
AIで商品名・キャッチコピーの案を量産する|選ぶのは人
「この商品名で、本当に伝わるんだろうか……」——新しい商品を登録しようとして、名前の欄でカーソルが止まったまま、気づけば何十分も経っている。キャッチコピー(商品の魅力をひと言で伝える短い文)を考え出すと、今度は「ありきたりすぎる気がする」「でも凝りすぎると検索で見つけてもらえない」と、頭の中で堂々巡り。この“言葉ひとつで止まる時間”に、心当たりはありませんか。
商品名やキャッチコピーは、お客さまが最初に目にする「お店からの第一声」です。だからこそ悩むのは自然なこと。でも、ひとりで机に向かって「いい言葉が降りてくる」のを待っていると、時間だけが過ぎていきます。今日は、AI(言葉の案をたくさん出してくれる生成ツール)を“案出しの相棒”にして、まず案を量産し、選ぶのは人という流れを一緒に組み立てます。ゼロから絞り出す苦しさを、「並んだ案から選んで磨く」楽しさに変えていきましょう。
結論:AIに「これ1つに決めて」と正解を求めるのではなく、①誰に・何を・どんな強みかを人が整理 → ②AIに切り口を変えて10〜20案を量産させる → ③人が選んで、事実と表現を整えて仕上げるという流れに分けると、速さと質を両立できます。
AIが得意なのは“たくさんの言い回しを一気に出すこと”。苦手なのは“事実の正確さ”と“最後の一つを選ぶ判断”です。この役割分担を決めておくと、迷わず安全に速くなります。
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文章だけだとイメージしにくい方へ。このページの内容を、動画でやさしく解説しました。読んでもピンとこなかったところは、ぜひ動画で確かめてみてください。
いま何が起きているか
商品名やキャッチコピーづくりは、ずっと「センスのある人がうなって考えるもの」と思われてきました。けれど実際の現場では、少人数で何十、何百という商品を扱い、その一つひとつに言葉をつけていく必要があります。1商品に30分悩んでいたら、とても回りません。かといって適当につけると、検索で見つけてもらえなかったり、魅力が伝わらず素通りされたりします。
ここでAIが助けになります。AIは、同じ商品でも「機能を伝える型」「悩みに寄り添う型」「使う場面を見せる型」といった切り口を変えて、短い言葉を一気に何十通りも出すのが得意です。人間なら1案ひねり出すのに数分かかるところを、AIは十数案を数十秒で並べてくれます。この“量”こそが、迷いをほどく鍵になります。1つの正解を探すのではなく、たくさん並べた中から「これだ」と選び、自分の言葉で磨く。作り方そのものが変わるのです。
ただし、任せきりにすると落とし穴があります。ひとつは、AIが事実を取り違えること。実在しない素材や、確認できない効果を、もっともらしい言葉で書いてしまう現象を、ハルシネーション(AIがそれらしい誤りを作ってしまうこと)と呼びます。もうひとつは、言いすぎ・盛りすぎ。AIは「魅力的に」と頼むと、つい「最高」「絶対」「日本一」といった強い言葉を出しがちです。これらは景品表示法(消費者に誤解を与える不当な表示を禁じる法律。以下、景表法)に触れるおそれがあります。だからこそ、AIには禁止したい表現を先に伝え、出てきた案は人が確認することが欠かせません。
具体例:1商品の名前とコピーをAIで量産する手順

頭で考えると難しそうですが、手順に分ければシンプルです。「毎日使える、少し大きめのステンレスマグ」を例に、一緒にやってみましょう。
①誰に・何を・どんな強みかを人が整理する まず、AIに渡す“素材”を箇条書きで用意します。たとえば「ターゲット=在宅ワークで長時間飲み物を飲む人/商品=容量480mlのステンレスマグ/強み=保温6時間・食洗機OK・シンプルな見た目/避けたい言葉=最高・日本一・絶対」。この「誰に・何を伝えるか」のメモは必ず人が用意するのが鉄則です。ここがぼやけると、AIも当たりさわりのない言葉しか出せません。商品の実際のスペック(容量や保温時間など)は、必ず本当の数値を書きます。
②AIに切り口を変えて10〜20案を量産させる 次に、AIへの指示(プロンプト=AIへの指示文)で「案の数」と「切り口の幅」を頼みます。「この商品のキャッチコピーを、①機能を伝える型 ②悩みに寄り添う型 ③使う場面を見せる型 の3方向で、各5案ずつ出して」。こうして方向を分けて量産させると、似た案ばかりが並ぶのを防げます。商品名も同様に、「検索されやすい言葉(素材・容量・用途)を含めた案を10個」と頼めば、SEO(検索から見つけてもらう工夫)を意識した候補が一気にそろいます。ここでのコツは、質より量。まずはたくさん出させることです。
③人が選んで、事実と表現を整えて仕上げる ここが、AI運用でいちばん省いてはいけない工程です。並んだ案から、まず「これは使える」を数個選びます。そのうえで2点を確認します。(1)事実——書かれた容量・保温時間・素材などが、本当のスペックと合っているか。AIが「保温12時間」と盛っていないか。(2)表現——「最高」「日本一」「絶対に冷めない」のような、根拠なく言いきる言葉や最上級表現が混じっていないか。景表法や、化粧品・健康食品なら薬機法(医薬品医療機器等法。効果効能の断定を規制)に触れる言葉は、ここで人が外します。最後は、選んだ案を自分の店の言葉に少し直して仕上げる。AIは案出しまで、選んで送り出すのは人。この線引きだけ守れば、速く作っても事故は防げます。
