広告の管理画面を見ながら「悪くないのに、なぜ伸びないんだろう」と考え込むEC担当者

インプレッションシェアで広告の「取りこぼし」を見つける方法

「クリック率も悪くない。買われ方も悪くない。なのに、先月からずっと売上が横ばい……」——広告の管理画面を開いて、そんなふうに首をかしげたこと、ありませんか。数字を細かく見ても、どこも「悪い」わけではない。でも伸びない。この、原因の見えないモヤモヤは、担当者をいちばん消耗させます。

じつは、こういうときの犯人は「広告の中身」ではなく、「そもそも広告が、出られていない」ことだったりします。あなたの広告は、本当は表示されるはずだった場面の、半分にしか出ていないかもしれない。残りの半分は、ライバルに場所を明け渡している——けれど、クリック率やCVR(商品ページの買われやすさ)だけを見ていても、その「出られなかった回数」は絶対に見えません。今日は、その見えない取りこぼしを可視化する数字、インプレッションシェアを一緒に読み解いていきましょう。

結論:インプレッションシェア(IS=あなたの広告が「表示され得た回数」のうち、実際に「表示された回数」の割合)は、広告の伸びしろ=取りこぼしを映す鏡です。ISが低いなら、まだ出せていない場面が残っているということ。しかも管理画面は、取りこぼしの理由を「予算が足りない(予算による損失)」「入札や品質で負けている(ランクによる損失)」の2つに分けて教えてくれます。この2つは打ち手がまったく違うので、切り分けられれば「次に何をすべきか」が一気に具体的になります。クリック率やCVRを磨く前に、まず「出られているか」を確認しましょう。

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いま何が起きているか|「良い広告」でも取りこぼしは起きる

まず、言葉を1つそろえます。インプレッションとは「広告が表示された回数」のこと。そしてインプレッションシェア(IS=インプレッション占有率)とは、あなたの広告が表示され得た回数のうち、実際に表示された回数がどれくらいの割合だったかを示す数字です。ざっくり言えば「出られたはずの舞台に、何割ちゃんと立てたか」の出席率のようなものです。

たとえばインプレッションシェアが40%なら、本当は表示できたはずの場面の6割で、あなたの広告は出ていなかったことになります。クリックもCVも、そもそも表示された40%の中でしか生まれません。残りの60%は、数字として「悪い実績」にすらならず、ただ静かに消えている。だから、クリック率やCVRだけを見ていると、この取りこぼしには一生気づけないのです。

ここで大事なのが、「なぜ出られなかったのか」の理由です。多くの広告管理画面(Google 広告など)は、取りこぼし=失われたインプレッションシェアを、次の2種類に分けて表示してくれます。

この2つは、まったく違う問題です。予算による損失は「お金を足す・配分を変える」で埋まりますが、ランクによる損失に予算を足しても解決しません。逆に、ランクによる損失に効くのは「入札の見直し」や「広告・商品ページの品質改善」です。原因を取り違えると、効かない打ち手にお金と時間を注ぎ続けることになります。この切り分けこそ、インプレッションシェアを見るいちばんの価値です。

なお、少し用語を補っておくと、掲載の順番は広告ランク(あなたの広告の“総合力”=おおむね「入札額 × 広告の品質」で決まる順位のもと)で決まります。そして品質の目安が品質スコア(検索広告で、広告やリンク先ページの良し悪しを1〜10で表した指標。Google 広告の場合)です。つまりランクによる損失は、「入札で負けている」か「品質で負けている」か、あるいはその両方、というわけです。品質スコアの上げ方はGoogle広告の品質スコアを上げる改善手順で詳しく扱っています。

インプレッションシェアの読み方|3つの数字を三角形で見る

インプレッションシェア損失を「予算による損失」と「ランクによる損失」に切り分ける関係図
取りこぼしは「予算」か「ランク」のどちらか。原因で打ち手が変わる。

むずかしい計算はいりません。見るのは、次の3つの数字だけです。数字はすべて架空の例なので、ご自身の広告の数字に置き換えて読んでください。

この3つは、足すとおおむね100%になる関係にあります(=出られた分+予算で落とした分+ランクで落とした分)。だから、どこが一番大きいかを見るだけで、次の一手が決まります。

パターン①:予算による損失が大きい

たとえば、インプレッションシェア50%、予算による損失35%、ランクによる損失15%だったとします。いちばん大きいのは「予算」。これは、需要はあるのに財布が先に尽きている状態です。売れている広告なら、予算を足す、あるいは効率の悪い広告から予算を移すだけで、取りこぼしがそのまま売上に変わる可能性があります。ただし増やす前に、その広告が採算に合っているか(損益分岐ROASを割っていないか)は必ず確認しましょう。ROAS(広告費に対して売上がどれくらい返ってきたかの見合い)が良いのに予算で止めているなら、いちばんもったいない取りこぼしです。

