ネットショップの店長が、商品ページと広告の表示項目に抜けがないか、ノートパソコンとスマホを見比べながら一つずつ確認している情景

特商法「通信販売の広告」表示ルール完全ガイド|ECの必須項目

「特定商取引法に基づく表記」のページは、開業のときに一度がんばって作った。だからもう大丈夫——そう思っていませんか。

でも、通信販売のルールは「あの1ページ」だけの話ではありません。実は法律は、商品ページや広告そのものにも、書いておくべき項目を求めています。価格や送料、返品の条件、いつ届くか……お客さんが「買う前に知っておきたいこと」が、広告のどこかにちゃんと示されているか。ここに抜けがあると、知らないうちにルール違反になったり、返品トラブルでお店が不利になったりします。今日は、通信販売の「広告」に何を・どこに書けばいいのかを、必須項目のひとつずつまで、一緒に整理していきましょう。

結論:通信販売では、「特定商取引法に基づく表記」ページを作るだけでは不十分です。特定商取引法(通信販売などの取引ルールを定めた法律。以下「特商法」)は、広告そのもの——つまり商品ページやランディングページ、メール広告など、お客さんが買うかどうかを判断する場面に、価格・送料・支払い時期・引渡し時期・返品特約・事業者情報などの必須項目を表示するよう求めています。やることは大きく3つ。①必須項目のリストを持つ →②その項目が「表記ページ」だけでなく、実際に買う導線(商品ページ・カート・広告)からも分かるかを確認する →③誇大広告(大げさで事実と違う宣伝)にあたる表現がないかを見直す。一度この視点を持てば、あとは新しい商品ページを作るたびに同じチェックをかけるだけです。まずは自店の商品ページを1枚開いて、必須項目が“買う前に見える場所”にあるかを確かめることから始めましょう。なお本記事は2026年時点の一般的な解説です。要否や表示方法は事業形態・取扱商品・法改正で変わるため、判断に迷う点は消費者庁の特定商取引法ガイドで最新を確認し、必要に応じて専門家(弁護士・行政書士など)に相談してください。

いま何が起きているか|「表記ページ」と「広告表示」は別物

まず、よくある誤解をほどきます。多くの人が「特商法対応=“特定商取引法に基づく表記”ページを1枚作ること」だと考えています。もちろんそれも大切です(特定商取引法の表記の作り方)。でも、法律が求めているのはそれだけではありません。

特商法は、通信販売の「広告」に一定の事項を表示することを事業者に求めています。ここでいう広告とは、テレビCMのような宣伝だけを指すのではありません。お客さんが商品を知り、買うかどうかを判断する情報のすべて——つまり、商品ページ、ランディングページ(1商品を売るための縦長ページ)、モールの商品説明、メールマガジンやSNSでの販売告知なども、通信販売では「広告」にあたり得ます。

なぜこうしたルールがあるのでしょうか。通信販売は、お店とお客さんが対面できません。手に取って確かめることも、その場で店員に質問することもできない。だからこそ法律は、「買うかどうかを決める前に、お客さんが知っておくべき情報を、判断する場面できちんと示すこと」を求めているのです。

ここで見落とされがちなのが、返品特約(返品・交換の可否や条件を定めた取り決め)です。通信販売には、訪問販売のようなクーリングオフ(一定期間内なら無条件で契約を解除できる制度)は原則ありません。そのぶん、返品の条件を広告に分かりやすく書いていないと、商品到着日を含めて8日以内は、お客さんが送料を負担して返品できるとされています。つまり「書いていない」状態は、そのままお店側の不利につながるのです(返品送料の負担ルールの決め方、通販とクーリングオフの関係)。

さらに、特商法は誇大広告(こだいこうこく)——実際よりも著しく優良・有利だと誤解させる、大げさな宣伝——も禁止しています。「必ず痩せる」「絶対に儲かる」「今だけ特別」といった、事実と違う・根拠のない表現は、この誇大広告にあたる可能性があります(表現の線引きは景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全)。

具体例|通信販売の広告に表示する主な必須項目

通信販売の広告に表示すべき主な項目(価格・送料・支払い・引渡し・返品・事業者情報・申込期限)を上から順に並べた構成図
難しく考えず、この並びで一つずつ確認するだけ。大事なのは「表記ページ」だけでなく、お客さんが買う前に見える場所にあるか。

身構えなくて大丈夫です。通信販売の広告に表示が求められる主な項目を、上から順に確認していきましょう。取扱商品や販売方法で増減しますし、最終的な要否は公式情報・専門家で確認が必要ですが、まずは全体像をつかむことが大切です。

  1. 販売価格(送料を含む総額の考え方):税込の価格を明示する。送料が別なら、送料も分かるようにする。消費税の総額表示も意識する。
  2. 送料・その他の必要費用:送料の金額や無料条件のほか、決済手数料・梱包料など、商品代金以外にかかるお金があればその内容と額を示す。
  3. 代金の支払い時期・方法:クレジットカード、代金引換、後払いなど。前払いか後払いか、いつ支払うのかも分かるように。
  4. 商品の引渡し時期:「注文確認後◯営業日以内に発送」など、いつ手元に届く見通しなのかを示す。前払いの場合は特に重要。
  5. 返品特約(申込みの撤回・解除に関する事項):返品・交換できる条件、できない条件、期限、送料の負担を明記する。ここが空だと前述の不利につながる最重要項目。
  6. 事業者の氏名(名称)・住所・電話番号:販売事業者を特定できる情報。屋号だけでなく、氏名または法人名を。
  7. 申込みの有効期限があるときは、その期限:「◯月◯日まで」「先着◯名」など、期限や数量の条件があるなら明示する。
  8. 販売数量の制限など、特別な販売条件があるときはその内容:「お一人様◯点まで」などの条件があれば書く。
  9. 商品の不具合(契約不適合)への対応:届いた商品が説明と違う・不良だった場合の、お店側の対応方針。
  10. 定期購入など継続的な契約のときは、その条件:各回の分量・金額・引渡し時期、契約期間、解約の条件など。ここは特に厳しいルールがある(後述)。
  11. メール広告を送るときの条件:メールで販売を告知する場合は、お客さんの同意(オプトイン)や配信停止の仕組みが別途必要(後述)。

