
置き配・宅配ボックスで再配達を減らすEC出荷設計
「昨日発送したはずの注文、まだ『配達中』のまま動いていない」。 追跡番号を見てみると、ステータスは「ご不在のため持ち帰り」。お客さんが悪いわけでも、運送会社が遅いわけでもない。ただ、受け取る人がその時間に家にいなかった——ECの現場でいちばん多い「届かない」の正体は、たいていこれです。
再配達は、運送会社にとってもお客さんにとっても、そして「まだ届かないのですが」という問い合わせを受けるお店にとっても、みんなが少しずつ損をする時間です。国土交通省も、宅配便の再配達を社会的な負担として削減を呼びかけています(国土交通省)。でも、EC側でできることは意外とシンプルです。今日は、置き配と宅配ボックスを「出荷のしかた」と「商品ページ・メールでの伝え方」の両面から整えて、再配達と問い合わせを減らす方法を、一緒に見ていきましょう。
結論:再配達を減らす鍵は、「受け取る人が家にいなくても受け取れる状態」を、こちらから用意して伝えておくことです。やることは3つ。①注文時・出荷時に置き配や宅配ボックスを選べる/指定できるようにする、②商品ページと注文完了メールで「置き配できます・お届け日時を指定できます」を先に伝える、③置き配で起きがちな盗難・誤配のときの対応を決めておく。まずは「置き配に対応しているか」を確認し、対応していれば商品ページに一行書き足すだけでも、再配達は減り始めます。
いま何が起きているか
「置き配」とは、玄関前・宅配ボックス・指定した場所などに、対面でのサインなしで荷物を置いて届ける受け取り方のことです。コロナ禍以降、非対面で受け取りたいというニーズが一気に広がり、いまでは多くの運送会社・モールが標準の選択肢として用意しています。
一方で、EC側の設定が追いついていないお店は少なくありません。よくあるのが、次のような状態です。
- 運送会社やモールでは置き配に対応しているのに、自店の商品ページやメールでは何も案内していない。お客さんは「置き配できる」と知らないまま、対面受け取り前提で待ってしまう。
- お届け日時の指定(何日の何時ごろに届けるかをお客さんが選べる仕組み)を用意していない、または注文完了メールで案内していない。結果、都合の悪い時間に届いて不在になる。
- 置き配で盗難や誤配が起きたときの対応(補償や再送のルール)を決めていないため、いざトラブルが起きると場当たり的な対応になり、クレームが長引く。
再配達が減らないと、困るのはお客さんだけではありません。「発送したのに届かない」という状態は、お客さんの不安を生み、「まだ届きません」という問い合わせになってお店に返ってきます。せっかく発送業務を終えているのに、そのあとでCS(カスタマーサポート=お客さま対応の窓口)の工数が増えていく。この「発送後の見えない負担」を減らせるのが、置き配・宅配ボックスの設計です。
置き配・宅配ボックスを「出荷」と「伝え方」の両輪で整える

置き配は、出荷側の設定だけでも、ページでの案内だけでもうまく回りません。「受け取れる状態を用意する(出荷)」と「それをお客さんに伝える(伝え方)」の両輪がそろって、初めて再配達が減ります。それぞれ、何をすればいいかを整理します。
① 出荷側:置き配・日時指定を「選べる状態」にする
- 使っている運送会社・モール・カートが、置き配と宅配ボックス配達に対応しているかを確認する。多くの主要な配送方法は対応済みだが、ポスト投函便など一部は仕組みが異なる。
- お届け日時の指定をお客さんが注文時に選べるようにする。時間帯を選べるだけでも、不在は大きく減る。
- 置き配の場所の希望(玄関前・宅配ボックス・物置など)を受け取れるなら、注文時の備考欄や配送メモで拾えるようにしておく。
② 伝え方:ページ・メールで「先に」知らせる
- 商品ページの配送案内や、送料・お届けの説明部分に、「置き配に対応しています」「お届け日時をご指定いただけます」を一行でも書く。知らなければ選べない。
- 注文完了メール(サンキューメール)や発送完了メールに、置き配の指定方法・日時変更の方法・追跡番号を載せる。いちばん開かれるこの1通が、再配達を防ぐ最後のひと押しになる。
- マンションの宅配ボックスが使える場合は、「不在時は宅配ボックスへお届けします」と添えるだけで、受け取り側の安心感が上がる。
ここで大事なのは、「対応しているのに黙っている」状態をなくすことです。多くのお店は、実は配送側で置き配に対応できているのに、伝えていないだけ。まずは自店が対応しているかを確かめ、対応していれば「伝える」ところから始めれば、追加コストゼロで再配達を減らせます。
具体例:問い合わせが多かったお店が、案内一つで不在を減らすまで
日用品と雑貨を扱う、1日30件ほど出荷しているお店を例に考えてみましょう。「まだ届かない」という問い合わせが週に何件も入り、調べると多くが不在による持ち帰り・再配達でした。
- 見直し前:注文完了メールには追跡番号だけ。置き配や日時指定の案内はなし。お客さんは対面受け取り前提で待ち、日中不在の人は一度で受け取れないことが多かった。
- やったこと:(1) 商品ページの配送案内に「置き配・お届け日時のご指定に対応しています」を一行追加。(2) 注文完了メールに「置き配をご希望の場合の指定方法」と「日時変更のリンク(追跡ページ)」を追記。(3) 発送完了メールで追跡番号と到着予定を明記。
