海外から届いた段ボール箱を前に、電卓とメモを手に「これ、いくらで売れば利益が出るんだろう」と考え込むネットショップ店主の情景

海外から仕入れて売るときの関税・輸入の基本|EC初心者ガイド

「海外だと同じ商品がこんなに安い。これを仕入れて売れば、けっこう利益が出るんじゃないか」。 輸入に興味を持つきっかけは、たいていこの一言です。海外サイトの価格を見て、そのまま日本での販売価格と引き算して「これだけ儲かる」と皮算用する。ところが実際に注文してみると、届いたときに配送業者から関税や消費税の請求書を渡されて、「え、こんなにかかるの?」と青ざめる——輸入をはじめた人が、ほぼ全員一度は通る道です。

海外仕入れは、たしかに新しい商品や利益の可能性を広げてくれます。でも、商品代金だけを見て原価を考えると、必ず足をすくわれます。今日は、海外から仕入れて売るときにかかるお金の正体(関税・輸入消費税・通関のしくみ)と、「販売目的の輸入」ならではの注意点を、原価計算までやさしく整えていきましょう。読み終わるころには、「この商品、本当に利益が残るのか」を自分で見積もれるようになっているはずです。

結論:海外から仕入れて売るときの本当の原価は、商品代金+国際送料+関税+輸入消費税+通関や国内配送などの諸費用の合計です。とくに「自分で使う個人輸入」と「売るための商用輸入」ではかかる税金の計算が違うこと、そして関税率は商品の種類(HSコード=品目分類の番号)で決まることを押さえるのが第一歩。届いてから慌てないよう、注文前に「総額でいくらになるか」をざっくり試算し、そのうえで売価と利益を考える習慣をつけましょう。仕入れ判断は、商品代金ではなく着地原価で。

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いま何が起きているか|「安いはずの海外仕入れ」で利益が消える理由

円安や海外ECの普及で、個人や小さなお店でも海外から商品を仕入れやすくなりました。海外の卸サイトやメーカー直販を使えば、国内で仕入れるより安く手に入る商品はたしかにあります。ここまでは事実です。

問題は、多くの人が「商品代金=仕入れ原価」だと思い込んでいることです。海外から日本へモノを持ち込むときには、商品代金のほかに、少なくとも次のお金がかかります。

これらを足すと、商品代金の1.3〜1.7倍くらいが実際の着地原価になることも珍しくありません(あくまで一例で、商品や重さ、国によって大きく変わります)。「海外なら半額で買える」と思っていた商品が、いざ手元に届くころには国内の仕入れ値とたいして変わらない、あるいは高くついた——これが「安いはずの海外仕入れで利益が消える」いちばんの原因です。

さらに見落とされがちなのが、「販売目的で輸入する」のは、自分で使うために買う個人輸入とはルールが違うという点です。ここを混同すると、税金の計算も、必要な手続きも見誤ります。次の章で、その違いと原価の出し方を具体的に見ていきましょう。

※ 本記事は2026年時点の一般的な解説です。関税率・輸入消費税・免税の基準や手続きは、商品の種類・金額・法改正で変わります。実際の輸入では、税関(日本税関)ジェトロ(日本貿易振興機構)などの公式情報で最新を確認し、金額が大きい場合や判断に迷う場合は通関業者・税理士などの専門家に相談してください。

具体例|「個人輸入」と「商用輸入」の違いと、着地原価の出し方

商品代金に、国際送料・関税・輸入消費税・諸費用を積み上げて着地原価になることを示す積み上げ図
海外仕入れの原価は「商品代金」だけではない。上に積み上がる分まで見て、はじめて本当の仕入れ値がわかる。

まず、いちばん大事な「個人輸入」と「商用輸入」の違いから整理します。

つまり、「売るために輸入する」と、税金の計算のもとになる金額が個人輸入より大きくなり、そのぶん関税・消費税も増えるということです。「個人輸入なら安く済むと聞いた」という情報をそのまま販売目的に当てはめると、税額を低く見積もってしまうので注意してください。販売目的であることを隠して個人輸入として通すのは、当然ながらしてはいけません。