そのまま自店の確認に使えるよう、商品ページ・カート導線に落とし込むイメージも置いておきます(自店に合わせて必ず調整してください)。

商品ページ/広告での表示イメージ(例)
・販売価格:各商品ページに税込で表示(例:3,980円・税込)
・送料:全国一律◯◯円/◯◯円以上のご購入で無料
・その他費用:代引き手数料◯◯円(代金引換の場合)
・支払い方法:クレジットカード/代金引換/◯◯ペイ(前払い・後払いの別を明記)
・引渡し時期:ご注文確認後、◯営業日以内に発送
・返品・交換:未使用・未開封で商品到着後◯日以内のご連絡で対応。お客様都合の返送料はお客様負担、不良・誤発送は当店負担。食品・衛生商品は性質上返品不可。
・販売事業者:◯◯商店(◯◯県◯◯市/電話 000-0000-0000)
・申込期限・数量:セール価格は◯月◯日23:59まで/お一人様◯点まで

ポイントは、これらを「特定商取引法に基づく表記」ページに書いておくだけでなく、お客さんが実際に買う場面(商品ページ・カート・広告)からも分かるようにすること。特に価格・送料・引渡し時期・返品条件は、買う直前の判断に直結するので、リンク一つですぐたどれる状態にしておくと安心です。

定期購入・サブスクは表示ルールがさらに厳しい

もし定期購入(毎月自動でお届けするような継続販売)を扱うなら、通常の広告表示に加えて、より詳しい表示が求められます。2022年の改正で、最終確認画面(注文を確定する直前の画面)に、「定期購入であること」「各回と支払総額」「引渡し時期・周期」「解約の条件・方法」などを分かりやすく表示することが義務づけられました。ここを誤解させる表示(例:「初回◯円」だけを大きく見せ、継続や総額を分かりにくくする)は禁止されています。定期購入を扱う場合は、必ず専用の設計を確認してください(詳しくは特商法の定期購入表示規制 完全ガイド)。

メール広告には「同意(オプトイン)」が必要

メールマガジンやLINEなどで販売を告知する場合、特商法は原則としてオプトイン(お客さんが「送っていい」と事前に同意していること)を求めています。同意なく一方的に広告メールを送ることは、原則できません。あわせて配信停止(オプトアウト)の方法を分かりやすく示す必要もあります。この部分は特定電子メール法とも関わるので、配信を始める前に整理しておきましょう(特定電子メール法に沿ったメルマガ配信ルール)。

やってはいけない「誇大広告」

特商法は、著しく事実と違う表示や、大げさで誤解を招く表示を禁じています。効果や成分、価格の見せ方(例:架空の「通常価格」からの値引きに見せる二重価格)などで、実際より良く見せることはできません。ステルスマーケティング(広告なのに広告と分からせない宣伝)も、いまは規制対象です。表現に迷ったら、下の記事で言い換えの型を確認してください(表現チェック大全、ステマ規制とやらせレビュー対策)。

あなたへの影響|「表記ページを作った」で止めない

明日からやること

  1. 自店の商品ページを1枚開き、価格・送料・支払い・引渡し時期・返品条件が、買う前に見える場所(またはリンク一つ)にあるかを確認する。
  2. 「特定商取引法に基づく表記」ページに空欄・初期テンプレのまま残っている項目がないかを見直す(表記の作り方)。
  3. 返品特約を、商品ページ・カート・広告からすぐたどれるようにリンクを置く。
  4. セールや数量限定をしているなら、申込期限・数量条件を広告に明記する。
  5. 定期購入・サブスクを扱うなら、最終確認画面の表示を専用ルールで点検する(定期購入表示規制ガイド)。
  6. メール・LINEでの販売告知は、同意(オプトイン)と配信停止の仕組みを確認する(メルマガ配信ルール)。
  7. 判断に迷う項目は、消費者庁の特定商取引法ガイドで最新を確認し、必要なら専門家に相談する。

通信販売の広告表示 チェックリスト

特商法の広告表示は、お役所向けの面倒な決まりごとではありません。「このお店は、買う前に必要なことを正直に見せてくれる」とお客さんに伝わる、信頼の設計図です。表記ページを一度作って安心するのではなく、新しい商品ページを作るたびに、今日のチェックリストをそっと横に置いてみてください。空欄をひとつ埋めるたびに、迷っていたお客さんの背中を、少しずつ押してあげられます。

広告と商品ページの表示を整え終えたお店の人と、安心して買い物を楽しむお客さんが信頼し合っている明るい情景
正直な表示は、お客さんの安心とお店の信頼を同時に育てる土台になる。

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参考(公式・一次情報)

※本記事は2026年時点の一般的な解説であり、法務の助言ではありません。必須表示の要否や方法は、事業形態・取扱商品・法改正によって変わります。具体的な判断は、最新の特定商取引法ガイド(消費者庁)を確認のうえ、必要に応じて専門家(弁護士・行政書士など)にご相談ください。

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