手元のリストと棚の実物の数が合わず、首をかしげながら在庫を数え直しているEC担当者の情景

棚卸しと在庫ロスを減らす管理|差異と廃棄をなくす基本

「帳簿では在庫が5個あるはずなのに、棚を見たら3個しかない」

決算前や月末に在庫を数えていて、こんな食い違いに出くわしたことはありませんか。数え間違い、伝票の付け忘れ、いつの間にか壊れて捨てた分――理由はいろいろですが、この「合わない2個」こそが、静かに利益を削っている在庫ロス(帳簿の在庫と、実際に残っている在庫のズレや、売れずに捨てる分のこと)です。

困っているのは、あなたの管理がずさんだからではありません。在庫の数を「数えて答え合わせする日」を決めていないから、ズレに気づけないだけ。この記事を読み終える頃には、棚卸しでロスを見つけ、その原因をつぶしていく手順が見えているはずです。

結論:棚卸し(在庫を実際に数えて、帳簿の数と突き合わせる作業)を定期的に行い、棚卸差異(帳簿と実物の差)が出た原因を1つずつつぶすこと。差異の理由を「数え間違い」「伝票漏れ」「破損・紛失」に分けて記録すれば、翌月からロスは目に見えて減っていきます。

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なぜ在庫はいつの間にか「合わなくなる」のか

在庫がズレる原因は、たいてい次の3つに分かれます。

やっかいなのは、この3つが少しずつ、毎日起きていること。1回1回は小さくても、数えて答え合わせをしないまま何か月も放っておくと、決算のときに「思ったより在庫が無い=その分の仕入れ代がまるごと損」という形でまとめて表面化します。だからこそ、定期的に数える「棚卸し」が要になります。

なお、棚卸しで確定した在庫の金額(棚卸資産)は、そのまま利益計算や税金にも関わってきます。評価の考え方は国税庁の棚卸資産の評価方法(タックスアンサー No.5600)でも解説されているので、決算が近い方は一度目を通しておくと安心です。

差異を「見つけて・分ける」棚卸しの手順

帳簿の在庫数と実際に数えた在庫数を突き合わせ、差が出たら原因別に振り分ける流れを示す概念図
棚卸しは「数える→帳簿と比べる→差の原因を分ける」の3ステップ。差異を原因別に仕分けすると、翌月つぶすべき箇所が見える。

大がかりに考える必要はありません。基本は次の流れです。

  1. 数える(実地棚卸):実際に棚の商品を、人の目と手で数えます。これを「実地棚卸」と呼びます。まずは売上の大半を占める主力商品からで十分です。
  2. 比べる:数えた実物の数と、帳簿(在庫管理表やカートの管理画面)の数を突き合わせます。ここで出た差が棚卸差異です。
  3. 原因を分ける:差異を「数え間違い・入力漏れ」「破損・紛失」「滞留・廃棄」の3つに仕分けして記録します。

たとえば、ある商品の帳簿在庫が20個、実際に数えたら17個だったとします。差異は3個。調べてみると「入荷伝票の入力漏れで実は18個が正しく、うち1個は箱が潰れて廃棄済み」だった――ここまで分かれば、次の一手が決まります。入力のダブルチェックを増やす壊れやすい商品の置き場を見直す、といった具体策に落とし込めるからです。

差異の大きさは、ロス率(在庫全体に対して、どれくらいの割合がロスになったか)で見ると比べやすくなります。「差異の金額 ÷ 棚卸で数えた在庫金額」でざっくり出して、月ごとに追うだけでも、対策が効いているかどうかが分かります。

あなたへの影響

明日やること

  1. 棚卸しをする日を決める(まずは月に1回、月末など。全部が無理なら主力商品だけの「一部棚卸し」でOK)。
  2. 主力商品の帳簿在庫と実物を数えて突き合わせ、差異が出た商品をメモする。
  3. 差異を「数え間違い・入力漏れ / 破損・紛失 / 滞留・廃棄」の3つに分けて記録する。
  4. いちばん差異の大きかった原因に対して、再発を防ぐルールを1つ決める(例:入荷は2人で数える、割れ物は専用の棚に置く)。

最初から全商品を完璧に数える必要はありません。「売上の大半を占める数品」だけでも、毎月続ければズレの出どころが見えてきます。小さく始めて、続けることが何より効きます。

チェックリスト

帳簿と実物の数がぴたりと合い、すっきりと整った棚を前に安心した表情で立つEC担当者の情景
数えて、比べて、原因を分ける。棚卸しを習慣にすれば、在庫は「不安の種」から「頼れる資産」に変わる。

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