Amazon広告の管理画面を前に、たくさんの広告メニューを見てどれから始めるか考え込むEC担当者

Amazon広告 完全攻略|SP・SB・SD・DSPの使い分けとACOS改善

Amazonに出品して、いよいよ広告を出そうと管理画面を開いた。すると「スポンサープロダクト」「スポンサーブランド」「スポンサーディスプレイ」、さらに「DSP」——似たような名前が並んでいて、どれから手をつければいいのか、そこで固まってしまった。そんな経験はありませんか。とりあえず全部やってみようとして予算が散らばり、「結局どれが効いているのか分からない」となるのも、よくある話です。

Amazonの広告は種類こそ多いものの、役割で分けて考えると驚くほどシンプルになります。今日は4つの広告——SP・SB・SD・DSPを「まだ知らない人に知ってもらう」から「買う直前の人を刈り取る」までの流れに沿って整理し、ACOS(後でやさしく説明します)という採算の物差しを見ながら、小さく始めて1つずつ足していく手順を、一緒に組み立てていきます。

結論:Amazon広告は4種類ありますが、いきなり全部やる必要はありません。まずSP(スポンサープロダクト=検索結果に個別商品を出す広告)を、採算の物差しであるACOS(エーコス=広告経由の売上に対して広告費が何%かかったかを見る数字)を決めてから始めます。ここで手応えが出てきたら、SB(ブランドをまとめて見せる広告)→ SD(一度見た人を追いかける広告)→ DSP(もっと広く配信する上級者向け)の順に足していく。刈り取り(SP)から固めて、育てる(SB/SD)、広げる(DSP)——この順番が、予算を無駄にしない王道です。

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いまAmazon広告で何が起きているか

Amazonの検索結果を開くと、上のほうや商品の間に「スポンサー」と小さく表示された商品が並んでいます。これがAmazon広告です。Amazonは「買う気で検索している人」が集まる場所なので、その検索結果に自社商品を差し込める広告は、買う直前の人に届きやすいのが最大の強みです。

一方で、広告メニューが年々増え、名前も似ているため、「多すぎて選べない」という声がとても多くなっています。SP・SB・SDは出品者(セラー)やベンダーが自分で運用できる広告、DSPはより大規模で専門的な配信の仕組み——このように役割と難易度が違うものが同じ「Amazon広告」という言葉でひとくくりにされているため、混乱が起きやすいのです。

もう一つの変化は、競合が増えて広告なしでは埋もれやすくなったことです。同じジャンルに似た商品が並ぶなか、検索結果の上位は広告枠が占めることも増えました。だからこそ「どの広告を、どういう順番で、いくらまでかけるか」を先に決めておくことが、限られた予算を効かせる分かれ目になります。まずは4つの広告の役割から、地図を描いていきましょう。

具体例:4つの広告を「役割」で並べて理解する

Amazon広告の4種類を、お客さんが商品に出会ってから買うまでの流れに沿って並べると、こう整理できます。専門用語(英語の略称)が続きますが、それぞれ「何をする広告か」を一言で覚えれば十分です。

広告の種類一言でいうと主な役割誰向け
SP(スポンサープロダクト)検索結果に個別商品を出す買う直前の人を刈り取るまず全員がここから
SB(スポンサーブランド)ロゴ+複数商品をまとめて見せるブランドを覚えてもらうブランド登録済みの人
SD(スポンサーディスプレイ)一度見た人を追いかけて再表示再訪を促す・関連商品に載せるSPに慣れたら
DSPAmazon内外に広く配信認知を広げる(上級者向け)予算と体制がある人

