
EC利益率と原価管理の入門|売上より「残るお金」を見る
「今月、よく売れたなあ」
そう思って通帳を見たら、思ったほど増えていない。仕入れの支払い、送料、モール手数料――気づけば、売上のほとんどが出ていっている。
「売れている」と「儲かっている」は、別の話です。多くのEC担当者がつまずくのは、能力でも努力でもなく、売上だけを見て、利益率を握っていなかったから。この記事を読み終える頃には、商品ごとに「本当に残るお金」を自分で出せるようになっています。
結論:見るべきは売上ではなく利益率。販売価格から原価・送料・手数料・販促費まで引いて、「1個売れて何円残るか」を商品ごとに出すと、力を入れる商品とやめる商品がはっきりします。
計算は記事末の無料ツールで、その場で終わります。
なぜ「売れているのに残らない」のか
利益が消える理由は、たいてい「価格を決めたときに、原価しか引いていない」ことにあります。
EC の1個あたりのコストは、仕入れ原価だけではありません。送料・決済手数料・モール手数料・梱包資材・販促費まで足して、はじめて「本当の原価」になります。ここを引かずに「定価2,000円、原価800円だから1,200円も儲かる」と思い込むと、現実とのズレが積み上がっていきます。
| 用語 | 意味 | ざっくり計算 |
|---|---|---|
| 粗利 | 売上から原価を引いた利益 | 売価 − 原価 |
| 粗利率 | 売価に対する粗利の割合 | 粗利 ÷ 売価 × 100(%) |
| 営業利益 | 送料・手数料・販促費まで引いた利益 | 粗利 − 諸経費 |
| 限界利益 | あと1個売れて増える利益 | 売価 −(原価+変動費) |
1個の「本当の利益」を出してみる

例として、販売価格2,000円の商品で考えてみます。
- 仕入れ原価:800円
- 送料:350円
- 決済・モール手数料(売価の10%):200円
- 梱包資材:50円
引き算すると、残る利益は600円。粗利率だけ見れば「2,000 − 800 = 1,200円、60%」に見えても、送料と手数料を引いた実質の利益率は30%まで落ちます。ここに広告費を1個あたり300円かければ、残るのはたった300円です。
同じ「売れた1個」でも、引き忘れている費用の分だけ、利益は幻になる。これに気づけるかどうかが、利益を残せる店との分かれ道です。
あなたへの影響
- 原価しか見ていないと、送料無料や値引きで、気づかないうちに赤字を出す。
- 商品ごとに利益率は違う。売れ筋=儲かり筋とは限らない(薄利の人気商品ばかり伸びることもある)。
- 利益率を握ると、「どの商品に広告を回すか」「どこまで値引きできるか」を数字で決められるようになる。
明日やること
- 主力3商品の本当の原価を出す(仕入れ+送料+手数料+資材)。
- 1個あたりの利益と利益率を商品ごとに計算する。
- 利益率の低い商品の送料・値引き・広告を見直す(やめる/価格を上げる/同梱で送料を分散)。
たった一度この計算をするだけで、「なんとなく忙しいのに残らない」が「どの商品で稼いでいるか」に変わります。
チェックリスト
- 主力商品の「本当の原価」(送料・手数料込み)を出している
- 商品ごとに1個あたりの利益・利益率を把握している
- 送料無料ラインを利益率とセットで決めている
- 値引き・クーポンの上限を利益から逆算している
- 月に一度、商品別の利益率を見直す運用になっている

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