
定期購入の表示規制 完全ガイド|特商法・最終確認画面で気をつけること
「1回だけのつもりで買ったのに、翌月また届いた」「解約しようとしたら、条件が分かりにくかった」——定期購入を扱っていると、こうしたお問い合わせやレビューに、ひやりとした経験はありませんか。悪気があったわけではないのに、お客さまを困らせてしまう。担当者としては、いちばん避けたい場面ですよね。
でも、大丈夫です。こうしたトラブルの多くは、商品そのものではなく、注文の「最後の確認画面」の見せ方でつまずいています。そして、ここは今日から直せる場所です。しかも、2022年に改正された特定商取引法(特商法)で、定期購入の表示にはっきりとルールができました。ルールを味方につければ、「お客さまにも、お店にも、あとで揉めない」注文の流れがつくれます。今日は、その最終確認画面の整え方を、一緒に見ていきましょう。読み終えるころには、「うちの画面、直せそう」と思えているはずです。
結論:定期購入(サブスクリプション)を扱うなら、注文の最終確認画面(申込みの直前に内容を確認する画面)で、①これは定期購入であること、②支払うことになる総額や各回の代金、③商品の引渡し時期(お届けの回数・間隔)、④解約・返品の条件と方法を、お客さまが分かるようにハッキリ表示する必要があります。特商法では、こうした表示を欠いたり、人を誤解させる見せ方をしたりすることが禁止されています。具体的な文言・レイアウトの適否は個別性が高いため、最終判断は必ず弁護士など専門家や消費者庁の公式情報で確認してください。
この記事で出てくる主な言葉を、先に3つだけ整理します。
* 特商法(特定商取引法):通信販売など、トラブルが起きやすい取引について、事業者が守るべき表示や勧誘のルールを定めた法律。
* 定期購入:1回の申込みで、商品が定期的に届き、そのつど(または前払いで)代金が発生する売り方。サブスク・頒布会・定期便などを含む。
* 最終確認画面:注文を確定する直前に、申込み内容(商品・金額・回数・解約条件など)をまとめて表示する画面。ここでの見せ方が特に重視される。
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いま何が起きているか:定期購入は「便利」と「トラブル」が背中合わせ
定期購入は、EC運営にとって心強い売り方です。1回の申込みで継続して買っていただけるので、1人のお客さんが長く買ってくれる金額(LTV)が伸びやすく、売上も安定します。化粧品・健康食品・食品・日用品など、繰り返し使うものと相性がよく、多くのお店が取り入れています。
一方で、定期購入は消費者トラブルが特に多い分野でもあります。国民生活センターや消費生活センターには、「お試し1回のつもりが定期契約だった」「解約の条件が厳しかった」「総額がいくらになるか分からなかった」といった相談が数多く寄せられてきました。こうした背景を受けて、2022年6月に施行された改正特商法で、通信販売の申込み段階の表示ルールが強化されました。
ここで押さえたいのは、「お客さまをだますつもりがなくても、表示が不十分だと規制の対象になりうる」ということです。たとえば「初回500円」を大きく見せて、2回目以降の金額や継続回数を小さく・分かりにくくしていると、人を誤解させる表示(誤認させる表示)とみなされるおそれがあります。悪質な業者だけの話ではなく、善意のお店こそ、うっかり抜けていないか点検する価値があるテーマなのです。
規制の全体像は、消費者庁が運営する特定商取引法ガイドや消費者庁の公式サイトで確認できます。制度は改正されることがあるため、必ず最新の公式情報にあたってください。
具体例:最終確認画面で表示すべき4つのこと
ここからは、注文の最終確認画面で「何を、どう見せるか」を、4つのポイントに分けて見ていきます。あくまで一般的な整理です。実際の文言やレイアウトが規制に沿っているかは、扱う商品や画面の作りによって変わるため、専門家や公式情報に必ず確認してください。

ポイント1:これは「定期購入」だと、はっきり分かるようにする
まず大前提として、その注文が1回きりではなく、継続して届く定期購入であることを、お客さまがひと目で分かるようにします。
- 商品名やボタンの近くに「定期購入」「毎月お届け」などと明記する。
- 「初回」「お試し」を強調するときほど、それが定期契約の初回であることを、同じくらい分かる大きさ・近さで併記する。
- 「初回だけ買えるように見えて、実は継続契約」という誤解を生む見せ方は避ける。
「安く見せたい」という気持ちは自然ですが、安さの強調と、契約の中身の説明は、必ずセットにしましょう。ここがズレると、あとで「聞いていない」というトラブルに直結します。
ポイント2:支払うことになる「総額・各回の代金」を示す
次に、お客さまが結局いくら払うことになるのかを分かるようにします。
- 各回の代金(初回○円、2回目以降○円)と、支払うことになる金額の総額の考え方を示す。
- 「○回続けることが条件」といった継続の縛りがあるなら、その回数と、その場合の合計金額のイメージが分かるようにする。
- 回数の縛りがなく「いつでも解約できる」場合も、そのことを正直に書く。
「初回500円」のインパクトだけが残り、「2回目以降は5,000円で、最低4回」という条件が伝わっていないと、金額について人を誤解させる表示になりかねません。お客さまが電卓をたたかなくても、総額の見当がつく状態が理想です(※金額はすべて例です。自店の実際の価格に置き換えてください)。
ポイント3:商品の「引渡し時期・お届けの回数と間隔」を示す
3つ目は、いつ・どれくらいの間隔で届くのかです。
- 初回の発送時期、2回目以降のお届け間隔(毎月・隔月など)を明記する。
- 定期の回数(無期限か、○回で終了か)が分かるようにする。