次に、関税率の決まり方です。関税の税率は、HSコード(品目分類番号)という、世界共通で商品の種類ごとに割り振られた番号で決まります。たとえば衣類・革製品・革靴・食品などは比較的高め、雑貨や機械類は低め〜無税のことも多い、といった傾向があります(品目により大きく異なります)。同じ「バッグ」でも素材で税率が変わることもあるため、仕入れたい商品の分類は事前に調べるのが基本です。分類や税率がはっきりしないときは、税関の相談窓口や通関業者に確認できます。

では、これらを踏まえた着地原価の考え方を、数字の例で見てみましょう(税率などは説明用の仮の数字です。実際の率は必ず公式情報で確認してください)。

着地原価の試算例(1個あたり/数字はすべて説明用の例)
・商品代金:1,000円
・国際送料の按分:300円
→ 課税価格の目安:1,300円
・関税(仮に税率10%とする):約130円
・輸入消費税(課税価格+関税に対して。仮に合計の10%):約143円
・国内配送・通関手数料などの按分:200円
= 着地原価の目安:約1,773円

商品代金は1,000円でも、実際に売り場に並べられる状態になるまでには約1.8倍かかっている、という例です。もしこれを「原価1,000円だから1,800円で売れば十分もうかる」と考えていたら、利益はほとんど残りません。売価を決めるときは、この着地原価を出発点にして、そこから利益率(売上に対してどれだけ利益が残るかの割合)や販売手数料・広告費を上乗せして考える必要があります。

なお、金額が小さい輸入には、手続きを簡単にするための少額輸入貨物の簡易税率など、通常とは違う扱いが用意されている場合があります。適用条件や対象は変わることがあるので、少額でまとめて仕入れるつもりのときほど、税関の最新情報を確認しておくと安心です。また、酒類・食品・化粧品・電気製品・ブランド品などは、関税とは別に輸入そのものに許可や規制、別の法律(食品衛生法・薬機法など)が関わることがあります。何を仕入れるにしても、「その商品は日本で売っていいものか・許可がいらないか」を先に確認しておきましょう。

あなたへの影響

明日やること

  1. 仕入れたい商品を1つ選び、商品代金・国際送料・想定関税・輸入消費税・国内配送費をざっくり書き出して、1個あたりの着地原価を試算してみる。
  2. その商品のおおよその分類(HSコード)と関税率を、税関の関税率表ジェトロで確認する。わからなければ税関の相談窓口や通関業者に問い合わせる。
  3. 「自分で使う個人輸入」ではなく「売るための商用輸入」であることを前提に、課税価格が商品代金だけではない点を試算に反映する。
  4. 仕入れ候補が、食品・化粧品・酒類・ブランド品など別の許可や規制が関わる商品でないかを確認する(該当しそうなら関連記事や公式情報でチェック)。
  5. 出した着地原価をもとに、販売手数料・広告費・利益をのせた売価を仮に決めて、「本当に利益が残るか」を判断する。

海外仕入れ・輸入の前チェックリスト

海外から仕入れて売るのは、正しく原価を見積もれれば、たしかに武器になります。こわいのは輸入そのものではなく、「商品代金しか見ていないこと」です。今日、気になっている商品を1つ選んで、送料と税金まで含めた着地原価を紙に書き出してみてください。その一枚が、「安く見えて実は損する仕入れ」からあなたのお店を守ってくれます。焦らず、まずは1商品ぶんの試算から始めましょう。

着地原価まで見通せるようになり、自信を持って海外の商品を選ぶネットショップ店主の明るい情景
原価の全体像が見えれば、海外仕入れは不安ではなく、選べる楽しみに変わる。

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参考(公式・一次情報)

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