
デバイス別・決済別にCVRを分析する|どこで取りこぼしているか
「うちのCVR、なんだか低い気がする」——管理画面のいちばん上に出てくる全体の転換率だけを見て、ぼんやり不安を抱えたまま日々が過ぎていく。そんな経験はありませんか。広告も商品ページも一生懸命直しているのに、数字が動いた実感がない。もしかするとそれは、「全体の平均」というひとつの数字に、複数の顔が混ざって隠れているからかもしれません。
同じお店でも、スマホで見ている人とパソコンで見ている人では、買われやすさがまるで違います。決済手段だって、クレジットカードの人と後払いの人では、購入まで進む割合が変わります。今日は、ひとつに丸められたCVRをデバイス別・決済別に開いて、静かに取りこぼしている一角を見つける方法を、一緒にやってみましょう。
結論:全体のCVR(シーブイアール=訪れた人のうち買ってくれた割合。商品ページや店全体の「買われやすさ」)を、デバイス別(スマホ/パソコン/タブレット)と決済手段別に分けて見比べる。
平均だけでは「どこが弱いか」が消えてしまう。分けて並べると、たいてい特定のデバイスや決済だけがガクンと低い箇所が見つかり、そこを直すのがいちばん効く一手になります。
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いま何が起きているか|「平均のCVR」はいくつもの顔が混ざった数字
CVRは「買った人数 ÷ 訪れた人数」で出す割合です。とても便利な数字ですが、お店に来る人は、みんな同じ条件で見ているわけではありません。
たとえば、こんな違いが同じ「全体CVR」の中に溶け込んでいます。
- スマホの人とパソコンの人:画面の大きさも、入力のしやすさも、集中できる時間も違う。一般に、スマホは訪問数が多い一方で、じっくり見られずCVRが低くなりがちです。
- 決済手段ごとの人:クレジットカード、コンビニ後払い、キャリア決済、〇〇Pay系。使いたい決済が無い、あるいは入力でつまずくと、そのまま離脱します。
- 入口ごとの人:広告から来た人と、指名検索で来た人では、買う気の強さが違う。
このうち、今日は特に効きやすいデバイスと決済手段の2つに絞ります。なぜこの2つかというと、「取りこぼしの原因が仕組み側にあることが多く、直せば全員に効く」からです。スマホの購入ボタンが押しにくい、ある決済だけエラーが出る——こうした不具合は、平均のCVRを見ている限り絶対に気づけません。全体では「まあまあ」に見えても、その裏でスマホの人だけが静かにカゴ落ち(カートに入れたまま買わずに離れること)している、というのはよくある話なのです。
スマホ経由の訪問が全体の7〜8割を占めるお店も珍しくありません。そこでCVRが低いなら、いちばん人数の多い入口で、いちばん取りこぼしていることになります。ここを直す価値は、とても大きいのです。
具体例|表に並べて「低い一角」を見つける3ステップ

では、実際にGA4やモールの管理画面を開いて、一緒に分けてみましょう。難しい設定はいりません。すでにある数字を、切り口を変えて並べ直すだけです。
ステップ①:デバイス別にCVRを並べる まず、期間を「直近1か月」など十分な件数がたまる長さにして、スマホ・パソコン・タブレットのそれぞれで、訪問数と購入数、CVRを横に並べます。GA4なら、ディメンションに「デバイス カテゴリ」を使うと出せます(GA4のディメンションと指標の説明はGoogleアナリティクスヘルプを参照)。
このとき見るのは「訪問数が多いのにCVRが低いデバイス」です。たとえば(数値は例)、パソコンのCVRが2.0%なのにスマホが0.8%なら、スマホに何か引っかかりがある可能性が高い。訪問の大半がスマホなら、ここが最大の伸びしろです。
ステップ②:決済手段別にCVRを見る(購入手前の落ち方を見る) 次に、決済まわりを見ます。決済手段別のCVRは管理画面だけでは出しにくいこともあるので、まずは「カート追加はされているのに、決済画面で止まっている人がどれだけいるか」を見ます。GA4の購入手続きの各段階(カート→情報入力→決済→完了)で、どこで人が減っているかをたどるのが基本です。
