
SKU・商品コード設計の基本|型番と在庫を混乱させないルール作り
「新しい色を追加したから、コードは……前と同じ付け方だったかな?」——商品が10個くらいのうちは、なんとなくで付けたコードでも困りません。でも、色やサイズのバリエーションが増え、扱う商品が数十・数百になってくると、ある日ふと手が止まります。「この“BK-L-2”って、どの商品の何だっけ?」と。
コードの付け方が人によって・時期によってバラバラだと、在庫表を見ても中身が分からない、同じ商品に違うコードが2つ付いていた、モールと自社サイトでコードが食い違って在庫がズレる——といった「静かな混乱」が積み重なっていきます。今日は、その混乱の元になるSKU(エスケーユー=商品を1種類ずつ区別するための管理番号。同じ商品でも色やサイズが違えば別のSKUになる)の付け方を、後から迷わない形で設計する基本を、いっしょに整理していきましょう。難しい理屈より、「最初にルールを1枚決めておく」ことがすべての近道です。
結論:商品コードは、増えてから直そうとすると大変です。だから最初に「命名ルール」を1枚決めて、全員が同じやり方で付けるのが正解。カギは3つ。①SKU(色・サイズまで区別する管理番号) と 型番・JANコード を混同しない、②SKUは「商品カテゴリ+商品+色+サイズ」のように意味のある順番で組み立て、記号のルール(区切り文字・桁数)をそろえる、③一度決めたら途中で付け方を変えない(過去分もさかのぼって直さない)。この3つを守るだけで、在庫表がひと目で読め、モールをまたいだ在庫連動もそろい、担当者が変わっても混乱しません。まずはA4一枚に「うちのコードの付け方ルール」を書き出すことから始めましょう。
いま何が起きているか|「なんとなく付けたコード」が在庫を狂わせる
お店が育つと、多くの担当者が同じ壁にぶつかります。それは「商品コードが、増えた商品に追いつかない」という壁です。
最初の数商品は、頭の中で覚えていられます。ところが、色違い・サイズ違いを足し、シリーズ商品が増え、扱う数が数十を超えたあたりから、コードの付け方が場当たり的になっていきます。すると、次のようなことが起き始めます。
- 同じ商品に別のコードが付く:登録した人や時期が違うと、同じ商品に「TS-001」と「tshirt_01」の2つが付いてしまう。在庫が2か所に分かれ、実数が分からなくなる。
- コードから中身が読めない:「A-3-2」とだけ書かれても、それが何の商品の何色・何サイズなのか、コード表を引かないと分からない。ピッキング(棚から商品を集める作業)や棚卸しで毎回つまずく。
- バリエーションの取りこぼし:色は区別しているのにサイズは区別していない、といった付け方のムラで、「Lだけ売り切れ」を在庫に反映できず売り越す。
- モールと自社でコードが食い違う:楽天・Amazon・自社サイトでバラバラのコードを使い、在庫連動ツールでひもづけようとしても対応関係が分からず、在庫がズレる(→多店舗運営の在庫連動|売り越しを防ぐ一元管理)。
ここで大事なのは、これらが「注意力」では根本的に直らないという点です。ルールがなければ、人は「その時いいと思った付け方」をしてしまう。商品が2倍になれば、付け方のムラも混乱も2倍になります。つまり、伸びれば伸びるほど苦しくなる構造です。この構造を変えるのが、最初に決める命名ルールなのです。
そもそもSKUとは|型番・JANコードとの違いを整理する

似た言葉が多くて混乱しやすいので、役割で分けて理解しておきましょう。ここを分けておくと、コード設計でもう迷いません。
- SKU(管理番号):あなたのお店が、在庫を数えるために付ける社内の管理番号。色やサイズまで区別した「一番細かい単位」に付けます。たとえば同じTシャツでも「黒・Lサイズ」と「白・Mサイズ」は、別のSKUになります。在庫を数える最小の単位、と覚えておくと分かりやすいです。
- 型番(品番):メーカーや自社が付ける「商品そのもの」の番号。色・サイズをまとめた“商品としての名前”に近く、SKUより粗い単位のことが多いです。
