届いたネットショップの箱を開けて、中に入っていた手書きのお礼カードを見て思わず笑顔になっているお客さんの様子

同梱物の設計|サンクスレターとサンプルで2回目につなげる

ネットショップを開いて数か月。広告を出したり、商品ページを直したりして、新しいお客さんはぽつぽつ来てくれるようになった。でも、いつまで経っても「初めまして」のお客さんばかりで、リピート(同じお客さんが2回目以降も買ってくれること)がなかなか増えない——。そんなモヤモヤを抱えていないでしょうか。

その悩みの答えは、実は「発送する箱の中」にあるかもしれません。お客さんが箱を開けるあの瞬間は、1年のうちでいちばんあなたのお店にワクワクしてくれている時間です。注文して、待って、やっと届いた。その高まった気持ちのところに、心のこもった一言や、ちょっとした心づかいが添えられていたら——。今日は、その「箱の中の一手間」=同梱物(どうこんぶつ=商品と一緒に箱に入れて送るお礼状やサンプルなどのこと)の設計についてお話しします。お金も設備もほとんど要りません。今日、A4の紙とプリンターがあれば始められる、いちばん身近なリピート施策です。

結論:同梱物は「箱を開けた瞬間の感動」を、次の注文につなげる小さな手紙です。最初にそろえたいのは3つだけ、①サンクスレター(お礼のカード)で気持ちを伝える ②次回クーポンや再購入の案内で「次の一歩」を用意する ③サンプルやお手入れガイドなど「役に立つおまけ」で満足度を上げる
進め方は、(1) まずサンクスレター1枚から始める → (2) そこに次回使えるクーポンや、まとめ買い・定期の案内を一言そえる → (3) 商品に合ったサンプルや使い方ガイドを足していく。全部を一度にやろうとせず、1枚の紙から育てていくのがコツです。原価は数円〜数十円でも、2回目の注文が生まれれば十分に元が取れます。

いま何が起きているか

多くのお店で、集客(新しいお客さんを集めること)にはお金と時間をかけているのに、一度買ってくれたお客さんへのフォローが「発送メール1通」で終わっている、ということが起きています。せっかく届いた箱の中は、商品と納品書だけ。事務的で、少しさみしい。これは、いちばん温度の高い瞬間を、そのまま冷ましてしまっているのと同じです。

考えてみると、新しいお客さんを1人連れてくるのは、広告費もかかるし簡単ではありません。一方で、一度買ってくれた人にもう一度買ってもらうほうが、ずっと手間もお金もかかりません。相手はもう商品の良さも、お店の対応も知ってくれているからです。この「2回目」をつくれるかどうかで、お店の利益はじわじわと変わっていきます。(初回客を2回目につなげる考え方はF2転換率の上げ方|初回客を2回目につなげる育て方でも詳しく扱っています。)

そして、その2回目のきっかけを、いちばん低コストでつくれる場所が「箱の中」なのです。メールやLINEは開かれないこともありますが、同梱物は箱を開ければ必ず目に入ります。「届いた・開けた・うれしい」の三拍子がそろった、開封のあの数十秒。ここに一言そえられるかどうかで、お客さんの心に残るお店になれるか、その他大勢のお店で終わるかが分かれます。派手さはありませんが、地味に、確実に効いてくる一手です。

同梱物は「気持ち・次の一歩・役立ち」の3点セット

同梱物の3つの役割(気持ち・次の一歩・役立ち)を、箱の中に入れる3枚のカードとして並べた図
同梱物は「気持ち」を伝え、「次の一歩」を用意し、「役立ち」で満足を足す。この3つを箱に入れると2回目につながりやすい。

同梱物と一口に言っても、何を入れればいいのか迷いますよね。あれもこれもと詰め込むと、コストがかさむわりに雑然としてしまいます。役割で3つに整理すると、優先順位がはっきりします。

役割何を入れるかねらい
① 気持ち(サンクスレター)手書き風のお礼カード。「数あるお店の中から選んでくれてありがとう」の一言お店を「人の顔が見える存在」にして、また買いたい気持ちを育てる
② 次の一歩(再購入の案内)次回使えるクーポン、まとめ買い・定期便の案内、人気商品の紹介カード「次はこれを、この特典で」と、2回目の具体的なきっかけを渡す
③ 役立ち(サンプル・ガイド)商品のお手入れ方法、使い方・活用ガイド、関連商品の試供品(サンプル)買った商品をもっと満足して使ってもらい、次への興味を広げる

大事なのは、①の「気持ち」を土台にすることです。いきなり②のクーポンだけを入れると、「結局また売り込みか」と感じさせてしまいます。まずお礼をきちんと伝えたうえで、「もしよければ次はこちらも」と案内する。この順番だと、同じクーポンでも受け取り方がまるで変わります。