- 「次回お届けの○日前までに連絡が必要」といった、タイミングに関わる条件があれば、あわせて示す。
お届けの周期が分からないと、「気づいたら次が届いていた」という事態になりがちです。次にいつ届くかが分かるだけで、お客さまの安心感は大きく変わります。
ポイント4:解約・返品の「条件と方法」を分かる場所に示す
4つ目が、トラブルで最も多い解約・返品まわりです。ここは特に丁寧に。
- 解約の方法(電話・マイページ・メールなど)と、受付の窓口・期限を明記する。
- 「次回発送の○日前まで」などの締め切りがある場合は、その条件をはっきり示す。
- 通信販売には、法律で定められたクーリング・オフ(一定期間内の無条件解約)は原則ありません。その代わり、お店が定める返品特約(返品の可否・条件・送料負担)を明確に表示する必要があります。表示がないと、お客さま側で返品できる扱いになる場合があります。
- 解約の導線を、申込みと同じくらいたどりやすくしておく。申込みは1クリック、解約は電話が延々つながらない……という設計は、不誠実に見えてしまいます。
解約条件を「隠す」ことは、短期的に解約を減らせても、信頼と口コミを確実にすり減らします。むしろ「辞めやすさ」を正直に見せるお店のほうが、安心して始めてもらえます。解約を減らす設計そのものは、定期購入の解約を減らす方法|継続率を上げる設計や定期購入の「スキップ・お届け間隔変更」で解約を防ぐもあわせてどうぞ。
やってはいけない見せ方(誤認させる表示)
上の4点に関連して、特商法では人を誤解させる表示が禁止されています。次のような見せ方は避けましょう。
- 定期契約なのに、1回限りの購入だと誤解させる表示。
- 継続回数・総額・解約条件を、わざと小さく・目立たない場所に置く。
- 「解約はいつでも簡単」と書きながら、実際は受付時間が極端に短い・つながりにくい。
こうした表示は、景品表示法(優良誤認・有利誤認)の観点でも問題になりえます。表現全般のNG・言い換えは景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全、特商法の基本表記は特定商取引法の表記の作り方も参考になります。
あなたへの影響
- 最終確認画面を整えると、「聞いていない」トラブルが減り、解約時の揉めごとやクレームが減ります。カスタマーサポートの負担が軽くなり、返金対応やレビュー炎上のリスクも下げられます。
- 表示規制に沿うことは、行政指導・措置命令などのリスクを避けることにつながります。改正特商法では、誤認表示によって申込みをした場合、お客さま側が申込みの取消しを主張できる仕組みもあります。「知らなかった」では済まされない領域です。
- 正直な表示は、かえって「始めやすさ」と信頼を生みます。条件を隠さないお店ほど、安心して定期を申し込んでもらえ、結果的に長く続けてもらえます。1人のお客さんが長く買ってくれる金額(LTV)は、誠実さの上に積み上がります。
- 社内・外注先と「表示の基準」を共有できます。ページ制作を外注している場合も、チェック項目があれば、担当者が代わっても表示の質を保てます。
明日やること
- 自店の注文フローを、実際にお客さまとして最後まで進めてみる(スマホとパソコンの両方で。最終確認画面で4点が見えるか確認)。
- 最終確認画面に「定期・総額・お届け時期・解約条件」の4点がそろっているかを、チェックリストで点検する。
- 「初回○円」を強調している箇所の近くに、2回目以降の金額・回数・解約条件が同じ分かりやすさで併記されているかを確認する。
- 解約の導線(方法・窓口・期限)が、申込みと同じくらいたどりやすいかを確かめ、分かりにくければ改善する。
- 返品特約(返品の可否・条件・送料負担)の表示があるかを確認する。
- 判断に迷う表示は、消費者庁の公式情報を確認し、必要に応じて弁護士など専門家に相談する。
定期購入は、お店とお客さまの「長いお付き合い」の入り口です。その最初の一歩で、隠しごとのない、正直な案内ができていれば、関係はきっと気持ちよく続きます。まずは今日、自分のお店の注文を、お客さまの気持ちで最後まで進めてみてください。その5分が、これからのトラブルをいくつも防いでくれます。

チェックリスト
- 最終確認画面で「これは定期購入」だとひと目で分かる
- 「初回○円」の近くに、2回目以降の金額を同じ分かりやすさで併記している
- 各回の代金と、支払うことになる総額の考え方を示している
- 継続回数の縛り(○回条件)があれば、その回数と合計の目安を示している
- お届けの間隔・回数(毎月・○回など)を明記している
- 解約の方法・窓口・期限をはっきり示している
- 解約の導線が、申込みと同じくらいたどりやすい
- 返品特約(返品の可否・条件・送料負担)を表示している
- 人を誤解させる見せ方(1回限りと誤解させる等)になっていない
- 迷う表示は消費者庁の公式情報を確認し、専門家に相談する体制がある
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あなたのお店の定期購入、最終確認画面で「定期・総額・お届け時期・解約条件」の4点はそろっていますか。扱う商品ジャンルを教えていただければ、無料診断で「最終確認画面で先に直すべきポイント」を一緒に整理してお返しします。
参考(公式・一次情報)
- 特定商取引法ガイド(消費者庁) — 通信販売の表示ルール・定期購入に関する解説
- 消費者庁 — 特定商取引法の改正・制度の全体像
※この記事は定期購入の表示規制の全体像をやさしく整理したものです。金額はすべて例であり、実在の商品・実績を示すものではありません。最終確認画面の具体的な文言やレイアウトが規制に沿っているかの判断、返品特約の書き方は、扱う商品・画面の作り・最新の法改正によって異なります。実際の判断は、消費者庁などの公式情報および弁護士など専門家に必ずご確認ください。