手作りの焼き菓子やジャムをテーブルに並べ、ネットで売る準備をしながら「許可や表示は大丈夫かな」と考える作り手

食品のネット販売に必要な許可と表示|手作り食品を売る前の完全ガイド

「自分で焼いたお菓子を、ネットで売ってみたい」「畑の果物でジャムを作ったから、遠くの人にも届けたい」——そんな気持ちがふくらんだとき、すぐそのあとに小さな不安がよぎりませんか。「これって、勝手に売って大丈夫なんだろうか」「パッケージには何を書けばいいの?」と。

その不安は、とても大切な感覚です。食品は口に入るものだからこそ、他の商品より少しだけ準備することが多いのです。でも、身構えなくて大丈夫。やることは大きく2つ——「①売る資格(許可・届出)を整える」と「②パッケージに正しい表示をつける」——だけです。この2本立てを順番に片づければ、安心して一歩目を踏み出せます。今日は、その準備の地図を一緒に描いていきましょう。

結論:食品をネットで売るには、①食品衛生法にもとづく営業許可または営業届出(=売る資格)と、②食品表示法にもとづくパッケージの表示(=ラベルの中身)の2つが柱になります。何が必要かは「何を作るか」「どこで作るか」で変わるため、まず最寄りの保健所に、扱う商品を伝えて事前相談するのが確実です。自宅キッチンでそのまま製造・販売できるとは限らない点に、特に注意してください。

この記事で出てくる主な言葉を、先に3つだけ整理します。

* 営業許可:食品を作って売るために、保健所から受ける「営業してよい」というお墨付き。業種によって必要。
* 営業届出:許可までは要らないものの、「こういう食品を扱います」と保健所へ届け出る手続き。
* 食品表示:容器や袋に入れて売る食品の、名称・原材料・アレルギーなどを記したラベルの中身。

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いま何が起きているか:「誰でも作って売れる」時代の落とし穴

ネットショップやフリマアプリ、産直モールの普及で、個人でも思い立った日に食品を出品できる時代になりました。手作りのお菓子や地元の加工品が、全国のお客さまに届く。とても素敵なことです。

一方で、「趣味の延長」で売り始めてしまい、必要な許可・届出や表示を見落とすケースが増えています。ここで押さえておきたい考え方が1つあります。それは、繰り返し・継続して作って売るなら、それは「商売(事業)」にあたるということ。実店舗を開くのと同じルールが、ネットにも当てはまります。

さらに、食品まわりのルールは近年アップデートされました。食品衛生法の改正で、2021年から営業許可の業種が整理され、許可の要らない業種にも「営業届出」が求められるようになりました。あわせて、原則としてすべての食品事業者にHACCP(ハサップ=衛生管理の手順を決めて記録する国際的な仕組み)に沿った衛生管理が求められています。「昔は大丈夫だった」が今は変わっていることもあるので、最新情報は必ず公式で確かめましょう。制度の全体像は、食品衛生を所管する厚生労働省の公式サイトが入口になります。

つまり、ハードルが上がったわけではなく、「お客さんと自分を守る仕組み」が整理された、ということ。ここを前向きに捉えると、準備もスムーズに進みます。

具体例:食品ネット販売の準備2本立て

ここからは、準備の柱を「①許可・届出」と「②食品表示」の2つに分けて、順番に見ていきます。あくまで一般的な整理なので、自分の商品が当てはまりそうなら、必ず後述の公式情報と保健所で最終確認してください。

食品ネット販売の準備を「許可・届出」と「食品表示」の2本柱で示した図
準備は大きく2本柱。まず「売る資格」、次に「ラベルの中身」の順に整えると迷わない。

柱1:売る資格を整える(営業許可・届出と食品衛生責任者)