無理に3つ全部を最初からそろえる必要はありません。まずは①のサンクスレター1枚から。慣れてきたら②の案内を一言そえ、余裕が出たら③のサンプルやガイドを足していく。1枚の紙が、少しずつ「箱の中の接客」に育っていきます。

なお、次回クーポンや「レビューを書いてくれた方に特典」といった案内を入れるときは、表現に注意が必要です。「必ず」「絶対お得」といった断定や、根拠のない最上級表現は景品表示法(景表法)で問題になることがあります。レビュー特典を用意する場合も、書いてもらった内容に条件をつける(高評価だけを募るなど)のは避け、正直な感想をお願いする形にしましょう。景品には金額の上限などのルールもあるため、規模の大きい特典を検討するときは公式の情報を確認してください(消費者庁:景品表示法)。

具体例:手書きカード1枚から始めた、あるお茶屋さんの話

日本茶を売っている小さなネットショップが、「新規のお客さんは来るけれど、リピートがほとんど無い」ことに悩んでいました。広告を増やす予算も、凝った仕組みを入れる余裕もありません。そこで店主さんが最初にやったのは、手書き風のお礼カードを1種類つくることだけでした。

大きな変化は、じわじわと表れました。「カードが温かくて、また頼みました」という声が届くようになり、クーポンを使った2回目の注文が少しずつ増えていったのです。かけたコストは、カードの紙代とサンプル代で1件あたり数十円ほど。それでも、2回目・3回目と続けて買ってくれるお客さんが生まれれば、その差は十分に取り返せます。

このお茶屋さんがすごいのは、特別なことを何もしていないところです。やったのは、箱を開けた人に「ありがとう」をきちんと伝え、「よかったら次も」とそっと案内しただけ。同梱物は、こうして今日から、紙1枚で始められるのです。

あなたへの影響

明日やること

  1. まずサンクスレターを1種類つくる。A4に4枚並べて印刷し、切って使う程度で十分。「選んでくれてありがとう」を、売り込み抜きの言葉で書く。
  2. カードに手書き風のフォントや、店主のサイン・似顔絵を入れて、「人の顔が見える」温かさを足す。全文手書きが難しければ、一言だけ手書きでもよい。
  3. カードの裏や別紙に、次回クーポン(金額・有効期限を明記)か、まとめ買い・定期便・人気商品の案内を一言そえる。「もしよければ次も」の姿勢で。
  4. 扱っている商品に合うサンプルや使い方・お手入れガイドを1つ考える。試供品が難しければ、印刷1枚の「もっと楽しむコツ」でもよい。
  5. クーポンやレビューのお願いを入れる場合は、「必ず」「絶対」などの断定や、高評価だけを募る書き方になっていないかを確認する(景表法・ステマ規制の観点)。
  6. 1〜2か月続けたら、クーポンの利用率やリピート率がどう動いたかを軽く振り返り、文面や特典を少しずつ調整する。

同梱物の設計 チェックリスト

関連テンプレ:同梱物は「メール・LINE」と役割分担するともっと効く

同梱物は強力ですが、それ単体で完結させるより、購入後のメールやLINEとセットで設計するとリピートはさらに伸びます。箱の中のカードで「気持ち」を伝え、後日のフォローメールで「次の一歩」を押す——この二段構えが理想です。購入後フォローの型はステップメールの作り方|購入後フォローでリピートを生む型、リピート施策の全体像はリピート率の上げ方|LTVを伸ばす同梱と初回フォローがまとまっています。

同梱したサンプルやカードで満足してくれたお客さんには、レビュー投稿もお願いしやすくなります。角の立たない依頼の仕方はレビューを増やす依頼メールテンプレ|そのまま使える3パターンを、もし低い評価が付いてしまったときの向き合い方は低評価レビューへの返信の書き方|信頼を取り戻す型と文例が参考になります。まずは今日、A4の紙を1枚手に取って、「箱を開けた人に、何と声をかけたいか」を書き出すところから始めてみてください。その一言が、あなたのお店の2回目をつくる、いちばん確かな一歩になります。

お礼カードを添えた箱を心を込めて梱包し終えて、明るい表情を浮かべているネットショップの店主の様子

関連記事・無料ツール

あなたのお店では、箱を開けたお客さんに「ありがとう」を伝えられているでしょうか。今の同梱物や、扱っている商品ジャンルを教えていただければ、無料診断で「まず入れるべき1枚」や「次回につなげる案内の書き方」を一緒に考えます。

参考(公式・一次情報)