
検索広告のアカウント構造の作り方|キャンペーンと広告グループの分け方
「予算も少し増やしてみた。入札もこまめに調整している。除外キーワードも入れた。なのに、検索広告の成果がなんだかコントロールできない——予算がどこに使われているのか追いきれないし、直したい商品だけを狙って手を入れられない」。リスティング広告(検索結果に出るテキスト広告)を回し始めて数か月、こんなもどかしさにぶつかっていませんか。
じつはその原因、細かい設定ではなく、広告を入れている"箱の分け方"=アカウント構造にあることが少なくありません。棚がぐちゃぐちゃな倉庫では、いくら在庫管理を頑張っても品物が見つからないのと同じです。今日は、キャンペーンと広告グループを「何で分けるか」という、リスティング広告の土台づくりを一緒に整理していきましょう。難しいテクニックの前に、片づけの話です。
結論:検索広告のアカウント構造は、「予算をコントロールしたい単位でキャンペーンを分け、検索する言葉の"意味"がそろう単位で広告グループを分ける」のが基本です。順番はこう。①まずキャンペーンを、予算や狙いを分けたい大きなくくり(商材カテゴリ・指名/一般・ブランド別など)で切る、②その中の広告グループを、同じ意味のキーワードだけがまとまるよう細かく分ける、③各広告グループには、その言葉にぴったり合った広告文と着地ページ(リンク先)をそろえる。この3階建て(アカウント→キャンペーン→広告グループ)を、迷ったら「予算で分けたいか/言葉の意味で分けたいか」で判断します。
まず、この記事で出てくる言葉を3つだけ先に。
- キャンペーン:予算や配信のオン・オフ、地域や時間帯などを設定する一番大きな箱。ここで「1日いくら使うか」を決めます。
- 広告グループ:キャンペーンの中に作る小さな箱。似た意味のキーワードと、それに合う広告文をまとめて入れます。
- クエリ(検索語句):お客さんが実際に検索窓に打ち込んだ言葉のこと。あなたが登録したキーワードと、少しずれることもあります。
いま何が起きているか|「全部ひとまとめ」だと、手も足も出せない
リスティング広告を始めたばかりの頃によくあるのが、1つのキャンペーンの中に、1つの広告グループを作り、そこへ思いついたキーワードを全部入れるという形です。最初はそれで動きますし、シンプルで分かりやすい。でも運用を続けるうちに、この"全部ひとまとめ"が足かせになってきます。
理由は大きく2つあります。ひとつは、予算を狙って動かせないこと。たとえば「よく売れる主力商品にもっと広告費を寄せたい」と思っても、主力も型落ちも同じキャンペーンに同居していると、予算を主力だけに増やすことができません。キャンペーン単位でしか1日の予算を決められないからです。
もうひとつは、広告文がぼやけること。「レインブーツ」で検索した人にも「長靴 メンズ」で検索した人にも、同じ1本の広告文が表示されてしまう。言葉がバラバラなキーワードを1つの広告グループに詰め込むと、どの検索にも当たり障りのない、印象に残らない広告文になりがちです。検索した言葉と広告文がぴったり合っているほどクリックされやすく、着地ページ(リンク先)ともかみ合って買われやすくなる——この基本を、構造がぐちゃぐちゃだと活かせません。
つまり、成果が「なんとなく頭打ち」になったとき、入札や予算をいじる前に見直したいのがアカウント構造なのです。棚を分け直すだけで、その後の調整がぐっとやりやすくなります。
具体例|3階建てで考える。キャンペーンと広告グループの分け方
アカウント構造は、アカウント → キャンペーン → 広告グループの3階建てで考えると整理しやすくなります。それぞれの階に「役割」があります。

1階:アカウント——お店全体のいちばん外側の箱 Google 広告やYahoo!広告など、媒体ごとに1つ持つ、いちばん外側の入れ物です。ここは分ける・分けないの悩みどころではなく、その中のキャンペーンと広告グループをどう切るかが本題になります。
2階:キャンペーン——「予算を分けたい単位」で切る キャンペーンは、1日いくら使うかを別々に管理したいまとまりで分けます。目安になる切り口はこのあたりです。
- 指名 と 一般で分ける:あなたの店名・ブランド名で検索する「指名」と、「レインブーツ おすすめ」のような一般的な言葉「一般」は、買う気の強さも予算の付け方もまるで違います。まず最初に分けたい2つです。
- 商材カテゴリで分ける:「レインブーツ」と「スニーカー」のように、力の入れどころが違う商品群は別キャンペーンに。主力にだけ予算を寄せられます。
- 狙い(役割)で分ける:新規を取りにいく広告と、一度訪れた人に見せる広告(リターゲティング)など、目的が違うものは分けておくと採算を別々に見られます。
迷ったら「この2つ、予算を別々にコントロールしたい?」と自問してください。答えがYESなら、キャンペーンを分けるサインです。
3階:広告グループ——「検索する言葉の意味がそろう単位」で切る 広告グループは、似た意味のキーワードだけがまとまるように細かく分けます。ここで大事なのは、予算ではなく「言葉の意味」で切ること。たとえば「レインブーツ」キャンペーンの中を、こう分けます。
- 広告グループA:「レインブーツ レディース」「長靴 おしゃれ 女性」…(女性向けの言葉)
- 広告グループB:「レインブーツ メンズ」「長靴 メンズ」…(男性向けの言葉)
- 広告グループC:「レインブーツ キッズ」「子供 長靴」…(子ども向けの言葉)
こう分けておくと、広告グループAには女性向けの広告文とレディースの一覧ページを、Bには男性向けを——と、検索した言葉にぴったり合った広告文とリンク先を出し分けられます。言葉と広告がかみ合うほど、クリックされやすく、無駄打ちも減ります。1つの広告グループに詰め込むキーワードは、「同じ広告文を見せて自然な言葉かどうか」を目安にすると分けすぎ・まとめすぎを防げます。
