
OEM・オリジナル商品の作り方|最小ロットと原価の考え方
「仕入れた商品を売っていると、どうしても他のお店と同じ品ぞろえになる。写真も説明文も似てくるし、最後は値段の勝負……。いつか、自分だけのオリジナル商品を作れたらいいのに」
お店を続けていると、多くの人がこの気持ちにたどり着きます。既製品を仕入れて売る段階を越えて、「このジャンルなら、もっとこういう商品があればいいのに」という自分なりの答えが見えてくる。それを形にする方法が、OEM(オーイーエム。工場に自社ブランドの商品を作ってもらう仕組み)です。
でも、いざ調べ始めると「工場ってどうやって探すの?」「最低ロット(一度に作る最小の数量)が何千個って書いてある……」「原価計算が難しそう」と、一気にハードルが高く感じてしまう。今日は、そのモヤモヤを整理します。OEMで自社商品を作る流れを、①工場を探す ②最小ロットと原価を確かめる ③価格を決めて発注するの3ステップに分けて、一緒に見ていきましょう。読み終える頃には、「まずはここに問い合わせてみよう」という一歩が見えているはずです。
結論:オリジナル商品は、①作りたい商品のジャンルに合う工場(OEMメーカー)を探し → ②最小ロットと原価を確認し → ③利益が残る価格を決めて小さく発注する、という順で作ります。
いきなり数千個ではなく、小ロット(少ない数量)から作れる工場を選ぶのが、はじめての人には現実的です。「レシピや設計は工場、ブランドは自分」がOEM。「企画そのものも工場に任せる」やり方はODM(オーディーエム)と呼び、区別して考えると迷いません。大事なのは、売れる数の見込みが立ってから作ること。作ってから売り先を探すと、在庫を抱えて動けなくなります。
いま何が起きているか:個人でも「小ロットOEM」が身近になった
ひと昔前まで、オリジナル商品を作るのは「最低でも数千個」「初期費用が数百万円」が当たり前で、資金のある企業だけのものでした。個人や小さなお店には、遠い世界の話だったのです。
でも今は、小ロット対応のOEMメーカーが増え、ジャンルによっては数十個〜数百個から自社商品を作れるようになりました。化粧品、食品、雑貨、アパレル、サプリメントなど、それぞれ専門の工場が「小さく試したい人」を受け入れる窓口を用意しています。ネットで「(作りたい商品) OEM 小ロット」と検索すれば、問い合わせ先が見つかる時代です。
一方で、選択肢が増えたぶん「どう選び、いくらで作れば利益が残るのか」が分かりにくくなりました。だからこそ、流れと確認ポイントを先に知っておくと、遠回りせずに済みます。まずは全体像を、3つのステップで見ていきましょう。
具体例:オリジナル商品を作る3ステップ

ステップ①:作りたい商品に合う工場(OEMメーカー)を探す
まずは、自分の作りたいジャンルを受けてくれる工場を探します。OEMメーカー(自社ブランドの商品を代わりに製造してくれる工場)は、ジャンルごとに専門が分かれています。化粧品なら化粧品OEM、食品なら食品OEM、というように探すのが近道です。
- 探し方:「(ジャンル) OEM 小ロット」で検索する/OEMメーカーを集めたマッチングサイトを使う/展示会で直接会う。
- 見るポイント:どんな商品の実績があるか、小ロットに対応しているか、問い合わせへの返信が丁寧か。最初の対応の速さや親身さは、その後のやりとりのしやすさに直結します。
このとき、OEMとODM(オーディーエム)の違いも押さえておきましょう。OEMは「自分の企画・レシピを工場に作ってもらう」やり方。ODMは「企画や中身の設計そのものを工場に任せ、できあがったものに自社ブランドを付ける」やり方です。「こだわりの中身が明確にある」ならOEM、「アイデアはあるけど中身の設計は任せたい」ならODM、と考えると選びやすくなります。
なお、工場に製造を委託する取引では、発注側と工場の間の取引ルール(納期・支払い・不良品の扱いなど)を書面で決めておくことが大切です。事業者間の委託取引には下請法(下請代金支払遅延等防止法。発注側が立場を利用して不当な条件を押しつけないよう定めた法律)が関わる場合があります。詳しくは公正取引委員会の下請法のページで確認できます。難しく感じても、「口約束にせず、条件は書面で残す」と覚えておけば十分です。
ステップ②:最小ロットと原価を確かめる
気になる工場が見つかったら、必ず最初に確認したいのが最小ロット(一度の注文で作る最小の数量。MOQとも呼ばれます)と原価(1個あたりの製造費用)です。ここで、オリジナル商品を出せるかどうかの現実が見えてきます。
- 最小ロット:「500個から」「1,000個から」など工場によって大きく違う。小さいほど始めやすいが、そのぶん1個あたりの原価は高くなりがち。
- 原価:材料費・製造費・容器やパッケージ代・型代(かただい。専用の金型やデザインの初期費用。一度払えば次回以降は不要なことが多い)などの合計。ロットが増えるほど1個あたりは下がる。
- 納期:発注から手元に届くまでの期間。試作を含めると数か月かかることもある。
