のここを測って、この数字と比べる」——この一文があるだけで、サイズは自分ごとになります。
ステップ3:迷いやすい商品は「着用者・使用シーン」を足す
数字だけでは伝わりにくい商品には、具体的な目安を足します。アパレルなら「身長165cm・普段Mの着用者がMを着て、ややゆったり」のような着用者情報。これは体型と好みの両方の手がかりになります。バリエーションが多い商品は、色やサイズで写真・実寸が切り替わるようにしておくと、選択の途中で迷子になりません(詳しくは関連記事へ)。「大きめが好きな方はワンサイズ上を」のような一言も、背中を押します。
ここまでやっても、100%は防げません。だからこそ、返品条件をサイズガイドの近くに分かりやすく書いておくことが、最後の安心になります。「サイズが合わなければ◯日以内に交換できます」と分かると、お客さんは最後の一歩を踏み出せます。安心して買える状態を作ることが、結果としてカゴ落ちも返品も減らします。
具体例:実寸3か所を足しただけで、返品が減ったお店
あるアパレル系のお店で、商品ページに「S・M・L」の表記と、体の寸法(ヌード寸法)の表しか載せていなかったとします。サイズ関連の返品・交換が、注文のうちそれなりの割合で発生していました。ここに手を入れます。
- 見直し前:「Mサイズ / バスト82〜86cm」だけ。お客さんは自分の手持ちと比べられず、「たぶんM」で注文 → 届いてから「思ったより大きい/小さい」で返品。
- やったこと:主力の10商品に、実寸(肩幅・身幅・着丈の3か所)と、「お手持ちのシャツの身幅を測って比べてください」という一文、着用者情報(身長・普段のサイズ・着用感)を追加。返品条件のリンクもサイズ表の下に置いた。
- 見直し後:お客さんが「いつものシャツと数字を比べて」選べるようになり、サイズ違いの返品・交換が減少。さらに、サイズに自信が持てることでカゴ落ちも減り、同じアクセス数でも購入が増えた。
ポイントは、いきなり全商品を完璧にしようとしなかったことです。まずは一番売れている商品に実寸3か所を足す。ここだけで効果の大部分が出ます。全商品への展開は、効果を確かめてから順に進めれば十分です。
なお、実寸は必ず現物を測った正確な数字を載せてください。「たぶんこれくらい」で書いた数字が実物と違うと、かえって返品と不信を生みます。少しの誤差が出る場合は「※測り方により1〜2cmの差が出ることがあります」と添えておくと、無用なクレームを防げます。
あなたへの影響
- 実寸と「比べ方」を載せることで、サイズ違いの返品・交換が減り、往復の送料・検品・再出荷の手間とコストが下がる。
- サイズに自信を持って選べるようになり、「合うか分からない」で離脱するカゴ落ちが減って、同じアクセス数でも購入が増える。
- 「サイズ選びで失敗しなかった」という体験は満足につながり、レビューや再購入といった次の売上を後押しする。
- 実寸・測り方・返品条件がそろったページは、サイズで検索して比較検討している購入意欲の高い人にも選ばれやすくなる。
明日やること
- 一番売れている商品を1つ選び、お客さんが一番気にする寸法を3〜4か所決める(トップスなら肩幅・身幅・着丈など)。
- その商品を平置きで測り、実寸表を作る。あわせて「どこを測ったか」の短い説明か簡単な図を添える。
- 「お手持ちの◯◯を、ここを測って、この数字と比べてください」という比較の一文をサイズ表の近くに書く。
- 迷いやすい商品には、着用者情報や使用シーンの目安(身長・普段のサイズ・着用感など)を1〜2行足す。
- サイズ表のすぐ近くに、返品・交換の条件へのリンクを置く。数字は必ず現物を測った正確な値にする。
サイズガイド作成 チェックリスト
- 「S・M・L」の表記だけでなく、商品そのものの実寸(数字)を載せている
- 実寸は現物を測った正確な数字である(推定値で書いていない)
- 「どこからどこまでを測ったか」を図か文で示している
- 「お手持ちの◯◯と比べてください」という比較の仕方を書いている
- 迷いやすい商品に着用者情報・使用シーンの目安を添えている
- バリエーションが多い商品は、選ぶと写真・実寸が切り替わるようにしている
- サイズ表の近くに返品・交換条件への導線がある
- 測り方による誤差がある場合は、その旨をひとこと添えている
関連テンプレ:サイズの伝え方は「不安消し」と「返品運用」まで一続きで
サイズガイドは、単体で完結する作業ではありません。前後の工程とつなげると、効果が何倍にもなります。
サイズ「以外」も含めて、試着できない不安を消す見せ方の全体像はアパレルECのサイズ不安を消す方法で、色・サイズなどの選択肢を迷わせずに見せる設計はカラー・サイズ等バリエーションの見せ方設計で扱っています。そして、どれだけ丁寧に作っても一定数は起きるサイズ違いに備えて、返品・交換ポリシーの作り方で条件をきちんと決め、返品・交換オペレーションの作り方で受付から返金までの流れを整えておくと、返品が来ても慌てずに済みます。
サイズの伝え方は、派手な施策ではありません。でも、測って、比べ方を書くだけで、返品もカゴ落ちも静かに減っていく——やった分だけ確実に効く改善です。まずは一番売れている商品のサイズ表を、今日ひとつ見直してみませんか。

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