- JANコード:商品パッケージのバーコードになっている、日本共通の商品識別番号(13桁または8桁の数字)。これは自分で好きに決めるものではなく、GS1 Japan(流通システム開発センター)から事業者コードの貸与を受けて採番する、世界・国内で共通のルールに沿った番号です。モール出品や卸取引で求められることがあります。
ざっくり言えば、JANコードは「世の中共通の番号」、型番は「商品の名前」、SKUは「自分のお店が在庫を数えるための番号」。この記事で設計するのは、いちばん自由に決められて、いちばん日々の運用に効くSKUです。JANコードのように外部ルールに縛られない代わりに、自分でルールを決めないと、たちまちバラバラになるのがSKUの特徴です。
SKU設計の基本|「意味のある順番」で組み立てる

SKUは、記号をでたらめに並べるのではなく、「大きい分類 → 細かい違い」の順に、意味のあるまとまりを並べて作るのが基本です。次の4つを押さえれば、後から迷わないコードになります。
①左から「大きい分類→細かい違い」の順に並べる
たとえば「商品カテゴリ → 商品 → 色 → サイズ」の順に並べます。Tシャツの黒・Lサイズなら TS-CREW-BK-L(トップス系のクルーネックTシャツ/黒/L)のように、左を見れば大まかに、右まで見れば正確に分かる形です。並び順を全商品でそろえておくと、在庫表を並べ替えたときに同じ仲間が自然に固まり、とても見やすくなります。
②区切り文字と桁数のルールをそろえる
色を表す記号は「BK」なのか「BLK」なのか、区切りは「-」なのか「_」なのか。ここを1つに決めて、全商品で必ず統一します。「黒=BK」「白=WH」のように、略号の対応表を作っておくと、誰が付けてもブレません。桁数(何文字にそろえるか)も決めておくと、表計算での並べ替えやシステム取り込みがきれいにそろいます。
③後から増えても困らない“余白”を持たせる
連番部分は、最初から桁数に余裕を持たせておきます。商品が9個で「1〜9」にしてしまうと、10個目で桁が変わって並び順が崩れます。「001」から始めれば999まで同じ桁で足せます。同様に、カテゴリの略号も、将来増えそうな分類を少し見込んでおくと安心です。
④使ってはいけない文字・紛らわしい文字を避ける
システムやモールによっては、スペースや一部の記号(/ # など)がエラーの原因になります。英大文字・数字・ハイフンくらいに絞るのが無難です。また、数字の「0(ゼロ)」とアルファベットの「O(オー)」、「1(イチ)」と「I(アイ)」は見間違いのもと。紛らわしい文字は最初から使わないと決めておくと、手入力のミスが減ります。
やってはいけない、たった1つのこと
設計以上に大事なのが、一度決めたルールを途中で変えないこと。「もっと良い付け方を思いついた」と過去分までさかのぼって付け直すと、モールや帳簿、注文履歴との対応が全部ズレて、大事故になります。ルールはこれから登録する商品に適用し、過去分はそのまま。改善したくなったら、影響範囲を確かめてから慎重に、が鉄則です。
具体例:色・サイズ違いで在庫が狂っていた雑貨店が、コード表1枚で立て直すまで
アパレル雑貨を自社サイトと2つのモールで売るお店が、コードのバラバラに悩んでいたとします。ルールを決めて立て直すまでの流れを、順番に見てみましょう(値はすべて例です)。
- 導入前の状態:商品は約80種類、色・サイズ違いを入れると300SKUほど。登録した時期や担当で付け方がバラバラで、同じ商品に2つコードが付いているものが十数件。月に数回、色は合っているのにサイズの在庫を取り違えて売り越しが発生していた。
- ステップ1(ルールを1枚決める):
カテゴリ2文字-商品4文字-色2文字-サイズの順、区切りはハイフン、色は略号表(黒=BK 白=WH…)で統一、連番は3桁、とA4一枚のルール表にまとめた。 - ステップ2(重複を退治):まず在庫表を書き出し、同じ商品に複数コードが付いているものを洗い出して、正しい1つのコードに寄せた(名寄せ)。使わないコードは「廃止」と印を付け、二度と使わないことにした。
