
EC在庫管理の基本|適正在庫と発注点で欠品と過剰を防ぐ
「あの売れ筋、また在庫切れだ……」
そう思って倉庫の奥を見たら、今度はぜんぜん動かない商品が箱のまま積み上がっている。欠品で売る機会を逃しているのに、別の場所ではお金が在庫に化けて眠っている。これ、多くのEC現場で同時に起きている「あるある」です。
困っているのは、あなたの努力が足りないからではありません。発注を「勘」と「気づいたとき」でやっているから、欠品と過剰の両方が起きてしまうだけ。この記事を読み終える頃には、商品ごとに「いくつまで減ったら、いくつ頼むか」を数字で決められるようになっています。
結論:在庫管理のコツは、商品ごとに適正在庫(持ちすぎず切らさない量)と発注点(これ以下になったら発注する数)を決めること。「1日に売れる数 × 入荷までの日数 + 安全在庫」で発注点が出せれば、勘の発注が数字の発注に変わります。
なぜ「欠品」と「過剰」が同時に起きるのか
在庫の悩みは、たいてい正反対の2つに分かれます。
- 欠品:売れ筋を切らして、売れたはずの売上(機会損失)を逃す。広告で集めたお客さんも逃がす。
- 過剰:売れない商品を持ちすぎて、お金が在庫に化けて動かなくなる。保管料もかかり、最後は値引き処分になりやすい。
この2つが同時に起きるのは、どの商品も「なんとなく同じ感覚」で発注しているからです。本当は、よく売れる商品ほどこまめに、ゆっくり売れる商品は控えめに――と、商品ごとにリズムを変える必要があります。そのリズムを決める物差しが「発注点」と「適正在庫」です。
| 用語 | 意味 | ざっくり計算 |
|---|---|---|
| リードタイム | 発注してから入荷するまでの日数 | 仕入先に確認 |
| 安全在庫 | 売れ行きのブレや遅れに備える予備の在庫 | 1日の販売数 × 予備日数 |
| 発注点 | これ以下になったら発注する在庫数 | 1日の販売数 × リードタイム + 安全在庫 |
| 適正在庫 | 持ちすぎず切らさない、目安の在庫量 | 発注点 + 1回の発注数 |
発注点を、ひとつ計算してみる

例として、1日に平均10個売れる商品で考えます。
- 1日の平均販売数:10個
- リードタイム(発注から入荷まで):4日
- 安全在庫:2日分 = 10個 × 2日 = 20個
発注点は、10個 × 4日 + 20個 = 60個。つまり「在庫が60個まで減ったら発注する」と決めておけば、入荷までの4日間(40個分)を売っても、20個の予備を残してギリギリ切らさずに済みます。
ポイントは、売れ行きが速い商品ほど発注点も高くなること。1日30個売れる商品なら、同じ条件でも発注点は「30×4+60=180個」です。商品ごとにこの数字を一度出しておくだけで、「気づいたら欠品」がぐっと減ります。
あなたへの影響
- 発注点を決めないと、売れ筋の欠品で機会損失が出る。広告費をかけて集めた人ほど、買えずに離れていく。
- 一方で過剰在庫は、お金が眠るだけでなく保管料・処分値引きでじわじわ利益を削る。在庫は「お金の塊」です。
- 発注点と適正在庫を握ると、「いつ・いくつ頼むか」を感覚ではなく数字で判断でき、繁忙期やセール前の準備もしやすくなります。
明日やること
- 売上上位の主力3〜5商品をリストアップする。
- 各商品の「1日の平均販売数」と「リードタイム(入荷までの日数)」を調べる。
- 「1日の販売数 × リードタイム + 安全在庫」で発注点を計算し、メモやシートに書き込む。
- 在庫がその数を切ったら発注する、というルールを1つ決める。
最初は主力商品だけで十分です。全部をいきなり管理しようとせず、「売上の大半を占める数品」から始めると、欠品と過剰の両方が目に見えて落ち着きます。
チェックリスト
- 売上上位の主力商品を把握している(どれが店を支えているか)
- 主力商品ごとに「1日の平均販売数」を出している
- 仕入先ごとのリードタイム(入荷までの日数)を確認している
- 商品ごとに発注点(これ以下で発注する数)を決めている
- セール・繁忙期の前は、発注点と安全在庫を一時的に引き上げている
- 動きの止まった在庫(過剰・滞留)を月に一度見直している

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