食品を作って売る場合、まず必要なのが「売る資格」です。ポイントは3つあります。

「自分で作ったものを少しだけ」でも、繰り返し販売するなら対象になり得ます。何が許可制か、どんな設備が要るかは商品と自治体で変わるので、最寄りの保健所へ、作りたい商品を具体的に伝えて相談するのが、遠回りに見えていちばんの近道です。仕入れた加工食品を「作らずに売るだけ」の場合でも、食品の販売業として届出が必要になることがあります。

なお、産直の生鮮野菜・果物そのものなど、そのまま売れるものもあります。生産者が自分で売る流れは産直・地域産品ECの始め方、許可が要る商品全体の地図はネット販売に許可・届出が必要な商品一覧もあわせてどうぞ。

柱2:パッケージの食品表示をつける(食品表示法)

売る資格が整ったら、次はラベルです。容器や袋に包んで売る加工食品には、食品表示法にもとづく表示が義務づけられています。手作りの焼き菓子やジャムも、袋・瓶に入れて売るなら対象です。おもに次の項目を、まとめて(一括表示という形で)記載します。

とくに気をつけたいのがアレルギー表示です。表示が義務づけられた特定原材料8品目(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)を含む場合は、必ず表示します(くるみは近年、義務対象に加わりました)。このほか、表示が推奨されている品目もあります。対象は見直されることがあるため、最新の一覧は消費者庁で確認してください。表示のルールは、食品表示を所管する消費者庁の食品表示に関するページが一次情報です。

表示は「お客さまの安全と選ぶ自由を守るための約束ごと」。書き方に迷ったら、市販の似た商品のラベルを参考にしつつ、判断に迷う点は保健所や専門家に確認すると安心です。

柱の外:ほぼ全員に必要な「特商法の表記」と表現の注意

商品の種類にかかわらず、ネットで継続して売るなら、特定商取引法(特商法)にもとづく表記(事業者名・連絡先・返品条件などの表示)がほぼ必須です。書き方は特定商取引法の表記の作り方にまとめています。

もう1つ、商品ページの「言葉」にも注意が要ります。「食べれば必ず痩せる」「この成分で病気が治る」といった、健康・効果を断定する表現は、景品表示法薬機法(医薬品医療機器等法)に触れるおそれがあります。おいしさや素材の魅力は伝えつつ、効能の言い切りは避けましょう。NG表現と言い換えは景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全が参考になります。

あなたへの影響

明日やること

  1. 売りたい食品を1つに絞る(いちばん自信のある「一号商品」を決める)。
  2. その商品が「作って売る」のか「仕入れて売るだけ」なのかを整理する(必要な手続きの当たりがつく)。
  3. 最寄りの保健所に電話して、「この商品を売りたい」と伝え、必要な許可・届出と施設基準を聞く(相談は無料のことが多い)。
  4. 自宅キッチンで製造できるか、別の設備(レンタルキッチン・委託製造など)が要るかを確認する。
  5. パッケージに載せる表示項目(名称・原材料・アレルギー・期限など)を紙に書き出し、抜けがないか確かめる。
  6. 特商法の表記と、商品ページの効果・効能の表現に行きすぎがないかを見直す。

食品を売る前の「これ、大丈夫かな」という小さな不安は、あなたのお店を長く続けさせてくれる力です。完璧を一度に目指さず、まずは今日、保健所に電話して「何が必要か」を聞くところから。その一本の電話が、いちばん確実な第一歩になります。

必要な許可と表示の準備を終え、安心して手作り食品を発送する作り手の笑顔

チェックリスト

関連記事・無料ツール

あなたが売りたい手作り食品は何ですか。商品ジャンルと作り方(自作か仕入れか)を教えていただければ、無料診断で「まず確認すべき許可と表示の当たり」を一緒に整理してお返しします。

参考(公式・一次情報)

※この記事は制度の全体像をやさしく整理したものです。必要な許可・届出の要否や施設基準、表示の具体は、扱う商品・地域・売り方によって異なり、制度も改正されます。実際の判断は、最寄りの保健所や消費者庁などの公式情報、専門家に必ずご確認ください。

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