- ステップ3(これからの分から新ルールで運用):過去の全コードを付け直すのは事故のもとなので、新規登録ぶんから新ルールを徹底。既存分は重複だけ直し、あとは触らない方針にした。
- 導入後:在庫表がコード順にきれいに並び、色・サイズの取り違えによる売り越しはほぼゼロに。新しい担当者もルール表を見れば同じ付け方ができるようになり、モールと自社のコード対応表も1枚で管理できるようになった。
ポイントは、「完璧な体系を最初から作る」より「1枚のルールを決めて、これから守る」を優先したこと。過去を全部直そうとせず、重複だけ退治して前へ進んだのが、混乱を最小限にできた理由でした。
あなたへの影響
- 在庫表やピッキングリストがコードだけでひと目で読めるようになり、棚卸しや出荷の「これ何だっけ?」という手戻りが減る(→出荷オペレーション標準化 完全ガイド)。
- 同じ商品に複数コードが付く重複が消え、在庫の実数が正確になる。色・サイズ違いの取りこぼしによる売り越しも防げる。
- モール・自社サイトをまたいだ在庫連動がそろう。コードの対応がはっきりし、一元管理ツールにひもづけやすくなる(→多店舗運営の在庫連動|売り越しを防ぐ一元管理)。
- 付け方が仕組みになることで、担当者が変わっても混乱しない。「その人しか分からないコード」という属人化から抜け出せる。
- 商品が増えても同じルールで足していけるので、品ぞろえ拡大や多店舗展開の“土台”ができる。
明日やること
- いまの商品コードを在庫表に一覧で書き出す。まず全体像を見て、付け方がどれだけバラバラかを把握する。
- 同じ商品に複数のコードが付いていないかチェックし、重複を見つける(名寄せ候補としてマークする)。
- 命名ルールを1枚に決める:並べる順番(例=カテゴリ→商品→色→サイズ)、区切り文字、色・サイズの略号表、連番の桁数。
- 紛らわしい文字(0とO、1とI)やエラーの元になる記号を使わないと決める。
- 重複していたコードを正しい1つに寄せる。使わなくなったコードは「廃止」と記録し、二度と再利用しない。
- これから登録する商品は新ルールで統一する(過去分は重複解消だけにとどめ、全面付け直しはしない)。
- ルール表をチームで共有し、新しい担当者が見れば同じ付け方ができる状態にする。
SKU・商品コード設計 チェックリスト
- SKU(色・サイズまで区別する管理番号)と型番・JANコードの違いを理解している
- 命名ルール(並び順・区切り文字・略号・桁数)をA4一枚に決めている
- コードは「大きい分類→細かい違い」の順に並べている
- 色・サイズの略号を対応表で統一している(黒=BK など)
- 連番は桁数に余裕を持たせている(001〜のように将来分を見込む)
- 紛らわしい文字(0とO、1とI)やエラーの元になる記号を避けている
- 同じ商品に複数コードが付いていないか(重複)を確認・解消した
- 一度決めたコードは途中で付け替えず、過去分をさかのぼって直していない
- モール・自社サイト間のコード対応が分かるようになっている
- ルール表をチームで共有し、誰が付けても同じになる状態にした
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商品コードは、増えてから「そろそろ直そう」と思うと、もう手がつけられないほど絡まっていることがほとんどです。だからこそ、今日この瞬間が一番早い。まずはA4一枚に「うちのコードの付け方」を書き出すところから。並べる順番と、区切りと、略号を決めるだけで、これから登録する商品はすべて、迷いなく同じ形に並んでいきます。小さなルール1枚が、あなたの在庫と時間を、静かに守ってくれますように。
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