- 見直し後(例):一度で受け取れる注文が増え、「まだ届かない」という問い合わせが目に見えて減った。発送後のCS対応にかかっていた時間も軽くなった。
※ここに挙げた件数や効果は説明のための例で、自店の実測値ではありません。効果はお客さんの層(日中在宅か、単身か家族かなど)によって変わります。それでも、「対応している事実を、注文の流れの中で先に伝える」だけで改善が始まる、という順番は多くのお店に共通します。いきなり全部やろうとせず、まず注文完了メールに一行足すところからで十分です。
置き配で気をつけること:盗難・誤配への備え
置き配は便利な反面、対面で手渡さないぶん、盗難や誤配のリスクがあります。ここを決めずに始めると、トラブル時に対応がぶれてクレームが長引きます。あらかじめルールを用意しておきましょう。
- 補償の範囲を確認する:使っている置き配サービスに、盗難・紛失時の補償があるかを事前に確認する。補償の有無・上限は配送方法によって異なる。
- 高額品・生鮮・貴重品は置き配から外す、または対面・宅配ボックス限定にする。盗難や品質劣化のリスクが大きい商品は、無理に置き配にしない。
- トラブル時の一次対応を決めておく:「置き配で届かない・盗難の疑いがある」と連絡が来たときに、まず追跡と配達完了写真を確認し、運送会社へ調査を依頼する——といった手順を、CS対応マニュアルに一行入れておく。
- お客さんに選んでもらう形にする:置き配を一律で強制せず、「対面・置き配・宅配ボックスから選べる」ようにしておくと、盗難が心配な人は対面を選べて、後々のトラブルも減る。
なお、これらは景品表示法や特定商取引法そのものの話ではありませんが、「置き配できます」と書くなら、実際の対応やトラブル時の扱いと食い違わないようにすることが、お客さんとの信頼を守るうえで大切です。過度に「安心・絶対安全」と断定せず、条件やリスクも正直に添えておきましょう。
あなたへの影響
- 置き配・日時指定を用意して伝えるだけで、不在による再配達が減り、「まだ届かない」という発送後の問い合わせ(CSの工数)が軽くなる。
- お客さんは自分の都合で受け取れるようになり、受け取りストレスが下がる。これは再購入やレビューにも地味に効く。
- 追加の配送コストをかけずに、すでに対応している仕組みを「伝える」だけで始められるため、費用対効果が高い。
- 盗難・誤配のルールを先に決めておくことで、トラブルが起きても対応がぶれず、クレームの長期化を防げる。
明日やること
- 使っている運送会社・モール・カートが置き配と宅配ボックスに対応しているか、お届け日時の指定ができるかを確認する。
- 対応している場合、商品ページの配送案内に「置き配・お届け日時指定に対応」を一行追加する。
- 注文完了メール・発送完了メールに、追跡番号・到着予定・置き配や日時変更の方法を載せる。
- 高額品・生鮮・貴重品など、置き配に向かない商品を洗い出し、対面や宅配ボックス限定にするルールを決める。
- 置き配の盗難・誤配が起きたときの一次対応(追跡確認→運送会社へ調査依頼)を、CS対応の手順に一行足す。
置き配・再配達対策 チェックリスト
- 使っている配送方法が置き配・宅配ボックスに対応しているか確認した
- お客さんがお届け日時を指定できる仕組みがある
- 商品ページの配送案内に「置き配・日時指定に対応」を明記している
- 注文完了メール・発送完了メールに追跡番号と到着予定を載せている
- メールで置き配の指定方法・日時変更の方法を案内している
- 高額品・生鮮・貴重品を置き配から外すルールを決めている
- 置き配の盗難・誤配時の一次対応(補償確認・調査依頼)を決めている
- 「置き配できます」の案内が、実際の対応・補償と食い違っていない
関連テンプレ:発送後の「伝える1通」まで整えて完成
置き配の設計は、出荷の設定で終わりではありません。最後のひと押しは、発送後にお客さんへ届く1通のメールです。追跡番号と到着予定、そして置き配や日時変更のやり方が書かれた1通があるだけで、「まだ届かない」という不安と問い合わせは大きく減ります。
まずは、いちばん開かれる注文確認メール(サンキューメール)で次につなげる書き方を見直して、置き配・日時指定の案内を一行足してみてください。配送方法そのものの選び方はEC配送方法・配送業者の選び方、送料と梱包の削り方は送料・梱包コストの最適化、早く届ける工夫は出荷リードタイム短縮と「あす着」表示の効果で扱っています。
再配達を減らす取り組みは、派手さはないけれど、お客さんの受け取りやすさと、あなたの発送後の負担を、同時に軽くしてくれます。まずは注文完了メールに一行、置き配の案内を足すところから始めてみませんか。

関連記事・無料ツール
- ▶ 注文確認メール(サンキューメール)で次につなげる書き方
- ▶ EC配送方法・配送業者の選び方
- ▶ 送料・梱包コストの最適化
- ▶ 出荷リードタイム短縮と「あす着」表示の効果
- ▶ EC利益計算ツール(ROAS / 利益率 / LTV)
あなたのお店では、「発送したのに届かない」という問い合わせが増えていませんか。よく届く時間帯や商品の種類を教えていただければ、無料診断で「置き配・日時指定をどう案内すれば再配達が減るか」を一緒に考えます。