具体例|アパレルECの構造イメージ
言葉だけだと分かりにくいので、レインブーツを扱うアパレルECを例に、全体像を並べてみます(あくまで説明のための例です)。
- キャンペーン①:指名(ブランド名) … 予算は小さめでも必ず確保
- 広告グループ:ブランド名の言葉
- キャンペーン②:レインブーツ(一般・主力) … 予算をいちばん厚く
- 広告グループA:レディース向けの言葉
- 広告グループB:メンズ向けの言葉
- 広告グループC:キッズ向けの言葉
- キャンペーン③:スニーカー(一般・サブ) … 予算は控えめ
- 広告グループD:レディース向けの言葉
- 広告グループE:メンズ向けの言葉
この形にしておくと、「主力のレインブーツにもっと予算を寄せる」「反応の良いレディースの広告文だけ差し替える」といった調整が、狙った箇所だけピンポイントでできます。全部ひとまとめだった頃には手が出せなかった操作が、構造を分けるだけで可能になるのです。
なお、キーワードをどう選び、無駄なクリックをどう減らすかは構造とセットで効いてきます。検索語句のズレを除く工夫は検索広告のキーワード設計と除外キーワードで、注文1件あたりの費用を下げる順番はEC広告のCPA・CPOを下げる手順でくわしく扱っています。
あなたへの影響|「片づいた構造」がその後の運用を軽くする
アカウント構造をきちんと分けておくと、日々の運用でこんな変化が生まれます。
- 予算を狙って動かせる:売れる主力キャンペーンに予算を寄せ、成果の薄いものは絞る、という判断が、キャンペーン単位でできるようになります。
- 広告文と着地ページが磨ける:広告グループごとに検索の意図がそろうので、「この言葉で来た人にはこの一言」と、刺さる広告文とリンク先を用意できます。
- 数字が読める:どのキャンペーン・広告グループが効いているかが分かれるので、広告レポートを上から順に読むときも、原因の切り分けがぐっと速くなります。
- 除外や入札の調整が効く:似た言葉がまとまっているので、無駄なクリックを生む言葉を見つけて除外する作業も、狙いを定めてできます。
逆に言えば、構造がぐちゃぐちゃなままだと、入札や広告文をどれだけ頑張っても「どこが効いたのか分からない」状態が続きます。土台を整えることは、その後のすべての調整を軽くする投資なのです。
一方で、やりすぎにも注意が必要です。分けること自体が目的になって、広告グループを細かく刻みすぎると、1つ1つに検索が集まらず、良し悪しの判断に必要なデータがたまりにくくなります。「予算を分けたいか/言葉の意味が違うか」に沿って、必要な分だけ分ける。これが、ちょうどよい構造の勘どころです。
明日からやること(3ステップ)

いきなり全部を組み替える必要はありません。まずは今の構造を"見える化"するところから、ひとつずつ。
- いまのキャンペーンと広告グループを紙に書き出す。何がどの箱に入っているかを一覧にするだけで、「主力と型落ちが同居している」「指名と一般が混ざっている」といった詰まりが見えてきます。
- まず『指名』と『一般』のキャンペーンを分ける。ここが混ざっているお店はとても多く、分けるだけで指名の予算を守り、一般の採算を正しく見られるようになります。いちばん効果が出やすい第一歩です。
- 主力商品のキャンペーンの中を、検索する言葉の意味で広告グループに分け直す。レディース/メンズ、目的別など、同じ広告文が自然に見せられるまとまりへ。そのうえで、各広告グループの広告文と着地ページを言葉に合わせて整えます。
この3つを整えるだけで、「なんとなく全部に広告を出している」状態から、「狙った箱に、狙って手を入れられる」状態に変わります。慣れてきたら、予算の寄せ方や除外キーワード、入札の調整へと進んでいきましょう。構造という土台が整っていれば、その一手一手が、ちゃんと成果に効いてくれます。
チェックリスト:アカウント構造を見直す10項目
- いまのキャンペーンと広告グループの中身を一覧にして書き出したか
- 「指名(店名・ブランド名)」と「一般」のキャンペーンを分けているか
- 予算を別々にコントロールしたい商材は、別キャンペーンに分けているか
- 新規獲得とリターゲティングなど、狙いが違う広告を分けているか
- 広告グループは「検索する言葉の意味」でまとめているか(予算ではなく)
- 1つの広告グループに、意味の違う言葉を詰め込みすぎていないか
- 各広告グループに、その言葉に合った広告文を用意しているか
- 各広告グループの着地ページ(リンク先)が、検索意図とかみ合っているか
- 広告グループを細かく分けすぎて、データがたまらなくなっていないか
- 構造を見て、予算を寄せたいキャンペーンがひと目で分かる状態か
関連テンプレ・ツール
もう一歩踏み込みたい人は、あわせてどうぞ。
- 無駄なクリックを減らす → 検索広告のキーワード設計と除外キーワード
- 注文1件あたりの費用を下げる順番 → EC広告のCPA・CPOを下げる手順
- 予算をどの役割に配るか → EC広告予算の配分|媒体ミックスを役割で決める
- レポートの読み方 → 広告レポートの読み方 初心者ガイド
- Googleショッピング広告を始める → Googleショッピング広告(P-MAX)の始め方
自分のお店の広告が「全部ひとまとめ」になっていないか気になる方は、無料のEC計算ツールで採算ラインを確かめたり、商品ページ改善チェックリスト50で、広告から来たお客さんが買いやすいページになっているかを見直してみてください。アカウント構造は、成果を伸ばすための"棚づくり"。棚が整えば、その後の調整がずっと軽くなります。