そのうえで、注文データから決済手段ごとの構成比を見ます。「後払いを選ぶ人が急に多く、そこで離脱が増えていないか」「特定の〇〇Pay系だけ完了率が低くないか」を確認します。ある決済でだけエラーや長い入力が起きていると、その手段を選んだ人が丸ごと逃げてしまいます。
ステップ③:「デバイス × 決済」で交差させて、犯人を1マスに絞る 最後に、2つの軸を掛け合わせます。よくあるのが「スマホ × 特定の決済」だけが極端に低いというパターン。スマホの小さい画面でカード番号を手入力させていて、〇〇Pay系のワンタップ決済を用意していない、といった具合です。ここまで絞れれば、直すべき場所はほぼ1つに定まります。
やりがちなNGと、その直し方
・全体CVRだけ見て一喜一憂する:中で何が起きているか分からない。→ まずデバイスと決済で分けて並べる。
・件数が少ないマスで判断する:1日や数十件では偶然の振れが大きい。→ 十分な期間・件数がたまってから比べる。
・低い=すぐ悪いと決めつける:パソコンは検討中の指名客が多くCVRが高い、など理由があることも。→ 「訪問が多いのに低い」を優先して直す。
・原因を推測だけで終える:→ 自分のスマホで、その決済を選んで実際に最後まで進んでみる。つまずく場所が体で分かります。
数字で当たりをつけたら、最後は必ず自分でそのデバイス・その決済を使ってテスト購入してみてください。「スマホの後払いだけ、住所入力の後にエラーが出る」といった具体的な引っかかりは、実際に触ってはじめて分かります。数字は場所を教えてくれますが、原因を見せてくれるのは体験です。
あなたへの影響
- 平均に隠れていた弱点が見えるようになり、「なんとなく低い」という霧が晴れます。直す場所が1マスに絞れるので、限られた時間とお金を無駄打ちしなくて済みます。
- スマホや特定決済という人数の多い入口の取りこぼしを直せば、同じ集客のままでも購入数が増えます。広告費を増やさずにCVRを底上げできるのは、いちばん採算のいい改善です。
- 一度この見方が身につくと、新しい決済を入れた後や、サイトを直した後の効果も、デバイス別・決済別で確かめられます。「全体では変わらないが、スマホだけ良くなった」という変化も拾えます。
- 「うちのお客さんは、実はスマホでこう買っている」という手触りのある理解が積み上がり、商品ページや決済の設計判断が、勘から根拠に変わっていきます。
明日やること
- GA4かモール管理画面で、直近1か月のデバイス別(スマホ/パソコン/タブレット)の訪問数・購入数・CVRを横に並べる。
- 「訪問が多いのにCVRが低いデバイス」を1つ見つける(多くはスマホ)。
- 購入手続きの段階(カート→入力→決済→完了)で、どこで人が減っているかをたどる。
- 注文データで決済手段の構成比を見て、離脱が集中していそうな決済を探す。
- 「デバイス × 決済」で、いちばん低い組み合わせを1マスに絞る。
- その組み合わせで自分でテスト購入し、つまずく場所を体で確かめて、1か所だけ直す。
デバイス別・決済別CVR分析チェックリスト
- 全体CVRを、スマホ/パソコン/タブレットに分けて並べた
- 十分な期間・件数がたまってから比べている(少数のマスで判断していない)
- 「訪問が多いのにCVRが低い」デバイスを1つ特定した
- 購入手続きのどの段階で人が減っているかをたどった
- 決済手段の構成比を見て、離脱が集中する決済を探した
- 「デバイス × 決済」で、いちばん低い組み合わせを1マスに絞った
- そのデバイス・決済で自分でテスト購入し、つまずく場所を確かめた
- 1か所だけ直し、同じ切り口で数字が戻る(上がる)かを追っている
平均のCVRは、やさしい顔で「まあまあですよ」と語りかけてきます。でも、その裏で人数のいちばん多いスマホのお客さんが、静かに離れているかもしれません。数字をデバイスと決済で分けるのは、その小さな声に耳を澄ませる作業です。分けて並べれば、犯人は必ずあなたが直せる1マスに現れます。今日はまず、スマホとパソコンのCVRを2つ並べてみるところから。それだけで、次に直す場所がひとつ、はっきり見えてきます。

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