パターン②:ランクによる損失が大きい

インプレッションシェア50%、予算による損失10%、ランクによる損失40%なら、犯人は「ランク」。ここに予算を足しても、ほとんど埋まりません。効くのは、入札額を上げるか、広告文やリンク先の商品ページを磨いて品質を上げるかの二択です。品質が上がれば、同じ入札額でもより多く表示されるようになります。目先の入札アップは即効性がありますが採算を圧迫しやすいので、品質改善と両輪で進めるのが健全です。

パターン③:インプレッションシェアがすでに高い

インプレッションシェアが85%あるなら、その言葉(キーワード)や商品では、もう出せる場面はほぼ出し切っているということ。ここで無理に予算や入札を足しても、伸びしろは小さい。この場合は、別の言葉・別の商品・別の媒体に目を向けたほうが、新しい取りこぼしを拾えます。「これ以上はこの土俵では伸びない」と分かることも、立派な判断材料です。

状態(例)IS予算損失ランク損失まずやること
予算で止めている50%35%15%採算を確認し、予算を足す/配分を移す
競り負けている50%10%40%品質改善を軸に、必要なら入札を調整
ほぼ出し切り85%5%10%別KW・別商品・別媒体へ広げる

このように、同じ「インプレッションシェア50%」でも、中身が予算なのかランクなのかで、明日やることは正反対になります。だからこそ、割合そのものより「損失の内訳」を見るのが肝心です。

具体例|「クリック率を直そう」としていた担当者の回り道

原因を取り違えた改善と、内訳を見て正しく手を打った改善の違いを示す図
同じ「伸びない」でも、原因を見ずに動くと空回りする。まず内訳を見る。

架空のインテリア雑貨店で考えてみましょう。ある担当者は、主力商品の検索広告が「先月から横ばい」なことに悩んでいました。最初に疑ったのは広告文。「クリック率が物足りないのかも」と、見出しを何度も書き換え、リンク先の商品ページの写真も差し替えました。でも、売上はほとんど動きません。

行き詰まって、はじめてインプレッションシェアを開いてみます。すると——インプレッションシェアは38%。そして内訳は、ランクによる損失が45%と、大きく目立っていました。つまりこの広告は、そもそも表示され得た場面の6割以上に出られておらず、その大半は競り負けが原因だったのです。クリック率をいくら磨いても、出られていない6割には一切効きません。担当者は「見えている38%の中」ばかりを直そうとして、空回りしていたわけです。

原因が「ランク」と分かってからは、打ち手が変わりました。まず、採算に無理のない範囲で入札額を少し引き上げ、同時に、品質スコアが低かったキーワードのリンク先を、より検索意図に合ったページへつなぎ直します。数週間後、インプレッションシェアは38%→62%に改善。表示される場面が増えた分、クリックも注文も自然に増えていきました。中身(クリック率・CVR)は最初からそこそこ良かったので、「出られる場面を増やす」だけで、売上は素直に伸びたのです。

この話のポイントは、「伸びない」の原因は、見えている数字の“外側”にあることがある、ということ。クリック率もCVRも、あくまで「表示された後」の話。その手前の「そもそも出られているか」を、インプレッションシェアが教えてくれます。順番を間違えて中身から直そうとすると、この担当者のように回り道をしてしまいます。

あなたへの影響

明日やること

  1. 広告の管理画面で、主力のキャンペーンや広告グループにインプレッションシェアの列(指標)を表示させる。
  2. あわせて予算による損失ランクによる損失の2列も表示させる。
  3. インプレッションシェアが低い(目安として60%未満)ものを、金額の大きい順に3つピックアップする。
  4. その3つについて、損失の犯人が予算ランクかを見て、メモする。
  5. 予算が犯人で、かつ採算(損益分岐ROAS)に合っているものは、予算を足すか、効率の悪い広告から配分を移す候補にする。
  6. ランクが犯人のものは、まず品質スコアの改善(広告文・リンク先ページの見直し)を検討し、それでも足りなければ少しずつ入札を調整する。
  7. 変更後は数週間おいて、インプレッションシェアが上がったか、注文が増えたかをセットで確認する。

インプレッションシェア チェックリスト

つまずきやすい落とし穴

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取りこぼしの正体が分かり、次の一手に安心して踏み出そうと前を向くEC担当者

「悪くないのに伸びない」の正体は、たいてい「まだ出られていない場面が残っている」だけです。そしてそれは、直せる取りこぼし。インプレッションシェアという1つの数字を開けば、伸びしろがどこに眠っているか、そのために何をすればいいかが、驚くほどはっきり見えてきます。今日の管理画面に、まずこの列を1つ足してみてください。あなたの広告には、まだ立てていない舞台が、きっと残っています。

参考(公式・一次情報)