たとえば「最小ロット500個・1個あたりの原価400円・型代5万円」という条件なら、初回はざっくり 400円 × 500個 + 型代5万円 = 25万円(あくまで例)が必要になる計算です。この「最初にいくら用意すればいいか」と「1個いくらで作れるか」の2つを、複数の工場に同じ条件で聞いて比べるのがコツです。
ステップ③:利益が残る価格を決めて、小さく発注する
原価がわかったら、売価(お客様に売る値段)を決めます。ここで大事なのは、原価に少し足しただけで値段を付けないこと。ECでは、原価のほかに送料・決済手数料(クレジット決済などにかかる費用)・モールの出店料や販売手数料・広告費がかかります。これらを引いても手元に利益が残る値付けにする必要があります。
- ざっくりの目安として、売価は原価の3倍前後を出発点にすると、手数料や送料を引いても利益を残しやすいと言われます(ジャンルや販路で変わるので、あくまで目安)。
- 実際には、EC利益計算ツールなどで、売価から原価・送料・手数料・広告費を引いて、手元にいくら残るかを1個単位で試算します。
- 価格が決まり、「これなら利益が出て、この値段でも売れそう」という手応えがつかめたら、最小ロットで初回発注。まずは小さく作って、売れ方を見てから追加します。
作ってから売り先を探すのではなく、売れる見込みが立ってから作る。この順番を守るだけで、在庫の失敗はぐっと減ります。
発注前に必ず確認したいこと
どの工場に頼むにしても、次の点は書面で確かめておきましょう。後から「聞いておけばよかった」となりやすいポイントです。
- 最小ロットと単価:数量が増えると単価がどう変わるか(ロット別の見積もり)。
- 型代・初期費用:初回だけかかる費用と、2回目以降にかかる費用の区別。
- 試作(サンプル):本発注の前に試作を作れるか、試作の費用と回数。
- 不良品・返品の扱い:不良が出たときの交換・返金のルール。
- 表示・許認可:食品・化粧品・雑貨などジャンルごとの表示義務や販売許可。工場任せにせず、自分でも確認する。
あなたへの影響
- オリジナル商品は、他店との価格競争から抜け出す最大の武器になる。同じ仕入れ品を売る限り値段勝負になりがちだが、自社商品なら「ここでしか買えない」を作れる。ブランドの核になる。
- 一方で、最小ロットぶんの在庫と初期費用を、先に負担することになる。売れなければ在庫がそのまま残る。だからこそ、作る前に「本当に売れるか」の見込みを立てることが、仕入れ以上に重要になる。
- 原価だけ見て値付けすると、手数料や送料を引いた後に利益がほとんど残らない。ECでかかる費用を全部引いても残る価格を、発注前に必ず試算する。
- 食品・化粧品・サプリなどは、作る前に表示ルールや販売許可の確認が必要。「効果・効能をうたえるか」など、景表法・薬機法に関わる表現の線引きも、企画段階から意識しておく。
明日やること
- 作りたいオリジナル商品を1つイメージし、そのジャンルとこだわりたい点(素材・容器・使い心地など)を紙に書き出す。
- 「(ジャンル) OEM 小ロット」で検索し、問い合わせ先を2〜3社リストアップする。
- 同じ条件で各社に問い合わせ、最小ロット・1個あたりの原価・型代・納期を聞いて比べる。
- 出てきた原価をもとに、EC利益計算ツールで送料・手数料を引いても利益が残る売価を試算する。
- その売価で「買ってもらえそうか」を、既存のお客様の声や競合の価格帯と照らして確かめる。
いきなり発注する必要はありません。まずは1社に「小ロットで作れますか」と問い合わせて、原価を1件聞いてみるだけで十分です。「これなら作れそう」という感触が1つつかめれば、そこがあなたのオリジナル商品の出発点になります。
オリジナル商品づくり チェックリスト
- 作りたい商品のジャンルと、こだわりたい点をはっきりさせた
- OEMとODM、どちらのやり方が自分に合うか考えた
- そのジャンルを扱うOEMメーカーを2〜3社リストアップした
- 各社に最小ロット・1個あたりの原価・型代を問い合わせた
- 試作(サンプル)が作れるか、費用と回数を確認した
- 納期(試作を含めて手元に届くまで)を確認した
- 不良品・返品が出たときの対応ルールを確認した
- 原価に送料・手数料・広告費を足して、利益が残る売価を試算した
- その売価でも売れそうか、競合やお客様の声と照らして確かめた
- ジャンルごとの表示義務・販売許可・表現ルール(景表法・薬機法など)を確認した
自分のオリジナル商品を持つことは、お店にとって大きな一歩です。最初は「工場なんて縁がない」と感じるかもしれません。でも、やることは「作りたいものを決めて、工場に原価を聞いて、利益が残るか確かめる」だけ。特別なコネも、まとまった資金も、いきなりは必要ありません。今日、気になるジャンルで「OEM 小ロット」と検索して、1社に問い合わせてみる。その小さな一歩が、いつか「これはうちだけの商品です」と胸を張って言える棚につながります。焦らず、小さく、試しながら育てていきましょう。

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