順番に、もう少しかみ砕きます。

  1. SP(スポンサープロダクト)=いちばん最初にやる広告。検索結果や商品ページに、あなたの個別の商品が「スポンサー」として表示されます。クリックされるごとに費用がかかる仕組みで、買う気で検索している人に直接当てられるため、最も売上につながりやすい広告です。迷ったら、まずこれ一択で始めます。
  1. SB(スポンサーブランド)=ブランドをまとめて見せる広告。検索結果の上部などに、ブランドのロゴ+複数の商品をバナーのように並べて表示できます。「単品」ではなく「お店」として覚えてもらいたいときに効きます。利用にはAmazonのブランド登録(自社ブランドを登録する手続き)が必要です。
  1. SD(スポンサーディスプレイ)=追いかける広告。一度あなたの商品ページを見た人や、関連ジャンルを見ている人に、商品ページや他サイト上でもう一度広告を見せられます。いわゆるリターゲティング(一度サイトに来た人を追いかけて再度広告を見せる仕組み)をAmazonの中で手軽にできるのがSDです。SPで刈り取りきれなかった「迷っている人」を連れ戻す役割です。
  1. DSP(ディーエスピー)=広く配信する上級者向け。Amazonが持つ膨大な閲覧データを使い、Amazonの外のサイトやアプリにも広告を配信できる仕組みです。認知を大きく広げられますが、最低出稿金額が高めで運用も専門的。まずはSP/SB/SDで土台を作ってから検討する領域と考えてください。

ACOSで「採算が合っているか」を見る

どの広告を回すにしても、必ず持っておきたい物差しがACOS(エーコス)です。ACOSは「広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100」で計算する、広告売上に対して広告費が何%かかったかを見る数字です。たとえば広告費が1万円で、その広告から3万円売れたら、ACOSは 10,000 ÷ 30,000 × 100 = 約33%。数字が小さいほど、少ない広告費で多く売れている(=効率が良い)ことを意味します。

大事なのは、「ACOSは低ければ低いほど良い」わけではないという点です。判断の基準になるのは、その商品の粗利率(あらりりつ=売価から原価などを引いて手元に残る利益の割合)です。たとえば粗利率が40%の商品なら、ACOSが40%を超えると「広告をかけるほど赤字」に近づきます。だから最初に、「この商品はACOS何%までなら黒字か」の目安(損益分岐点)を決めてから広告を回します。

もう一つ、TACOS(タコス=Total ACOS)という見方も知っておくと役立ちます。これは「広告費 ÷ 店全体の売上」で見る数字で、広告経由だけでなく広告がきっかけで自然に売れた分も含めた全体効率をつかむのに使います。まずはSPの単位でACOSを見て、慣れてきたらTACOSで店全体を眺める——この二段構えがおすすめです。数字の定義や計算方法は媒体側で更新されることがあるため、最新の内容は公式ヘルプで確認してください(Amazon Ads(公式)Amazon セラーセントラル)。

Amazon広告のSP・SB・SD・DSPを「認知→比較→購入」の流れに沿って並べた図
4つの広告は役割が違う。刈り取りのSPから始め、SB・SDで育て、DSPで広げる。

あなたへの影響

明日やること

  1. 商品ごとに「上限ACOS」を決める。まず主力商品の粗利率をざっくり計算し、「ACOS何%までなら黒字か」の目安を紙に書き出します。ここが決まっていないと、広告を止める・広げるの判断ができません(利益率の出し方はEC担当者のための利益率・原価管理入門や計算ツールが便利です)。
  2. SP(スポンサープロダクト)だけを、主力商品で小さく始める。最初は自動ターゲティング(Amazonが自動で検索語を選ぶ設定)で1〜2週間回し、どんな検索語で売れたかのデータを集めます。いきなりSBやSDに手を広げず、まずSP一本に絞るのがコツです。
  3. 1〜2週間後に検索語レポートを見て、育てる・削るを分ける。売れた検索語は手動ターゲティングで入札を強め、まったく売れずクリックだけかさんだ語は除外キーワードに登録します。SPで手応えが出てきたら、次にSB→SDの順で1つずつ足していきます(除外の考え方は検索広告のキーワード設計と除外KWも参考に)。

Amazon広告は、メニューの多さに圧倒されて「難しそう」と感じてしまいがちです。でも、本当に最初にやることはSPを1つ、上限ACOSを決めて小さく回すだけ。そこから見えてくる「売れる言葉」を頼りに、育てて、少しずつ足していけばいい。完璧な設計を待つより、今日、主力商品ひとつぶんの上限ACOSを決めるところから、そっと始めてみませんか。

Amazon広告の成果が少しずつ出てきて、手応えを感じ前向きな表情のEC担当者

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参考(公式・一次情報)