やりがちなNGと、その直し方
・AIの1案目をそのまま採用:似た言葉ばかりで埋もれる。→ 切り口を分けて量産し、人が選ぶ。
・スペックの確認を飛ばす:盛られた数値に気づけない。→ 容量・保温時間などは本当の値と突き合わせる。
・「最高・日本一・絶対」を放置:景表法に触れるおそれ。→ 禁止語をプロンプトに書き、出た案も人が確認。
・検索を無視した凝った言葉だけ:見つけてもらえない。→ 商品名には素材・用途などの検索語を1〜2語入れる。
なお、商品名やコピーは「言いすぎない」ことが信頼につながります。効果や品質を断定する前に、「例」や「当社比」などの根拠の添え方も含め、迷ったら控えめにするのが安全です。表現の線引きは景表法・薬機法・特商法 表現チェック大全にまとめています。公式の考え方は消費者庁の表示対策(景品表示法)も確認してください。
コピペで使えるプロンプト
ここまでの「1商品の名前とコピーを量産する」流れを、そのままAIに頼める形にまとめました。下の枠をまるごとコピーして、〈〉の中をあなたの商品の言葉に置き換えるだけで使えます。スペック(容量・素材など)は必ず本当の数値を書き、出てきた案は人が選んで確認しましょう。
あなたはECショップのコピーライターです。
以下の入力素材だけを使い、商品名とキャッチコピーの案を量産してください。
# 入力素材
- ターゲット(誰に):〈在宅ワークで長時間飲み物を飲む人 等〉
- 商品と主なスペック(事実):〈容量480mlのステンレスマグ/保温6時間/食洗機OK 等〉
- いちばん伝えたい強み:〈長時間あたたかいまま/お手入れが楽 等〉
- 検索で入れたい言葉:〈ステンレスマグ 大容量 保温 等〉
# 出力条件
※入力素材にないスペック(容量・時間・素材・効果など)は絶対に足さないこと。分からない部分は空欄にする。
- キャッチコピー:①機能を伝える型 ②悩みに寄り添う型 ③使う場面を見せる型 の3方向で、各5案(合計15案)。1案20〜30字程度。
- 商品名:検索で入れたい言葉を含めた案を10個。それぞれ全角30字以内。
- 各案は箇条書きで、方向ごとに見出しをつけて並べる。
# 禁止
- 「最高」「日本一」「No.1」「絶対」など、根拠なく言いきる表現・最上級表現
- 効果・効能を断定する表現(薬機法に触れるおそれ/化粧品・健康食品の場合)
- 「必ず」「誰でも」など、守れない約束につながる表現
- 入力素材にない数値・実績を作ること
まずはこの1枚を、いま名前に迷っている商品1つで試してみてください。15案も並ぶと、不思議と「あ、こっちの方向だ」と自分の中の答えが見えてきます。その“選ぶ感覚”こそ、AIには任せられない、あなたの店らしさが宿るところです。
あなたへの影響
- 「ゼロから絞り出す」から「並んだ案から選ぶ」に変わると、1商品あたりの言葉づくりの時間が短くなり、大量の商品でも登録を止めずに回せる。
- 切り口を分けて量産することで、自分では思いつかなかった角度の言葉に出会え、ありきたりなコピーから抜け出しやすくなる。
- 禁止語と事実確認を仕組みにすると、言いすぎ(景表法・薬機法)や誤った数値を防ぎながら、安心してスピードを出せる。
明日やること
- いま名前・コピーに迷っている商品を1つ選び、「誰に・何を・強み・検索したい言葉・避けたい言葉」を箇条書きで整理する(スペックは本当の数値で)。
- 上の「コピペで使えるプロンプト」に当てはめて、AIに商品名10案・コピー15案を量産させる。
- 出てきた案から使えそうなものを数個選び、スペックと表現(最上級・効能の断定がないか)を確認して、自分の言葉に整えて登録する。
- うまくいったプロンプトと、採用した“勝ちパターン”の切り口をメモして、次の商品でも使い回せる“型”として貯めていく。
AI商品名・コピー量産チェックリスト
- AIに渡す前に、「誰に・何を・強み」と本当のスペックを人が整理している
- 切り口(機能/悩み/場面)を分けて、まず10〜20案を量産させている
- 商品名には、検索されたい言葉(素材・用途など)を1〜2語入れている
- 出てきた案の数値・素材が、実際のスペックと合っているか確認している
- 「最高・日本一・絶対」などの最上級・言いきり表現を外している(景表法)
- 化粧品・健康食品で、効果効能を断定していないか確認している(薬機法)
- 入力素材にない実績・数値をAIが作っていないか見ている
- AIは案出しまで、選んで登録するのは人、という線引きを守っている
AIは、あなたの店の“らしさ”を勝手に決めてくれる魔法ではありません。けれど、「最初の一案を絞り出す」重さを肩代わりし、思いもよらない切り口を並べてくれる、頼れる相棒にはなります。誰に何を伝えるかを整理し、たくさん量産させ、最後は自分の目で選んで磨く。この流れが回り出すと、商品名の欄で固まっていたあの時間が、「どれにしよう」と選ぶ楽しい時間に変わっていくはずです。まずは次の1商品から、AIに案を並べてもらいましょう。

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